医者とりわけ外科系の医者の手術のある日の病院での食生活は悲惨の一言につきます。 朝手術室に入ると手術が終わるまではまともな食事にはありつけません。 運がいいと手術と手術の間にコンビニ弁当にありつけますがそれさえ保証されたものではありません。
私たち麻酔科の医者とてこれに関しては大して変わりはありません。お昼は長くて30分くらい短ければ15分くらいで済ませます。
ぼくの場合、病院が契約している業者のランチサービスを食べることがほとんどです。
メニューは三種類あります。紙に印を朝つけておくと秘書さんがまとめて注文してくれます。
11時きっかりに配達されてくるのでまず食べてその後に一緒に麻酔を担当している研修医くん・さんと交代します。
手術室への配達サービスは、麻酔科だけへの特権です。というか他科の人たちは自分たちで食べに行けばよいのです。外科医も毎日手術室にいるわけではありません。
月曜日だけは院生のO本くんと学校のカフェテリアで日替わり丼(小)+キツネうどんか日替わり丼+きつねうどん(小)のどちらかを食べます。
観察していると内科系や救急の先生方はカフェテリアで食べている人が多いようです。でもこのカフェテリアも15時には閉店してしまいます。
当直の晩ご飯は病院から弁当が支給されます。はじめの頃は食べていましたが最近では出前を頼むことが多くなりました。 特に休日の日当直でお昼と晩ご飯この弁当を食べていたらさすがに身体に悪いだろうという感じが直感的にするような代物ですから。
日本のある程度の規模の病院にはコンビニが併設されることが多くなってきています。
職場でも24時間営業のファミリーマートが開業しています。おかげで何時でもおにぎり・味噌汁やアイスクリームにありつくことができます。 誰もいないだろうと思うような時間に訪れても店員さん以外に誰かいます。
New Yorkerに”Medical Meals“というタイトルの小ネタ囲みエッセーがありました。 医者の食事事情がネタのエッセーで面白いです。ちゃんとオチまでついています。
ミステリー作家の森 博嗣さんは名古屋大学の研究者だった時期があることで有名です。 科学論なども出版されています。(「科学的とはどういう意味か」など)
今日は彼の自伝的小説といわれる「喜嶋先生の静かな世界 The Silent World of Dr.Kishima」を紹介します。
講談社創業100周年記念出版の為に書き下ろされた「小説」なのですが読む人はこれを「小説」とは読まないかもしれません。確かに浮き世離れした設定もあってその意味では小説なのですが読む人は結構切実な一種のドキュメンタリーとして受け取るかも知れません。特に読者が一度でもこの小説で描かれている大学院生活・研究生活を送った経験がある場合には。 この小説の舞台は工学系の大学院なのですが生命科学系でも本質的には変わりはありません。
この小説いろんなquoteが引けるのですが一つだけにしておきます。
「学問には王道しかない」
「王道」って何と言われるとこれは困りますけど、誰かの学位論文を出版しないといけないとかいう理由であいまいなデータを含んだ論文を投稿するような行為は「王道」から外れていると思います。
この小説を読むと
- 考えてもわからなかったことが突然わかるようになります。
- 探してもみつからなかったものがみつかるかもしれません。
- 他人と考えが違うことや他人の目が気にならなくなります。
- 自分のペースや自分の時間を大切にできるようになります。
- 落ち着いた静かな気持ちで毎日を送れるようになります。
- なにか夢中になれるものをみつけたくなります。
- スポーツが得意になるかもしれません。
- 学生の方は進路が変わってしまう可能性があります。
- 年齢性別関係なくとにかく今すぐなにか学びたくなります。
と講談社のページには書いてあります。 そうかも知れません。
文庫本の解説は養老先生が担当されています。
研究生活に興味のある人は読んで見たらよいと思います。
ぽちっと買いました>「学問には王道しかない」 http://t.co/aO753Isfgr