ハイポキシア生物学の2011年を振りかえって今年のブログ納めにしようと思います。

昨年同様まず統計から。
pubmedを(HIF[TIAB] and 2011[DP])で検索すると1291件と出ました。昨年が1136件でしたのでほぼ同じ勢いです。毎日3つ以上HIF関連の論文が出版されているのです。

また(hypoxia[TIAB] and 2011[DP])だと4652件。昨年が4167件でしたのでこちらはたぶん有意に増加ですね。

ちなみに(iPS[TIAB] and 2011[DP])は 598件ですし,(anesthesia[TIAB] or anesthesiology [TIAB]) and 2011[DP] は4679件です。

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酸素がさまざまな生命現象に関わっているということがあるので酸素分圧感知機構-HIFの経路も様々な生命現象に関わっています。すでに2000年にはGLSによるこんな総説が出ているほどです。
そして今年はとうとうNEJMに
Oxygen Sensing, Homeostasis, and Disease

N Engl J Med. 2011 Aug 11;365(6):537-47.

が掲載されました。快挙ですね。

昨年

来年はHIFの活性化機構を原理として利用する方法でない細胞内酸素分圧のimagingが可能になってくると思います。今年発表されたいくつかのprobeを使ったよい研究が出て来るのが楽しみです。

と書きました。

理想のプローブは今年も現れませんでしたが
Hypoxia-sensitive fluorescent probes for in vivo real-time fluorescence imaging of acute ischemia.

J Am Chem Soc. 2010 Nov 17;132(45):15846-8

で記述されているローブには興味を引かれました。
研究会でも直接お話しを伺うことができました。
腎臓は酸素消費量が多くHRE依存的な遺伝子発現が通常酸素分圧下で生きているマウスでも観察されます。このような領域を低酸素領域と呼ぶかどうかは別としてこの程度のHIFの活性化をある程度の線形性をもって表現できる低酸素プローブが開発されてリアルイメージングに応用できるとよいと思います。
ぼくのほしいプローブはこんなプローブです。よろしくお願いします。できたらはじめに使わせてください。

その他の低酸素プローブにはあまり興味をもてませんでした。

Natureに植物の低酸素応答に関する論文が二つback-to-backで出ていました。
Oxygen sensing in plants is mediated by an N-end rule pathway for protein destabilization

Nature. 2011 Oct 23;479(7373):419-22. doi: 10.1038/nature10536.


Homeostatic response to hypoxia is regulated by the N-end rule pathway in plants.

Nature. 2011 Oct 23;479(7373):415-8. doi: 10.1038/nature10534.

たぶんぼくは完全に理解はできないと思いましたがネタとしては知っておくのがよいと思ったので読んでみました。

TRPA1 underlies a sensing mechanism for O2.

Nat Chem Biol. 2011 Aug 28;7(10):701-11. doi: 10.1038/nchembio.640.

もよい論文です。TRP channelがサブタイプ特異的に環境の酸素分圧の上がり下がりをセンスしていてるということを示した論文です。この論文も著者の高橋さんにぼくらの勉強会でセミナーをしていただきいろんな話を聞けました。来年度やりたい人がいれば挑戦していただきたいとぼくは思っています。
今年も医科研の坂本先生のMint3ネタで論文が出ています。
Deletion of the Mint3/APBA3 gene in mice abrogates macrophage functions and increases resistance to lipopolysaccaride-induced septic shock.

J Biol Chem. 2011 Sep 16;286(37):32542-51.

Pyruvate kinase M2 is a PHD3-stimulated coactivator for hypoxia-inducible factor 1.

Cell. 2011 May 27;145(5):732-44.

MCM proteins are negative regulators of hypoxia-inducible factor 1.

Mol Cell. 2011 Jun 10;42(5):700-12.

Hypoxia. Cross talk between oxygen sensing and the cell cycle machinery.

Am J Physiol Cell Physiol. 2011 Sep;301(3):C550-2.

これらもよかったです。
GLS件はやはり一歩進んでいる感じがします。
以前といってもぼくが大学生の頃NHKのFM放送に作家の五木寛之が出演していて自分の立ち位置をトラック競技になぞらえて話していたことがあり今でも記憶に残っています。つまり自分は他のランナーの集団から少し先を走っているのであるがその少しはそのように見えるだけであって実はトラック一周先行した上での少し先なのだと。生命科学の世界でもそのような研究室ってありますよね。
そうそう
Control of T(H)17/T(reg) balance by hypoxia-inducible factor 1.

Cell. 2011 Sep 2;146(5):772-84.

これも印象的でした。先行論文があったのですがこっちはCellということで勢いの違いはあるのだと思います。

A HIF-1 target, ATIA, protects cells from apoptosis by modulating the mitochondrial thioredoxin,TRX2.

Mol Cell. 2011 Jun 10;42(5):597-609.

thioredoxin関連はいつも注目しています。

また腎臓のEPO産生細胞についての京大の柳田さん-御大ではありません。念のため。でも御大みたいなものかも-の研究室の
Dysfunction of fibroblasts of extrarenal origin underlies renal fibrosis and renal anemia in mice.

J Clin Invest. 2011 Oct 3;121(10):3981-90. doi: 10.1172/JCI57301


東北大学の山本先生のお部屋の鈴木さん方の
Isolation and characterization of renal erythropoietin-producing cells from genetically produced anemia mice.

PLoS One. 2011;6(10):e25839.

はすごいと思いました。

論文を読むとPapersで整理して☆をつけます。
最高が☆☆☆☆☆なわけですが,今日整理していて

Hypoxia increases transepithelial electrical conductance and reduces occludin at the plasmamembrane in alveolar epithelial cells via PKC-ζ and PP2A pathway.
Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol. 2011 Apr;300(4):L569-78.

にも☆☆☆☆☆がつていました。
これ麻酔科医にとってはとても興味深い論文です。

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低酸素関連で
Hypoxia and inflammation.

N Engl J Med. 2011 Feb 17;364(7):656-65.

Oxygen Sensing, Homeostasis, and Disease

N Engl J Med. 2011 Aug 11;365(6):537-47.

の二篇NEJMに出たのには感動しました。
この世界Nature, Cellといっても十分でなくNEJMに総説として取り上げられてやっと一人前という世界ですから。

最後にぼくの研究室の論文を紹介してお終いにしたいと思います。
Hydrogen Sulfide Inhibits Hypoxia- But Not Anoxia-Induced Hypoxia-Inducible Factor 1 Activation in a von Hippel-Lindau- and Mitochondria-Dependent Manner

Antioxid Redox Signal. 2012 Feb 1;16(3):203-16. Epub 2011 Oct 17.

院生の甲斐さんの論文です。
これは結構引用される論文になると思います。

気がついた論文を列挙してみました。

今年☆☆☆☆☆をつけた論文が20篇ほどありました。☆☆☆☆で 10篇くらいです。ですので紹介したのはほんの一部です。
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というわけで今年もこのブログ愛読ありがとうございました。
今の職場を辞めるまで続けると思います。

それでは皆さんよいお年をお迎えくださいませ。

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