今週の一押し: 2010-#9"リハビリの夜”

On 2010/4/21 水曜日, in 今週の一押し, by bodyhacker

今日から某論文の作業を並行して始めました。連休明けにはそろってdraftになっているとヨイと思います。

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リハビリの夜 (シリーズケアをひらく)

毎週頼んでもいないのに送ってくる「医学界新聞」というすごい名前の新聞で紹介されていたのがきっかけで読むことにしました。

著者は脳性麻痺の医者。東大の医学部を出て小児科の医者を経て現在は東大の先端科学技術研究センターで研究をされていると奥付けには書かれています。

著者の熊谷さんは、自力で歩くことはできないし特別に設計されたトイレでなければ用を足すことも自力では難しいという障害を生まれながらに持っていて幼少期からリハビリに明け暮れていた。その体験を元にした身体論なのだろうがぼくには一種の人生論としても読めた。

リハビリ体験が赤裸々に語られこの部分は第三章「リハビリの夜」と第四章「耽る」でセクシュアリティ論的に語られる。この部分を取り上げることはできると思うがぼくがびっくりしたのはその後。

そこから出発して著者が小児科医として勤務してからの体験が語られる第五章「動きの誕生」はこの本の白眉である。
極めて興味深い身体論が語られる。この部分だけでもすべての医療人とりわけ今年スタートして未だ医療現場に馴染めずプライドをずたずたにされている研修医に読んでもらいたいと思う。随分楽になるし絶対に”気付き”がある。
「身体内協応構造」のゆえ健常者でも緊張してしまい満足にV-lineを確保できない場合がある。それが「身体外協応構造」を手助けにいつの間にか難なくその作業をこなせるようになる。このプロセスが感動的に語られる。身体的な障害の有無に関わらない。
これは別に医療現場で苦戦している研修医だけでなく、医療経験を重ねた上に新しく基礎研究を始めたばかりの新米大学院生にも本気で読めば捕まえることのできる点がかならずある。

奇書という言い方は失礼かもしれないが、医学部の教科書にしても良いと思うほど影響を受ける本であることは保証する。
呑気に1Q84など読んでいる場合ではないし、ハンドブック型のマニュアル本を買うお金があればこの本を本気で読み込んだ方がいいと思う。

個人的には「敗北の官能」という言葉で著者が表現する「快楽」の一形態はとても興味深い。ぼくなど常に”負け”続けてきたので”負ける”ことにある種の快楽を見出すようになってきていると思う。
ここら辺はこれまた第六章「隙間に「自由」宿る」でうまい具合に表現されていて本当に参りました。この辺についてはまた書こうと思います。

妙な雰囲気の挿絵がまたよろしいですね。

リハビリの夜 (シリーズケアをひらく)

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