「かくかくしかじか」ですが結局最終巻は紙の本で読んでしまいました。
ぼくがアメリカから戻って大阪池田の某研究所でlabをスタートしたときから一緒にやってくれて今は麻酔科医として活躍している先生から昨日の深夜にmailをもらいました。
彼がぼくの研究室に来てくれなければ今のぼくはこのようにはいないと断言できるほど重要な存在でした。
あの時代のぼくの研究室のデータのqualityはまさにどこに出しても恥ずかしくないHIF-1の業界ではトップレベル(Baltimoreの本家よりキレイ!!)だったと思いますがこれは偏に彼の「手のキレイさ」によるものでした。研究室に一人でも「手のキレイな」人がいると皆がいつの間にかqualityの高いデータを出せるようなるのですね。データのqualityが高いので僅かな「差」が検出されてそれにより次の実験へと進むことができる感じですごかったんです。
ぼくが良い先生であったかどうかはよく解りませんが「反面教師」も先生だと思ってはいます。(参照1, 参照2)
正でも負でも与えた影響が大きいほど「よい」教師だと思うようにしています。
—
科研費ですがこんなtweetを見ました。
科研費通らなかった自分が学生さんのガクシンにコメント指導するという自己嫌悪感。それにしても領域・提案ともにど真ん中だと思ったんだけどなあ…。普通免許の「学科試験」に落ちたときと同程度のショック。
— Kazunari Miyamichi (@K_Miyamichi) 2015, 4月 1
これに対して
論文査読結果と研究費不採択をスルーして次を目指すタフさがアカ研究者の生存要件"@K_Miyamichi: 科研費通らなかった自分が学生さんのガクシンにコメント指導するという自己嫌悪感。それにしても領域・提案ともにど真ん中だと思ったんだけど。普通免許の「学科試験」に落ちたときと同”
— Norio Nakatsuji (@norionakatsuji) 2015, 4月 1
どちらも解ります。
科研費は、「通る」・「通らない」という観点で捉えない方がよいときもあると思います。
—
広瀬すずさんが主演の「学校のカイダン」というたわいもないテレビドラマがあって毎週視ていました。
挿入歌があって藤原さくらさんが歌っているのですが、19歳で見た目はあんな声で歌うとは到底思えないくらいかわいらしいのです。
最近結構はまっていて研究室でのヘビーローテーションしています。
例えば
宇多田ヒカルさんの歌を聴いたとき以上にびっくりしました。
手術室でコケた話
年度末シフトで昨日当直でした。 結構「働いた感」がある当直となりました。
床のモノを拾おうとして体勢を崩したり、あるはずの椅子に着地できずに後ろに倒れたりとか、その度にその場の先生方や看護師さんに「大丈夫ですか」とお声をかけられ「大丈夫でぇーす」と応えながら… 電池切れで筋力低下をきたしていたのだと思います。
今日くらいには「昨日のひろた先生ちょっとやばかったんじゃない」とか言われているかもしれません。別に酔っていたわけではありません。
麻酔後に夜桜見物をしました
ただひたすらそれの繰り返し
土曜日と日曜日にある研究会に参加しました。
特別講演の講師として登壇していただいた先生は、ぼくが大学院生の時にCold Spring Harbor Meetingに参加した折に途中Palo Altoに寄り道した時に当時麻酔科からStanford大学に留学してたN波さんと一緒にお茶した方でした。昔から立派な方でしたが、今ではトンデモない大きなお仕事をされていて講演内容も素晴らしいものでした。
懇親会などでお話しさせていただき昔、自分が大学院生だった時のことを思い出して一気に時間が20年ほど戻ったような気がしました。
ぼくは結構なハードワーカーでした。 何を考えてそんなにムキになってやっていたのかよく覚えていないのですがともかく「実存」が懸かっていたのだとは思っています。行けと言われたアルバイトも断ってやっていたので 家内もよくついてきてくれたなと今では思います。
院を終わったら直ぐに助手(今の助教)になったのでそれ以降やりたいだけ実験をするということができなくなりました。
病院でも今の言い方で言えば「社畜」のように働いていました。時間外手当などもらっていた記憶はありません。今の研修医の先生には想像も付かないくらいに働くというかなんというか手術室でうごめいていました。当時はそれがあたり前でした。疑問など持ったこともありませんでした。
そういっても、一番の推進力は、基礎研究も臨床もぼくにとって「面白かった」ということだったと思っています。
研究室でも手術室でもそれなりにつらい事はあったわけでいわゆる「トラウマ」を今でも抱えてやっています。
特別講演の講師の先生ですら「コールドルーム監禁事件」と自ら呼ぶトラウマ的なエピソードをお持ちなのですが見事にそれを現在に昇華させておられました。ぼくの場合はトラウマはネタにしかなっていません。
そんなこともあり、N波さんにmail書いたら脳天気な返事が返ってきました。昔から本質的に変わらんね、あの人は。
ぼくも、去年家内にまた実験はじめたと話したら「もう好きにして、あんたには何も期待しいないから」とご託宣をいただきました。
ここまで引っ張ってきた今回書きたかったことは「かくかくしかじか」の事です(以前書いたことがありました)。
その「かくかくしかじか」マンガ大賞2015受賞受賞です。
同時に最終巻も刊行です。ぼくはKindle版で読んでいるのでまだ最終巻は読んでいないのです。
仕方ないので1-4を読み返していました。
ぼくも新幹線便使わせられたことがありました。(4巻参照のこと)
絵を描くということは
木炭にまみれて 絵の具にまみれて
ひたすら手動かして 思い通りにいかなくても紙の上で
もがいて もがいて
もがきつつけるうちに偶然なのか必然なのかごくたまにほんの一本自分が納得いく線が見つかる瞬間がある
その一本を少しずつ少しずつつなげて重ねて
ただひたすらそれの繰り返し
ちょっとほろっとします。
いっそ紙の方も買っちゃおうかと思案中です。
五月山のさくら
〆切の重圧があったのですがついつい書いてしまいました。
何となく断りがたい査読をウケてしまい苦しんでいます。
選挙です。
「景気」がキーワードの一つになっていますが、大学を卒業して以来景気を実感したことがありません。
これが外来で患者さんを相手にしているとそうでもないのでしょうが手術室で患者さんの麻酔をかけるのが商売です。 いわゆるバブルの時も何の恩恵というか影響も受けなかったし、失われた20年にも全くといって影響は受けませんでした。とにかく手術室で手術を受ける患者さんの数はうなぎ登りで以前なら局所麻酔下で行われた手術でも全身麻酔を希望する患者さんと外科系医師のおかげで麻酔の注文は増えてきました。
デフレでモノが安くて何の問題も無い生活を送ってきたのでづっとこれが続けばいいのにとさえ思っていました。
最近もクレジットカードの請求を見てびっくり。我が家は全然お金を使っていないのです。
なのでぼくは個人的には「景気」には何の関心もありません。
でも、ぼくは自由民主党の憲法草案には賛成できませんし安倍内閣が必要以上に日本に影響力を持つのはよくないと思っています。
ぼくは特に熱心な彼女の読者ではなくモーニングに連載されていた「ひまわりっ ~健一レジェンド~」「主に泣いてます」や「メロポンだし!」をフォローしていたくらいの読者でした。
先生には「かくかくしかじか」というタイトルの自伝マンガがあり現在も連載は続いているのですが偶然単行本化されたものを読んでびっくりしました。
多くのマンガ家がそうであるようにこの人はいわゆる天才です。 天才が常に自分を語るとは限りませんが先生はそうではありません。
その東村先生が日経に登場しました。
能年玲奈主演で公開される映画版「海月姫」のプロモーションの一環 でだと思います。(参照:“弱者”の強さ描きたい オタクが文化を生んでいる 漫画家 東村アキコさん“)
基本的には先生へのインタビューを文化部の瀬崎久見子記者がまとめたものなので先生が話したそのままなのかは不明なのですが十分大物感漂う感じだし一枚だけ使われている写真もどうながめても新興宗教の教祖風で好感が持てます。
以下すこし引用してみます。
実はデザイナーに限らず、私も含めてクリエーターは皆、オタクで、マニアックな趣味があって、何かしらコンプレックスを抱えているんだと思う。
基礎医学研究者も基本的には何らかのコンプレックスを抱えて生きています。
いろいろな媒体に作品を発表しているが、私は自分を少女漫画家だと自覚しているし、少女漫画が最も上質な読み物だと信じている。少女漫画誌は(少年漫画誌ほど)アンケート主義ではなく、自由に描けるし、良いものを作ろうという意識も高い。 少女漫画とは私にとって、現実に足の裏をしっかりとつけながら、最大限の夢を見せる、そのギリギリのラインで勝負するもの。私と同世代は、紙の本で夢を見て、人として育まれた最後の世代だと思うのだが、彼女たちが喜んで悶絶(もんぜつ)するような、テンションの高い漫画を描くことに、残りの漫画家生命を使うつもりです。
ぼくにとっての研究は、神の摂理を分節化・異化して世間に提示するという行為に他なりません。自分の研究成果で他人の世界観といっても自然観ですけどを変革するということが目標です。なのでどれだけ他人に影響を与えたかを常に気にしています。それがぼくが論文の被引用回数に拘る理由です。
条件が許せば残り僅かな研究者人生で今考えているいくつかのプロジェクトを完遂して世に問いたいと思っています。
その為には老眼にむち打って自らピペットを握って実験をやっていきたい。
という訳で「かくかくしかじか」を読んで見てください。 Kindle版もあります。ぼくはKindle版です。