ほんと研究活動にはきりがありませんね。いくら論文書いても次から次へと出てきます。 普通の論文はいくら書いても一円にもなりませんしね。


NYT Magazineの特集

アメリカの新聞の日曜版はものすごい量です。 New York Timesも例外ではなくNYTにはNYT Magazineという別冊もついてきます。 長文の特集記事や、カラー写真などで構成されたルポルタージュなどが掲載されてこれだけでも読み通すのは英語がそう得意でない外国人にはしんどい一作業です。

5/12のNYT Magazineの特集は”THE HEALTH ISSUE  – THE NEW ANATOMY OF CANCER“でした。

  • Doctor without borders – THE IMPROVISATIONAL ONCOLOGIST

  • Lazarus Effect – LEARNING FROM THE LAZARUS EFFECT

  • Written on the body – THE CANCER ALMANAC

  • A boy’s cancer tale – WHEN DO YOU GIVE UP ON TREATING A CHILD WITH CANCER?

  • Starving the beast – AN OLD IDEA, REVIVED: STARVE CANCER TO DEATH

  • Standard of care – THE SISTERS WHO TREAT THE UNTREATABLE

の6つの記事で構成されています。

がんは様々な側面で多様な疾患であるという最近の考えに貫かれた特集です。

素晴らしいできで、全部が読み応え十分ですーといっても最後のものはこれだけ分量がすくないですけどー。NYTでWarburg effectが論じられるなんて胸熱ものです。

時間ない人は”LEARNING FROM THE LAZARUS EFFECT“と” THE NEW ANATOMY OF CANCER“は是非読んでみてください。

 

またこれ読んで興味を持った大学院生は、

The Emperor of All Maladies: A Biography of Cancer“は読んでいるとして次は、

The Death of Cancer: After Fifty Years on the Front Lines of Medicine, a Pioneering Oncologist Reveals Why the War on Cancer Is Winnable–and How We Can Get There“と

Cancer: Principles & Practice of Oncology: Primer of the Molecular Biology of Cancer“も是非読んでください。

物知りになれます。

医学生必読の”The Emperor of All Maladies: A Biography of Cancer“、 Kindle版なら550円ですよ、 たったの。

 

 

THE IMPROVISATIONAL ONCOLOGIST の著者Dr. MUKHERJEEの最新作”The GENE“もこれは読み応えがある一冊です。


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朝から日当直です。

午後に緊急手術があったのですが外科の先生の活躍であっさり終了しました。

救急のICUから淀川の川縁が見えるのですがちょうど日没直前で少し風が出て川縁の背の高い木が揺れていて気持ちのよい風景でした。暑い一日だったようですが夏は確実に終わりに近づいています。

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先週、立花隆氏の「がん 生と死の謎に挑む 」を読みました。

これは2009年に放送された

NHKスペシャル 立花隆 思索ドキュメント がん 生と死の謎に挑む

の内容が単行本にまとめられたものの文庫本化です。番組の台本までついています。

文藝春秋誌に四回に分けて掲載された立花氏のTUR-Bt体験記「僕はがんを手術した」も収録されています。

単行本には番組を収録されたDVDが付録で付いていたようですが文庫には付いていません。

今回の文庫本化に合わせたのでしょうか番組自体は現在でもNHKのサイトで視聴できるようです。(参照)

NHKスペシャルの放送後,拡大版がBS特集として三回にわたり放送されました。 枠に収まらなかった影像も交えてより内容が深まった放送でした。

シリーズ立花隆 思索紀行 人類はがんを克服できるのか

  • 第1回 “がん戦争”100年の苦闘
  • 第2回 生命の進化ががんを生んだ
  • 第3回 生と死を越えて

です。

「思索紀行」などというすこし大げさな字句が番組に付くのはNHKでは立花氏と沢木耕太郎さんくらいのものだと思います。

立花氏が自分または近親者のがん体験に基づき「がん」を捉えるかということを前面に押し出した構成で非常に面白い番組でした。本はこの番組を忠実に再録した形になっているので番組を見なくとも立花氏の考え方は理解することはできます。

人類は未だがんとの闘いに勝利していないし近い将来にも勝利することはないのではないかという立花氏の考えが底流にあります。

そのラインでのっけに登場するのは近藤誠氏です。がんと闘うことの「不毛性」を主張してその著作はベストセラーにもなっています。 立花氏は相当好意的に近藤理論を受け容れています。

番組の終盤は終末期医療や緩和医療が取り上げられます。 冒頭からの関連で番組の流れとしては自然な成り行きです。

 

国内外の研究者へのインタビューもその光景が所々に挿入されGLS氏も番組に登場していました。後にGLSと会ったときに聞いたら立花氏の日本での「立ち位置」を理解はしていなかったようです。

 

近藤氏が「闘うな」といくら主張してもがんとの「闘い」はあらゆるレベルで行われています。ぼくも麻酔科の医者としてその闘いに参加しているとはいえると思います。

ぼくは日常的に患者のがん治療に関わっていますがこれはいわゆる主治医として関わっている訳でなく麻酔科医として手術の際に麻酔科医として関わっているだけです。しかしがんを実際にこの眼で日常的に見ています。

番組の最後に立花氏は以下の様に話します。

 

この取材をしてきて、私が確信していることが二つあります。

一つは、私が生きている間に人類ががんを医学的に克服することはほとんどないだろうということです。

で、もう一つは、だからというか、自分がそう遠くない時期に非常に確実に死ぬだろうけれども、そのことが解ったからといって、そうジタバタしなくて済むんじゃないかということなんです。

がんというものはしぶとすぎるほどしぶとい病気なんです。

というか、生命そのものがはらんでいる「一つの避けられない運命」という側面を持っているということなんですね。

そうであるなら、全てのがん患者はどこかでがんという病気と人生の残り時間の過ごし方について折り合いをつけねばなりません。 ぼくの場合、残りの時間の過ごし方はいたずらにがんばって人生のQOLを下げることではないだろうと思うんです。 徳永先生のところで学んだことは人間は皆死ぬ力を持っているということです。

死ぬ力というといい過ぎかもしれません。 死ぬまで生きる力といったほうが良いかもしれません。

単純な事実ですが、人間はみな死ぬまで生きるんです。ジタバタしてもしなくとも、死ぬまでみんなちゃんと生きられます。

その単純な事実を発見して、死ぬまでちゃんと生きることこそ、 がんを克服するということではないでしょうか

 

 

ついでに、がん関連の読み物を三冊紹介します。

がん研究レース―発がんの謎を解く

がん遺伝子の発見―がん解明の同時代史

病の皇帝「がん」に挑む

一冊目と三冊目は翻訳です。

それぞれ “Racing to the Beginning of the Road: The Search for the Origin of Cancer“と”The Emperor of All Maladies: A Biography of Cancer” が原書です。

病の皇帝「がん」に挑む」は8/18の時点で発売されていません。ぼくは日本語版を読んでいないのでその質についてはコメントできません。

がん研究レース―発がんの謎を解く」は古本が入手できます。翻訳は京大の野田先生御夫婦でこれは一言一句完璧な日本語訳です。原書と翻訳を付き合わせて検討しました。科学書の翻訳本の最高峰といえると思います。

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CellにCarmeliet氏のlab.の新作が出ていました。流行を押さえてそれでいてぼくらの斜め上を突き抜けていくような素晴らしい作品だと思います。

Role of PFKFB3-Driven Glycolysis in Vessel Sprouting

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New York Timesにプロゴルファーの有村智恵さんの記事が掲載されていました。

Lonely in the L.P.G.A.” です。

ぼくはゴルフもしないのでまったく詳しくないのですが有村さんは現在米国ののゴルフツアーに参戦しているのだそうです。 基本的には米国に居を構えて単身での参加をしているようです。 彼女がどのような闘いを一人で行っているかという観点からのドキュメントです。 なぜか写真まで付いています。(参照)

単身海外留学をしている人は誰でもこんな事を考えているのではないかと感じました。


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日経で新聞小説が始まりました

On 2010/12/19 日曜日, in books, Thus Spoke Dr. Hypoxia, by bodyhacker

がん 生と死の謎に挑む
紀伊国屋で平積みになっていました。DVD付きです。昨年末にNHKで大々的に放送されたテレビ番組の解説本です。放送を見ていることが前提ということで放送がDVDが付いているわけです。HIFの話も出てきますがこれだけ読んでも誰も何を言っているのか理解できないと思います。本文にはGLSの名前は出て来ずで代わりにRandy Johnson氏が登場してます。
番組はその後拡大版で放送されて大変な反響があったようです。ガンと闘うという近代的な側面でなくガンと共存する方法を模索するという現代的な側面を正面から扱った番組だったと思います。
でもどうなんでしょうかこの本は。ぼくは買いませんでした。

予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える (光文社新書)
も置いてあったので読んで見ました。ぼくがバカなのかポイントがピンときませんでした。インフルエンザのワクチン接種はここ5年は受けています。おかげがどうか判りませんがここ10年位インフルエンザに罹った事はありません。ただ年取ると共に免疫を獲得しているだけなのかもしれません。この問題も世界的には大きな問題なのでしょうね。

これらの問題って医者であっても自らが当事者になった場合自信たっぷりに答えを出す事のできにくい問題です。
多くのevidence-based medicineは統計学的な手法を用いて確率的に有意差が有るのか無いのかしか教えてくれません。
さらに
PLoS Medicine: Why Most Published Research Findings Are False
こんな問題もありますしね。

自分がガンと決まった時にどうするかなどはケースバイケースであるとしか言えません。
各科に信頼のできる先生を日ごろから一人は決めておきその先生のいう事に従います。
かろうじて自分で自分の事を決める事のできなくなった時、例えばぼくがいわゆる植物状態に陥った時脳死状態に陥った時にどう行動すべきかは話してあります。

日本経済新聞で水曜日から角田光代さんの小説連載が始まりました。今回から電子版でも読むことができてこれはありがたいです。

彼女の小説は
八日目の蝉
ひそやかな花園も新聞小説でした。
というわけで
八日目の蝉を読み返してみました。
これって客観的には過酷だけど幸福だった薫が恵理菜になって不幸を生きていく話ですよね。
過酷な今の生活が近い将来終わってそれからのどかな人生を送れると思ったら…なんて事になると困りますよね。

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