医療機器メーカーのテルモ社が6月から新聞,雑誌に「医療の挑戦者たち」というシリーズ広告を掲載しています。

新聞広告としては朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、静岡新聞、山梨日日新聞の各紙に掲載されているようです。

なかな興味深い内容です。どの広告で取り上げられている内容もそれ自体ノーベル賞の対象となってもよいような業績で第4回でとりあげられたヴェルナー・フォルスマンは実際にノーベル賞を受賞しています。

フォルスマンの発明は,現在のノーベル賞の受賞対象から考えれば「こんな単純な発見で」という業績なのですが医学の発展への貢献は計り知れません。

中心静脈カテーテルを用いた栄養法も単純ですがこの技術無しには現在の先進医療は成り立たないほどの大きな技術です。

パルスオキシメーターの開発も医療に変革をもたらした発明です。

現在パルスオキシメーター無しのcritical care medicineは考えられません。手術中に使うモニターを一つしか選べないとしたら多くの麻酔科医はこのパルスオキシメーターを選ぶと思います。血圧測定より麻酔管理にとって有用な情報を提供してくれます。

パルスオキシメーターの技術は日本人が日本で発明したという事は麻酔科医にはよく知られていることですが一般的にはあまり知られていないことだと思います。

これにノーベル賞が出ても誰も異議を唱えられないと思います。助けた命の数は計算できないほど多いと思います。

肺がんの治療でも変異EGFRを標的とした治療が実用化されEML4-ALKを標的としたものも実用一歩手前です。ヘルペスウイルスを利用した脳腫瘍の治療法の開発も行われていています。後者の二つは日本人による成果です。

これらは完璧な技術ではなく欠点もあることは素人のぼくでも指摘できるのですがそれを書くことは目的ではありません。

日本発の治療法がいくつもあるということを強調したかっただけです。

iPS細胞はすばらしい発明です。今年ノーベル賞が出ても問題ないし,疾患の治療への応用が確立してから受賞してもそれはそれでどちらでもよいというような偉大な業績だと思います。

個人的には早い目にノーベル賞と文化勲章を同時に受賞,受章して騒ぎから解放された方がよいと思うので今年に,と思います。 どうなのでしょうか? あと数時間で結果は出ます。

もちろんそれ以外にも日本人がなした発見でノーベル賞に値するものはいくつもあると思います。

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最新号の医学雑誌”New England Journal of Medicine”にThe Past 200 Years in Diabetesというタイトルの総説が掲載されています。

糖尿病研究の200年を回顧したものです。その総説によれば糖尿病研究から7つのノーベル賞が出ていると言うことです。詳しく見てみると牽強付会の嫌いも無きにもあらずですが素直にそうだと言うこともできます。

原因,インシュリンの同定,その配列の決定,遺伝子の単離,組換えタンパク質を使った治療,またその後の研究はこの疾患の多くは生活習慣によるということの発見,さらに患者の疾患の自覚とそれへの教育体制の確立へと至までの過程は,現代の慢性疾患への人類の挑戦のロールモデルになっています。 200年の蓄積というか歴史の上に現在の治療が立っています。

“Standing on the shoulders of giants”という言葉がありますが全て学問はそのようになり立っているのだと思います。

ぼくは大学院に入った時にはもう亡くなった指導教授に「自分の研究が世の中の役に立つ」などと思うなと言われて研究を始めましたが最近では発見が直接臨床に還元されるというようなものも増えてきていると思います。若い先生はどんどん挑戦してください。でも一方臨床現場で患者に張り付くような臨床医としての活動も意味があることだと思います。

マスコミによれば今年はiPS細胞以外に文学賞を村上春樹氏が受賞することになっているようです。

文学体験は勝れて個人的な体験でありノーベル賞作家の小説がそれ以外の作家の小説より劣っているとか勝れているとか一般的に議論することに意味があるとは思えませんが仕方ありません。

ぼくは個人的には高校生の時代に読んだ大江健三郎氏の小説で人生が変わったと思っています。だからといって現在の彼の活動を評価しているわけではありません。村上春樹氏がノーベル賞を受賞しても小説の執筆に全力を投入してもらいたいと思います。領土問題などを彼が論じる必要など無いと思います。


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昨日家内と25年以上ぶりに山辺の道を歩きました。

桜井から入って天理までと思いましたが,崇神天皇陵を過ぎたところで横にそれて柳本でJRに乗って桜井まで戻りました。

天気がよくハイキング日和でした。大和青垣の風景は素晴らしく来年は春に訪れようと思いました。

【追記】
首尾よく今年に受賞されたようです。よかったです。近年まれに見る発明だと思います。


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ぼくの,ノーベル賞予想がはずれっぱなしです。
臨床応用ができてからとか皆さんおっしゃいますがあれはあれだけで十分すごいとぼくは思っているのですがどうでしょうか。
また無くなったDCの先生はノーベル賞を決めた時には生きていたのでしょうからよいのでは無いでしょうか。
また稲葉先生がやはりただ者ではなかったのだということを思い知りました。

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日曜日早起きをして家内と高野山に出かけました。
関西生活も30年ほどですが一回も尋ねたことがなく今回行かなければ一生行かないー行けないー様な気がして一念発起しました。

実は芸術新潮 2011年 08月号に触発されただけです。

南海電車に乗ったのも30年の関西生活ではじめてでした。
なんば駅に降りたのも初めてであまりにきれいなのでびっくりしました。イメージとしてぼくなどを受け付けないような怪しさがあるとばかり思い込んでいました。

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南海特急で極楽寺まで行くはずが台風の影響で不通区間があり橋本からはバスで移動して紀伊清水駅から再度南海電車で極楽寺に到着。ロープウェイで5分で高野山駅に到着です。奥の院行きのバスに乗り込みまず「奥の院」を攻めました。

おびただしい数の大名の墓というか正確には供養塔ーどう違うのか全く解っていませんけどーが建ち並んでいます。空海の威力でみな成仏したいと思っているのですね。実は勝手に自分で石を運んで置いていったものも多いとか。これにはびっくりです。

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一番奥の大師御廟でぼーっとしていると大師の声が聞こえてぼくもついに悟ったかと錯覚したほどです。

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その後歩いて刈萱堂の前を通り,千手院付近まで戻り金剛峯寺を経て不動堂,大塔,金堂,御影堂と壇上伽藍の建物を経て,廻り大門まで歩き続けました。気温12.6度だったようです。

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最後は霊宝館を観ました。

「弘法大師と密教儀礼」をやっています。

八大童子立像 (矜羯羅童子像),八大童子立像 (制多伽童子像)などは展示されていませんでした。

その後,バスに乗って高野山駅に向かいました。

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行きを逆にたどりなんば駅に到着で,今回の旅はお終いです。

とても感銘を受け今度は四国を巡ろうと家内と話していたところ菅直人が…(参照

一気にやる気を失いました。

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来週ASAでアメリカに行きます。今日からポスターを作り始めました。
殆ど調べていなかったのですが日本からの演題数ってすごく多いのではないでしょうか。今日やってきた業者の方に聞いたら150人とか200人とか話していました。某アプリの検索窓に”JAPAN”と入れるとすごい数の演題が出てきますよ。すこしびっくりしました。
ここまで多いとASAにJSA分科会を作ってもらって日本語で盛り上がるという手もあるのではないかとかJSAでASA分科会を作っても同じではないかと考えました。

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麻酔科の医者なら誰でも知っているbig nameに諏訪邦夫先生がいらっしゃいます。
麻酔科学の分野だけでなく知的生産に関わるいろんな分野で大活躍されておられます。
今回,『蘭学事始』と『北越雪譜』を現代語訳されて今日 fileを送っていただきました。
実は似たようなfileは先生のサイトからも取る事ができます。
「北越雪譜」はぼくの生まれた地方が舞台のドキュメントです。

先生は講談社のブルーバックスも何冊も執筆されていてそのうち

#情報を捨てる技術―あふれる情報のどれをどう捨てるか

#発表の技法

#酸素はからだになぜ大切か―いつも酸素は不足している!

これらの三冊はすごくよくできています。
発表の技法はぼくの方法論の原点で今でも手元に置いてあり大きなpresentationの前には読み返します。なんと1995年の出版ですが全然古くなく今でも全く問題なく通用します。
酸素はからだになぜ大切か―いつも酸素は不足している!も重要な本でこの本を読まなければぼくは低酸素の研究をしていなかったと思います。

芸術新潮 2011年 08月号 [雑誌]


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集中力の射程

On 2010/10/7 木曜日, in Thus Spoke Dr. Hypoxia, by bodyhacker

結局昨晩は睡眠6時間程度でしたが今日はとても体調がよく完徹のaftermassはありませんでした。”修行”により体質が改善したのでしょうか。最近は酒にも結構強くなったしもしかしたら解脱したのかもしれませんね。それとも二日三日してから効いてくるボディーブローのようなものとなるのでしょうか。

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ノーベル文学賞の発表がいよいよ明日となりました。村上春樹氏が受賞した場合どこかのテレビにでるのでしょうか。夜9時には寝ているはずなので夜のニュース番組への出演はできないのでしょうか。そこら辺が気になります。

さて彼のインタビュー集が出版されました (夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです
)。

ざっと二回ほど読みましたが受賞しても”俺は何もしゃべるつもりはないのでこの本読んでくれ”というメッセージなのではないかと思うくらい結構いろんなことを語っていると思います。これで映画のノルウェイの森も大当たりで勘違いして映画を観に行ったおじさん、おばさん、おじいさん、おばあさんの顰蹙を買ってしまうなど想像するだけで楽しくなります。

18本のインタビューが収められていますが一番面白かったのはロシアの読者との一問一答形式の2003年のもの「お金で買うことのできるもっともすばらしいもの」でした。自分の小説の最終目標を「カラマーゾフの兄弟」に置いていると断言していました。

2004年に行われた「何かを人に呑み込ませようとするとき、あなたはとびっきり親切にならなくてはならい」も興味深いものでした。心情的には村上氏も「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」が一番好きかもと言っています。神戸の人間より、京都に人間の方がよほどエキセントリックだとも言っていますが、これの真偽はぼくには判断できません。神戸の人間をそんなに知らないし京都の人間と言ってもぼくが付き合っているのは大学周辺のはじめからエキセントリックな人が集まっていそうな場所に生息する人たちだから。

小説創作における集中力の話をしている箇所がありました。

音楽と小説創作では集中力の外見が違っているだけで集中力が中心的な役割を担っているということは同じだと。
ぼくは医者で研究者ですが、医療も研究も一番大切なのは集中力です。
医者と言ってもぼくは麻酔科の医者ですが、この場合、集中力は短期間ー 24時間を超える手術に最初から最期まで付き合うことはまれですーでありより tangibleなものです。患者が覚醒して家に帰るまでは毎日患者に集中しています。もちろん強弱をつけなければ毎日朝から晩までやっていることはできません。たまに、お前は時々眠っているだろうというツッコミもあると思いますが眠っていても集中はしています。ここら辺は麻酔科の医者にはよく解っていることですが他の人には理解が難しいかもしれません。研修医などは覚醒しても全然集中していませんしね。麻酔が要求する集中力はプロセスがおわればそこからは解放されます。その意味では短期決戦です。

一方、研究は集中力の射程はもっと長いしまた内省的です。麻酔よりは強い耐性も必要だと思います。

この辺が判らないとなかなか自分がやっていることの意味あいが感覚的につかめずに悩んでしまうこともあるような気が
します。
うちの先生方はどういう風に感じているでしょうか。

夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです

御大ブログにこんなエントリーがありました。
書けません普通の人には。

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