2016年のベスト本

On 2016/12/30 金曜日, in book, books, Kindle, by bodyhacker

2016年のベスト本

前回のエントリーで予告した通りに昨年に続き「2016年のベスト本」をやってみたいと思います。

本は基本的には通勤電車([25分+20分]x2)の中でしか読まないのでそう多くの本を読むわけではありません。


フィクション

結構最近「蜜蜂と遠雷」を読みました。これは力作です。

コミックの「ピアノの森」と似ているところはあったと思いますが一気に最期まで読まされました。

才能と努力とかそのような話題を考えさせられます。結構な分厚さで上下二段で正月休みにもってこいのボリュームです。

 

「風が強く吹いている」」も偶然映画を観てそれで読みなおしました。

こういう小説ってたぶん英語に翻訳される機会は少ないと思うのですが読んだ人のその後の考え方にとても強い影響を与える可能性があると思います。

 

 

「マチネの終わりに」には新聞の連載小説ですがぼくはcakesでの連載でフォローしていました。まとめて読んだのはKindle版でamazon unlimitedで読みました。

「夜行」もすごく楽しめました。「蜜蜂と遠雷」と共に直木賞の候補になっているようです。

京大も20年後には平野啓一郎,森見 登美彦,万城目学の母校として知られるようになると思います。

 

 

麻見 和史さんの警察小説のシリーズがあります。 如月塔子という名前の女性刑事が主人公で副題に警視庁捜査一課十一係とあるように彼女を巡る群像が殺人事件と絡められて進行していきます。 数年前に文庫本を見つけて文庫本になっているところまで(6冊あります)は全部読みました。

「警視庁捜査一課十一係」の面子が正式な捜査会議のあと集まって一杯やりながら行う事件の「筋読み」のシーンがうまく書かれています。実験室でも気軽にデータを持ち寄ってお互いに批評しあう雰囲気があると研究も楽しくなりますよ。 テレビドラマにもなっています。 「石の繭」と「水晶の鼓動」が「如月塔子」を木村文乃さんが演じて公開されています。 小説も面白いですがドラマもおもしろいです。木村文乃さんは好演というか彼女しか適役はいないという演技です。 読むのが面倒な人はビデオ観てください。結局本も読みたくなると思います。「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」を凌駕するおもしろさです。

文庫本を6冊とビデオを見たら正月休みの暇つぶしになります。

 

「パードレはそこにいる」 騙されたと思って読んで見ると得します。(上)(下)あります。

でベストは

「ブラインド・マッサージ」

ブラインド・マッサージ (エクス・リブリス)

です。


ノンフィクション

「村に火をつけ,白痴になれ――伊藤野枝伝」 「狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ」には驚きました。

「狂う人は」年末の各紙の今年の三冊とかの特集でも多くの評者にあげられていました。島尾夫妻もすごいけどこれを書き切った著者の梯さんにも脱帽です。

 

「解縛: 母の苦しみ、女の痛み」

文庫本を読みました。 家内も母親にどんな気持ちを抱いているのか聞きたくなりましたが怖くなって止めました。

 

「母の母、その彼方に」

雑誌「考える人」の連載の単行本化されたものです。大阪の箕面が舞台なのでより興味をもって読むことができました。

 

池澤夏樹さんが編集して刊行が続いている河出書房新社の日本文学全集のうち今年刊行された

「日本語のために」

「枕草子/方丈記/徒然草」

「平家物語」

を読みました。

特に酒井順子さんが担当した枕草子は橋下治さんの「桃尻語訳 枕草子」を凌ぐ現代的だな名訳だと思います。

 

翻訳物の医療関連の一般書が何冊か出版されたました。

「死すべき定め――死にゆく人に何ができるか」

「脳外科医マーシュの告白」

「いま、希望を語ろう 末期がんの若き医師が家族と見つけた「生きる意味」

それぞれ

Being Mortal: Medicine and What Matters in the End

“Do No Harm: Stories of Life, Death and Brain Surgery”

“When Breath Becomes Air”

の邦訳です。 全部英語で読みましたが,死すべき定めは邦訳も読みました。英語が難しいかったです。

医学部の教材にしてもよい三冊ですが一冊選べといわれたら断然“Do No Harm”です。素晴らしい。

 

「エンゲルス: マルクスに将軍と呼ばれた男」 と「日本語を作った男 上田万年とその時代」 は堪能しました。

「これからのエリック・ホッファーのために: 在野研究者の生と心得」   には考えさせられました


英語の本で邦訳がまだ出ていないものとしては

“The Undoing Project: A Friendship That Changed Our Minds”

“The Gene: An Intimate History”


「断片的なものの社会学」

は今年読んだもののベストなのですが2015年の発行なのでおいておきます。

 

でベストは

 “Lab Girl”

です

New York Times で二つ書評(これこれ)があってNatureでも紹介されています。

ハワイ大学の研究者Hope Jahren氏の回想録です。

女性研究者の回想録という側面が強いですが「リケジョ」的な話ではありません。 全ての理系研究者は読んだらタメになります。

翻訳がでたら読んでみたいと思います。これがどういう感じに日本語になるのか興味があります。

Kindleと紙の本を両方持っています。これもKindleで買えるので正月休みで読み切ることができます。

Lab Girl (English Edition)

 

翻訳物といえば 「小澤征爾さんと、音楽について話をする」英訳がでていました。

楽しめました。

 

以上です。

本なんて高いようで安いです。このほかにも買いたい本は買いますがたぶん月に2万円は使っていません。

 

 

【追記】

 これ忘れていました。

「脳梗塞日誌 ~病棟から発信! 涙と笑いとリハビリの100日間 」


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2014年のベスト〜本〜

On 2014/12/23 火曜日, in hypoxia reseacrh, by bodyhacker

天皇誕生日です。 「平成」も結構な長さとなりぼくの人生でも「昭和」だった期間と「平成」だった期間がほぼ均衡してきました。

「平成」は今上天皇の時代という印象以上に皇后陛下の時代という感じもしますね。美智子さんを見つけてきた人は慧眼の持ち主だったなと思います。

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2014年のベスト〜本〜

〜フィクション〜

小説は毎年再読する何冊かのものは読んだのですが新刊の小説は「読んだ」という程読んでいません。ーここまでは去年と一緒ですねー

新刊の単行本では翻訳ですが「重力の虹」「甘美なる作戦」は読みました。

ピンチョンとマキュアンが日本語で読めるというのは本当に幸せだと思います。

ピンチョンの”Inherent Vice”「LA ヴァイス」が映画化されたそうです。日本で公開されたら映画館に足を運ぼうと思います。

マキュアンの新作は”The Children Act “です。またもや女性が主人公で今回はエホバの証人問題を扱っています。 これも一応読みましたが当然的にぼくの英語力では小説をenjoyできるほど深く読めない訳です。日本語訳が待たれます。

 

キャプテンサンダーボルト」は楽しめました。

阿部和重氏と伊坂幸太郎氏の合作ということでどんなんかなという気持ちもありました。

伊坂幸太郎の小説は何冊か読んだいるのでがどうしてもリズムに乗って読めないという事がぼくにはあります。

一方阿部和重の小説はそう多くはないのですがほぼ全部読んでいます。彼の小説の舞台は彼の出身地の山形県の東根市神町を舞台に取ることが多いのですが去年の12月に銀山温泉に連れて行ってもらった際に高速道路で通った程です。すげえ田舎なあの場所を舞台にあんな大きな物語を紡いでいるのかと思うと感慨深いものがありました。

Brutusの特集記事は読みました。二人とも大江健三郎に影響を受けていたこと言うことを話していて嬉しくなりました。

とにかく「キャプテンサンダーボルト」は傑作だと思います。二人ならマイケル・シェイボンも越えられると思います。

 

という訳で今年のベストは 「東京自叙伝」 としたいと思います。 

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〜ノンフィクション〜

通勤時間が比較的に長く本を読むことは多い毎日です。というわけで書評などで評判の本やずっとフォローしている著者の本は読みます。

明治の表象空間」 「文体の科学」 「好奇心の赴くままに ドーキンス自伝I: 私が科学者になるまで」 などは読みました。

明治の表象空間」には驚きました。このような考えを一冊の本に取りあえずまとめきってしまうという強靱な頭脳に圧倒されます。脳力が高くないと無理です。 橋下治さんにも感じる印象です。

一方「「ボヴァリー夫人」論 」とか「折口信夫」とかは未読です。読みたいのですが一気に読む時間と気力が持てないのです。

その中でベストは

弱いつながり 検索ワードを探す旅

としようと思います。 直ぐに読み通せる著作です。 オープンで示唆的で誰がどう読んでもよいと思いますが是非とも読んでみてください。

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生命科学での今年の最大の話題はSTAP細胞にまつわる問題だったかも知れません。

起こったことは科学上のmiscoinductによって一度は世に出た論文が撤回されたということなのですが、世間的に大きな注目を浴びました。 これは特に日本だけで起きた問題ではなく洋の東西に関わらず起きてきたことだと思いますが、日本の受験制度、大学・大学院教育、研究評価システムなど日本の生命科学システムが抱えている問題点がその全ての局面で噴出したような事件となりました。「検証」は終わったということですが「真相」は闇のままで阿「明らか」になることはないと思います。

いわゆる「近藤誠問題」も今年もさまざまな形で取り上げられつづけています。近藤氏はどんどん先鋭化して行っているようです。

患者は 自分の人生なのだから自分で好きなようにしたらよいとは思いますが、あきらかに誤った情報に基づく行動をとったのでは命がいくつあっても足りません。 患者は医学のskillと人間としてのdecencyを持った医者を探してその医者と一緒に自分の人生を考えるしかないと思うのですがその受け皿に誰がなるのかなど未解決な問題は多いと思います。こういう問題は「再生医療」や「先端医療」を喧伝することより重要な問題だと思うのですが…

というわけでこれを科学本と呼ぶのは不適切かも知れませんがこの分野のベスト本はGawande氏の”Being Mortal: Medicine and What Matters in the End“としようと思います。このよう問題について提起を行ったものです。New York Timesでも回数だけ数えたら”Taylor Swift”に匹敵する回数取り上げられていたと思います。-New York TimesがあれだけしつこくTaylor Swiftを取り上げる理由がよく解りません-

おそらく邦訳も出ると思いますが内容は特に過激ななわけではないし話題にはならないかもしれません。

名郷直樹さんの「「健康第一」は間違っている」も同じ事を言っていると思います。こちらの方がよほど挑発的かも知れません。

 

吉川 浩満 さんの「理不尽な進化論」もすごく評判となりました。 これをきっかけに吉川さんと「文体の科学」に加えて山本 貴光さんの共著になる 「心脳問題」を読みました。

心脳問題」は部分的には三回くらい読み返しました。 麻酔科の医者ですので麻酔状態ってどんな状態かに興味があります。それに関する研究も多く発表されていますがぼくとして満足なものはありませんでした。理由が「心脳問題」を読んで解ったような気がしました。 麻酔科の領域でこの分野の研究をしている人たちは少なくとも「心脳問題」や「意識をめぐる冒険」の問題提起に答えを出す様な研究をやってもらいたいと思います。現状では、小難しい話をして皆を煙に巻いているとしか言いようがないと思います。

文体の科学」はともかく「理不尽な進化論」と「心脳問題」はすこし難解だと思います。行ったり戻ったりを繰り返さないとぼくには通読せきませんでした。特に「心脳問題」は難しいけど通読する価値は大いにあると思います。医学部・医科大学の授業で教科書として取り上げる価値がある思います。


「シグナル&ノイズ 天才データアナリストの「予測学」」 Nate Silver氏の主著の邦訳。

「パンダ――ネコをかぶった珍獣」 岩波科学ライブラリーの一冊。パンダ博士になれます。

 

東京自叙伝弱いつながり 検索ワードを探す旅 Being Mortal: Medicine and What Matters in the End

 

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