推薦図書 10冊 2020年4月版

On 2020/4/8 水曜日, in books, Lifehacking, by bodyhacker

四月から大学院生として研究生活に入る皆さんが読んだらよいとぼくが思う10冊を推薦します。

以前にも数回同じ趣旨で本を紹介しましたがその2020年版です。

これら10冊は、ぼくの場合、本棚のアクセスしやすい場所においてあり年に数回か何らかの形で眼を通すぼくにとっての「座右の書」です。

一冊を除き新書・文庫本で選びました。

値段が安いし通読するのが容易だと思うからです。

「勉強の哲学」

千葉 雅也氏の一冊。

なぜ人は勉強するのか?「深く」勉強するにはどうすればいいか?ノリが悪くなる、キモくなる、小賢しくなることを恐れず、言語偏重の人になって視野を広げ、享楽に身を任せて勉強を続ければ、新しい自分になれる―。独学で勉強したいすべての人に向けて、その技法をわかりやすく解説。補章が加わった完全版。

です。

勉強のメタアナリシス。

ぼくは「勉強」する事が大好きで研究もその延長線上でやっている訳です。大学に入って「勉強すると褒められる」という世界がこの世の中にあると知って以来さらに勉強好きになりました。

「日本語作文術」

「文」から「段落」そして段落の組み立てである「論証」へと流れていく過程が丁寧に解説してあります。

とにかく日本語重要。学会の抄録できちんと書けてないものはたくさんあります。というか字数制限のある抄録の方がよほど難しいのです。

この本を読んで、意識していくつか文章を書いてみるとだいぶ違ってきます。

いまやきちんとした日本語が書ければ機械翻訳でそこそこの英語へ変換することが自分のMac上でできます。

しかし論理的な一意に決まる日本語化を書くことができなければ妙な英文()に翻訳()されてしまい却って手間が掛かってしまう場合もあります。

現在ぼくは、英語に機械翻訳した場合にきれいな英語になる日本語を意識的に書く訓練をしています。

「発表の技法」
諏訪邦夫先生の**1995年**!! 出版のブルーバックス。

ぼくは、人前で話すのは得意ではありませんが学校の教員ですのでいろんな機会にいろんな聴衆に向けて話すことがあります。

基本的にこの本の方法を踏襲しています。20年経ってもまったく内容は現代的です。プレゼンターション用のスライドがこうあるべきであるという箇所は基本過ぎてどこにも書いてない内容が懇切丁寧に書いてあります。

本は絶版ですが、Kindle版はあるようです。以前にこのブログで紹介したことがあります[参照]。

「暇と退屈の倫理学」

頭の体操になります。

研究は少なくともぼくには一種の「暇つぶし」-暇と退屈の倫理学の文脈で-なのですが、それでも自分は何をしているのかについてを意識しなければどこにも行けません。

暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator)

以前に紹介したことがあります[参照]。     

「学生との対話 (新潮文庫)」

「信ずることと知ること」が収録さています。

講演録です。

講演の音声を収録したDVDもあります。講演のタイトルは「信ずることと考えること」。

以前に紹介しました[参照]。

「数学文章作法 基礎編」

「数学文章作法 推敲編 」
タイトルは「数学」とありますが、全ての理科系の文章に当てはまると思います。

「基礎編」は以前に紹介しました。

「20歳の自分に受けさせたい文章講義」
it worksという感じの一冊。

以前に紹介しました[参照]

「科学的方法とは何か」
1986年出版の中公新書です。 以前に紹介しました。

内容はいまだ全く色あせていません。

「武器としての交渉思考」
サバイバルには必須の技術です。

以前に紹介したことがあります[参照]。

以上です。


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Dr. Bonoの生命科学データ解析-読書会 @大阪 参加者募集中です。

昨日丸一日、日当直でした。

夕ご飯食べてシャワー浴びてから働きました。


論文がアクセプト

大学院生の先生の論文がアクセプトされました。

「箸の上げ下ろし」まで指導してくれるある意味妙に親切ーそれでいで一切の追加実験を要求しないーなreviewersだったので書き換え作業をしただけなのですがそれでも二回もrevisionをさせられました。

最初に投稿した雑誌のreviewerにはこれが本当ならこの業界の常識が変わるのだからお前らの主張を簡単には受け入れられないとまでいわれた-Thus, proposing such a paradigm change or new mechanism must be accompanied by evidence demonstrating that …-のでとにかく皆が知っている雑誌に通してしまいたいという気持ちが強くて最終的にはPLOS ONEに採ってもらいました。

皆に受け入れてもらえる様にdataの出し方も工夫したしまあよかったと思います。

figureが8つでsupplementaryが9つで学位審査で全部説明していたら二時間くらいかかるかもしれません。

よかったです。


「教科書が読めない」

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI, AI技術の解説書なのですが格好の例(東ロボくん)を用いているのでとても分かりやすいというか分かった気にさせられました。

医療の世界では、AIとかAI技術の導入より前に日本ではもっと規制緩和をすすめる必要はあると思います。「電子カルテ」もひどい。診療録や画像の共有だってまだまだだし。遠隔診療もいいけどここら辺をまず進めたらいいと思います。

 

第3章と第4章がこの本のキモだと思うのですがぼくの個人に戻って考えてみるとすでに手遅れですね。

 

入学試験のミスが発覚してちょっとした議論を呼んでいます。

新聞ではこんな論説も見つかります(参照1), (参照2)

そうであれば、試験実施後、できるだけ早く問題と模範となる解答例を公表すべきだろう。

というのですが、国語とか英語の論述問題では逆に大きな混乱を呼ぶような気もします。そもそもこのような問題がどのように採点されてるのかの実態を無視している議論と思います。


生駒さんが「卒業」

乃木坂46の生駒里奈さんが「卒業」だそうです。 彼女自身以下の様に語っています。(参照)

20歳になった頃から、大人として一人で生きていくためにはどうしたらいいのか、具体的に自分のこれからを考えた時に私はこのままでは足りないなと、プラスで自分を高めないといけない。 ここだけじゃ足りないと思う様になりました。

ぼくも

50歳になった頃から、ピークをすぎた老研究者として生きていくためにはどうしらいいのか、 具体的に自分のこれからを考えた時に私はこのままではやりすぎなので、 もう自分を高めようというような無駄な努力やめようと思う様になりました。

結構やったしもう多分ホームランとか三塁打-被引用回数が500回を超えるは打てないだろうという気もしているわけです。研究を止めた知り合いも何人もいるし。

とはいえ研究をしている犬も歩けば棒に当たるという具合で何かを見つけたりするのでなかなか「卒業」できません。

恩師には、研究は牛の涎みたいにキリががないからほどほどにしろといわれました。 でも、その「ほどほどが」わからないのです。 その恩師とて、定年で退職する少し前からしきりに自分が行けー院長としてですけどーと言われている病院は普通の病院だからもう研究ができなくなるのだもっと時間があればいろんなことができるはずなのに悔しいとぼくに語っていました。

時々先生の魂がまだ漂っているような気もするし。


PubMedCommonsが閉鎖

だそうです。

やっぱり匿名でないと「談論風発」しないのでしょうか。


研究室でどう集中力を持続するか

研究室ではこんなメガネを使っています。(JINS MEME)

朝出勤するとこれに着替えます。

なんか強制的に集中モードに誘われる感じがしてこのメガネをしている間は一種の戦闘モードになります。

今日は今まで

深い集中:1:45

集中:3:15

です。


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昨年出版され米国でロングセラーとなっているThe Immortal Life of Henrietta Lacksの日本語訳が出版されるようです。以前紹介しました (参照1参照2
Amazon.comのkindle eBookもいまだにかなり売れているようです-$9.83です-。確かに読み応えのあるnon-fiction作品です。実験でHeLa細胞を使っているような人であればかなり面白いと感じると思います。邦訳がどの程度のできなのかは読んでいないので解りませんが最近は悪い翻訳本は随分と減ってきました。
あるとすれば大きな教科書を何人もの医者が訳しているというような場合に限られてきているのではないでしょうか(具体的に名指しをするのは差し控えますが,ぼくらの領域にも何冊かあります)。

不死細胞ヒーラ  ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生

http://farm3.static.flickr.com/2366/5803784300_b43bfdfdf9_m.jpg

生物学の研究において独創性とはどのように定義されるかというのはすごく昔から議論されてきた問題です。
生命科学まで間口を拡げればiPS cellの研究などは発明だし,創薬などについては独創という概念は比較的に適応しやすいと思いますが基礎的な生物学は生物が生物たる構造や機能の解明が目的である以上,また生物はそこにあり生きている以上,その仕組みを人間が”創造”するということはあり得ないとぼくは考えています。蛋白質や遺伝子のクローニングなどもその最たる例でしょう。対象となった蛋白質,遺伝子は研究者が見つける以前に存在しています。研究者はそれを「発見」しただけです。
発見法に新奇性はあったとしても蛋白質,遺伝子自体を「創造」したわけではありません。
そういう状況の中でまったくのconventionalな手法である性質を持つ蛋白質を同定して解析するという手法は健在です。
MCM Proteins Are Negative Regulators of Hypoxia-Inducible Factor 1

Molecular Cell, Volume 42, Issue 5, 700-712, 10 June 2011

GLS研ではこの手法で過去にいくつもの論文を報告しています。質量分析計を利用するようになりプロセスが高速化しているだけです。
そもそもHIF-1自体も考えられるもっとも正攻法を用いて単離された転写因子です。彼の方法論の根底にこれらを可能にする何かあるのだと思います。二年半彼といてかなり解ったと思ったのですがまだまだです。
同じ号のMolecular Cellに
A HIF-1 Target, ATIA, Protects Cells from Apoptosis by Modulating the Mitochondrial Thioredoxin, TRX2

Molecular Cell, Volume 42, Issue 5, 597-609, 10 June 2011

も掲載されていました。これはなかり興味深い論文です。
TRXとHIFっていろんな経路で深いつながりを持っています。その一端ですですね。
そうそう「細胞を創る」というような研究も最近あります。

平野啓一郎さんの小説「決壊」が文庫本になったようです。
以前に紹介したことがあります(参照)。

決壊〈上〉 (新潮文庫)

決壊〈下〉 (新潮文庫)

上・下合わせて1360円。タダみたいな値段ですね。

月曜日に投稿していた院生のKさんの論文の審査結果が帰ってきました。
初回は6人のreviewerにいろんな事を言われたのですが今回は3人まで減ってコメントもほとんど些末な事項になっていました。でも,一つだけ言っていることがよく理解できないコメントがありここ二日づっと悩んでいました。共著者のH田さんにアドバイスを求めたところナイスな指摘をしていただき疑問氷解です。よく考えたら初めの時のコメントもこのことを主に問題にしていたんですよ,reviewer1は。
というわけで追加実験無しでrevisionを終える決心がつきましたしこれで落とされることもないと確信しました。
久々ですねこんなにスカッーとしたのは。

ホントこうなると他人の論文を暢気に査読している場合ではありません。とっと問題点を挙げて残り一つをかたづけてしまおう。査読は一種の義務とはいえいくらやっても誰もほめてくれませんしね。自分たちの論文にはいろんな意味で人生がかかっているんだよ。

村上春樹の”What I Talk About When I Talk About Running”から

Pain is inevitable. Suffering is optional. Say you’re running and you start to think, Man this hurts, I can’t take it anymore. The hurt part is an unavoidable reality, but whether or not you can stand any more is up to the runner himself. This pretty much sums up the most important aspect of marathon running.

ほんと良いこと言いますよね。文学者の責任とかいって妙な政治的な発言などしなくて良いのに。
ぼく,中学生の時は陸上部でタダひたすら走らされていました。しんどいときに唱える言葉というか歌というか思い出すある情景がありました。研究でも臨床でも”しんどい”時に唱える「マントラ」って誰にでもあるのです。

The Immortal Life of Henrietta Lacks


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