ここ1ヶ月結構忙しかったのです。


映画「ハナレイ・ベイ」

土曜日に家内と映画を観ました。

「ハナレイ・ベイ」

村上春樹氏の同名の短編小説の映画化です。

ファンの間で村上文学史上屈指の名作として語られており、この度待望の実写映画化となる

流石にこれは言い過ぎだろうと思いました。

金曜日に日本経済新聞に映画評が載っていたので気づきました。

大阪駅の映画館で観たのですがほぼ満員でした。これには驚きました。

是枝裕和、西川美和氏の映画でも結構席が空いている場合も多かったのにいくら村上春樹氏原作の映画化と言ってもこの混み具合はというくらいいっぱい人が入っていました。

「カメラを止めるな!」には負けてましたけど…

 

映画は、原作にほぼ忠実に進んでいきます。 セリフもほぼ小説の通りなのですがところどころに小説にはない小ネタが仕込んでありました。

映画は大成功。 小説を読んで感じた人は映画を見たらいいし、映画をみて感動した人は小説を読んだら良いと思います。

家内も帰宅後早速読みはじめてました。

 

映画化されるという話を以前どこかで読んだ時確かにこれしかないかとは思いました。いくら面白くてもカエル君とか猿がしゃべる小説を映画にする訳には行かないだろうと思ったからです。

 

とにかく一度観ても損はしない、と思います。

本日公開!映画館来場者特典!
気になる特典は「映画鑑賞後にお開けください」とだけ書かれた封筒が配られ、映画本編とリンクした特典となります。もちろん内容はシークレットですが、封筒の中には本作にとって重要なあるアイテムが封入されております!

ぼくは貰いました。

映画を見終わった後に見ろと書いてあるのに家内はさっさと開けてましたけど。

 

東京奇譚集 (新潮文庫)


山本雅之先生のセミナー

最後に職場の大学院企画セミナーのお知らせをします。

東北大学の山本雅之先生に 10月31日(水)17:30~19:30の予定で 関西医科大学の加多乃講堂(枚方学舎の一階) で 「東北メディカル・メガバンクの構築と生体の酸化ストレス応答研究」というタイトルで講演をしていただきます。 学外からの聴講も大歓迎です。 奮ってご参加ください。


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iMac問題

iMacですが修理終了で明日手元に届きます。電源系統の交換が必要だとおもっていたのですがあっさりと「修理」が終わったようです。 木曜日の朝にクロネコ便がpick upしに来てくれて金曜日には修理完了で今朝(月曜日)午前中にぼくの手元に戻って夕方にはセットアップを完了するか、な。

と思いきやtime machineで取ったbackupの復元中に電源が落ちるという現象が再現してしまいました。

Appleに連絡を取ると「問題のあるbackupから復元を試みたから問題がbackupからiMacに持ち込まれて」しまったのだということ。

ぼくがすべきだったのは、「復元」ではなく移行アシスタントを用いた「移行」だったのだそうです。

とうわけで振り出しに戻ってしまいました。

朝から快調に論文の作業を進めていたのに…

最後に追加した項目-411


研究医養成コースコンソーシアム発表会

木曜日・金曜日と二日間の日程である合宿に参加しました。

研究医コースを運営している阪神地区の5大学で構成されるコンソーシアムのリトリートです。

参加大学は、奈良県立医科大学大阪医科大学兵庫医科大学神戸大学関西医科大学です。(各大学の研究医コースの概要へは大学名からリンクしてあります)。読むと解りますが兵庫医大の制度はかなり太っ腹ですよ。

学生さんが29人、教員が20人の結構な規模の会となりました。 3大学で発足したコンソーシアムから数えて今回で4回目です。

ぼくの研究室にも学生さんを一人預かっているのですがぼく自身の参加は今回が初めてでした。

参加学生による研究・研究生活の発表をメインに参加教員による「私のこれまでの研究を振り返って」(涙無しには聞けない感じでした)などの講演に、「研究を進めていくのに必要な資質とは」をテーマとしたワークショップが加わって充実した二日間でした。

夕ご飯はBBQのはずが雷雨の予報が出て室内での食事になったのが残念でした。

ぼく部屋に参加している学生もちょっと変わっているのですがそれに輪をかけてたような学生さんも多かったような気もします。

薄汚れていない学生さんと研究について語るのは自分が自分の原点に立ち戻るきっかけを得るためにもよい機会でした。

最後に追加した項目-412


オリンピック、陸上400mリレーの銀メダル

すごいです。

ぼく的にはこのオリンピック最大の出来事だと思っています。 どこかがバトンを落としたとかの結果でなくガチで銀メダル。 よくぞあの4人を揃えたなと。

このNYTの記事では”Japan was the surprise winner of the silver medal“と書かれていました。

技術的な問題はさておきとにかく速く走らなければ無理っていう種目で最後はボルトの真横を走っていたわけで素晴らしいとしかいいようがありません。 東京オリンピックでは9秒台の選手4人揃えて頂点を狙って欲しいです。 このためなら10億円位投入してもいいのではないかと。

雑誌New Yorkerでは今回のオリンピックのいろんな出来事をネタにしたエッセーを掲載し続けています。

です。

その中から一つだけ紹介します。

THE BEAUTY OF SHAUNAE MILLER’S UGLY DIVE IN RIO

女子の400m走のゴールでSHAUNAE MILLERがゴールラインに向かってダイブして一着でゴールしてそのゴール自体はルール違反ではないのだが当然に如く様々な波紋を呼んでいる訳です。

このessayは、この行為が「美しいか」どうかという観点で考察したものです。

New York Timesでも解説されています(参照)。

村上春樹氏に「シドニー!」という本があります。

「村上春樹の極私的オリンピック、シドニーの23日間」、です。

2001年に出版されたのですがぼくはこれをニューヨークの紀伊国屋で買いました。

文春文庫では二分冊になって現在でも買って読むことができます。 「シドニー! (コアラ純情篇) 」「シドニー! (ワラビー熱血篇)

文字びっしりです。

この本、1996年7月28日 アトランタ、2000年6月18日広島ーシドニーの23日間ー 2000年10月20徳島、2000年11月5日 ニューヨーク という構成となっています。

1996年7月28日 アトランタ、2000年11月5日 ニューヨークはマラソンの有森裕子さん(シドニーオリンピックには出なかった)、2000年6月18日広島、2000年10月20徳島は同じくマラソンの犬伏孝之さん(シドニーオリンピックに出場して途中棄権した)についての文章です。 時間がなくともここだけでも読む価値があると思います。

以下は、2000年11月5日 ニューヨークの章の最後の方の文章です。

言うまでもないことだけど、この日常の中で、ぼくらは地べたにへばりついて生きていかなくてはならない。明日、明日、そしてまた明日。僕らは戦い続け、ある場合には途方に暮れる。でも一つだけ確かなことがある。もし競技者が闘争心を失ったらそれは闘うのをやめることなのだ。

そういう意味では、オリンピック・ゲームは僕らにとってのひとつの大がかりなメタファーなのだ、と言うことも可能なのかもしれない。もし僕らがこのメタファーと現実とのつながりを、世界のどこかに見つけることができるなら、言い換えればその巨大な風船を地べたにつなぎ止めることができたなら、それはおそらく価値のあることになるだろう。でももしそのメタファーが、もうひとつ別のメタファーとしか連結しれないとしたら、つまりひとつの風船が別の風船としかむすびついていないとしたら、僕らはどこにも行けない。僕らがたどり着く先は、おそらくは奇妙なかたちをしたメディアのテーマパークだ。

スポーツ選手にとってのスポーツは研究者にとっての研究と置き換えて考える事ができます。

又吉直吉の「リオデジャネイロ!」とか出たらおもしろそうです。

最後に追加した項目-356

【追記】

「シドニー!」読み切りました。

でも一つだけ認めなくてはいけないことがあります。ある種の純粋な感動は、限りのない退屈さの連続の中からこそー麻痺性の中からこそー生まれてくるのだということです。

しかしそれでもなお、僕はときどきはっと我に返って思うのです。ぼくはほんとうにこんなところでいったい何をしているのだろうか? 何をしているかって? そう、いつもの人生をおくっているだけです。僕自身の、それなりにクオリティーの高い退屈さを、そこにかさねあわせるようにして。Business as usual…..

研究が楽しいというひとの気が知れません。研究って95%は苦しさと退屈さでできていると思います。

アメリカのlabにいたときも一緒にやっていたポスドクのコナー君はプレッシャに耐えきれず登校拒否となり仕方ないのでぼくが三週間実験を全部担当しました。ほんと今回の石川佳純さんみたいな感じで…

一度に融合タンパクの為に20コンストラクトくらいのplasmidの切り貼りをして蛋白質をつくり、ラベルする。夕方オートらをはじめて朝の7時くらいにそれを開けて現像。バンドがあることを確認して一安心。GLSの出勤を待ってデーター検討(labの最重要projectになっていた)を毎日繰り返す感じ。ほとんどーしかしこれは全てではないーうまくいくのだがーデータが取れて白黒ハッキリすると言う意味ですーコケるとやり直し。これがウザい。

今回、愛ちゃんが「(再び声を詰まらせながら)とても、本当に苦しい、苦しいオリンピックでした」と話したそんな気持ちです。

三週間後コナーくんが出てきたときにはGLSさんが論文を書き上げていました。

 


症例報告

今年の3月まで一緒に麻酔をしていた西本先生の症例報告が出版されました。

Accidental administration of the remifentanil formulation Ultiva™ into the epidural space and the complete time course of its consequences: a case report

JA Clinical Reports, 2(1), 1-3

Open Accessですから誰でも全文を読むことができます。

手術室で使う麻薬(remifentanil)製剤Ultiva™を誤って静脈内でなく硬膜外腔に投与してしまったのですが、その最初から最後までをつぶさに記述した報告です。 臨床的な意義はかなり高いと思います。


Natureにある論文が出ていました。

大変興味深い報告です。この方向性で臨床で使える薬剤ができれば麻酔が確実に変わります。


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一気に日常生活に戻り今日はすごく疲弊しました。


さてお約束の第11会がんハイポキシア研究会の雑感をお届けします。

東北で初めての開催です。 昨年の横浜の会の懇親会の会場で酔った勢いで鈴木教郎さんが世話人を引き受けてくれたのでした。 酔いが醒めた後でも断りたいという申し出もなくこれは本気でやるつもりなのだと安堵の胸をなで下ろしたのを覚えています。

今回の会場は東北大学の片平キャンパスの片平さくらホールでした。 「さくら」という名前は桜小路という名前の通りがこのキャンパス内の土地を通っていたことに由来するのだとキャンパス内の桜の木の下に書いてありました。

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仙台駅からも簡単に歩いてたどり着ける良いキャンパスです。

工学系の研究室が多くを占めているようです。 大学の史料館には魯迅記念展示室が設えてあります。ぼくは取りあえず入ってみました。

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このようにいろんなところに引っかかりながら会場に到着すると 東北大学の 創生応用医学研究センター 酸素医学コアセンターの方々、東工大の皆さんが設営の真っ最中です。 K園、K●両氏の指揮下の東工大の皆さんはなんと前日から仙台入りという気合いの入れ方です。

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といわけでシンポジウムです。
今回のお題は 『11年目からのハイポキシア研究 〜低酸素応答機構の新展開〜
鈴木さんに全面的にお願いしてスピーカーを決めていただきました。

ラインナップは

  • 鈴木教郎(東北大学) 酸素供給の恒常性維持における赤血球産生制御機構


  • 辻田忠志(東北大学)低酸素応答系を調節する低分子化合物の探索と創薬研究

  • 船本健一(東北大学)低酸素マイクロ流体デバイスの開発

  • 三浦恭子(慶応大学) ハダカデバネズミの老化・がん化耐性と低酸素耐性


  • 南学正臣(東京大学) 腎臓病と低酸素

の5題に一般演題として応募された中からこれまた鈴木さんの趣味で

  • 北島正二朗(Cancer Science Institute of Singapore) 代謝性ストレスによる新規 HIF-α活性化機構と 腫瘍発生及び進展におけるその意義

  • 大澤 毅(東京大学 先端科学技術研究センター) 低酸素・低栄養の腫瘍微小環境が脂質分解を促進し癌悪性化に寄与する  

  • 原田 浩(京都大学 大学院医学研究科) Aberrant expression of IDH3α promotes HIF-1-mediated aerobic glycolysis and angiogenesis and consequently enhances tumor growth 

の3題を加えたものになりました。(皆さんの敬称は略させていただきました)

鈴木さんの話はerythropoietin(EPO)の発現制御に関するものです。 EPOの発現制御は鈴木さんの師匠山本雅之先生のライフワークの一つです。筑波大学に研究拠点があった時代から延々と続けてきた研究がここ数年めざましい成果となって論文として世に問われています。何度聴いても感動します。

辻田さんはdrug designがテーマです。HIF-a水酸化酵素活性を修飾する化合物をどうやって効率よくスクリーニングしていくのかというお話のなかでFIF-1特異的な阻害薬を発見したという話が出てきて興奮しました。最近FIH-1がすこしずつはやり始めているのです。

船本さんの話はマイクロ流体デバイスの酸素分圧をどのようにコントロールするのかという話で実物を見せていただきましたが確かに”マイクロ”でした。 顕微鏡でないと流路などは確認できません。あの溝にどうやって細胞を撒いたりするのか一度実地で見学させていただきたいと思いました。

そしてハダカデバネズミです。ハダカデバネズミは英語ではnaked mole rat(NMR)と呼ばれるのだそうですが三浦さんはDEBAと呼んでいました。どう考えてもDEBAの方がそぐう見てくれをしています。このDEBAという呼び名を世界標準にするためには日本をDEBA研究のメッカにする必要があると思いました。 DEBAは日本ではいくつかの動物園では飼育されているということですが研究室レベルで維持しているのは慶応大学の三浦さんの研究室だけだそうです。三浦さんって山中研だったんだそうです。

トリは東大の南学さんです。南学さんは腎臓内科の臨床家で腎臓病の病態から出発して低酸素応答の分子機序に迫るという研究を続けられておられます。部分的には何度もお話をお聞かせいただいたのですが今回のボリュームは初めてでした。これまた感動ものです。実はぼくは昨年の夏札幌郊外で行われた内藤コンファレンスで南学さんと同室になって二晩も一緒に過ごした仲なのです。その時のことはあまり人には話してはいませんけど…

たぶんお弟子さんのなかにもそんは人はいないのではないかと「自負」しています。

三浦さん、南学さんのトークは東北大学 創生応用医学研究センター 酸素医学コアセンターの共催でもありました。

シンポジウムの後半からは研究会のメンターである山本雅之先生も駆けつけてくれました。

 

懇親会は「さくらキッチン」という学食の二階の「レストラン萩」行われました。ここ結構いけますよ。東北大学万歳!!

 自分のフォトストリーム-688

仙台では光のページェントという催しが行われていたはずなのですが目もくれず二次会で毒を吐いてホテルにたどり着きました。雨が雪に変わっていました。

 

この研究会の第一回は京大会館の狭い部屋でこじんまりと行われました。当時日本で低酸素誘導性因子を専門に研究している人はそう多くなく、「がん」との関連を追及している人はさらに少なかったのです。横浜市立大学の泌尿器科の近藤さんや世話人の一人の谷本さんはそういう研究者の一人でぼくはがんなどには興味は無くHIF-1の活性化の分子機序に興味があっただけでした。世話人の一人の井上さんは「がんと酸素代謝」には興味があってもHIFは敬して遠ざけようとする「あまのじゃく性」を持っていたと思います。近藤さんはがんの低酸素領域のマーカとしてHIFを使うという方向性だったし結構ばらばらの興味で10年以上やってきました。

村上春樹の短編小説に「タイランド」というのがある。 finalvent氏が旨く紹介している。(参照

主人公の「さつき」は世界甲状腺会議に出席するためにタイのバンコックを訪れている。 甲状腺会議がこのように描写される。

世界甲状腺会議はバンコック・マリオットの会場で、四日間にわたっておこなわれた。甲状腺会議は、会議というよりはむしろ世界的なファミリー・リユニオンのようなものだった。参加する全員が甲状腺の専門医であり、ほとんど誰もがほんとんど誰をも知っていたし、知らない場合には紹介された。狭い世界なのだ。昼間には研究発表があり、パネル・ディスカッションがおこなわれ、夜になるとあちこちで小さなプライベート・パーティーがひらかれた。親しい友人が集まって旧交を温めあった。みんなでオーストラリア・ワインを飲み、甲状腺の話をしたり、ゴシップを囁いたり、仕事のポジションについての情報を交換したり医学ねたのきわどいジョークを披露したり、カラオケ・パーでビーチボーイズの「サーファーガールズ」を歌ったりした。

こんな感じの研究会なのです、ぼくにとっては。

某麻酔科学会などではこの人何が目的でこんな事やっているのだろうかと思う時もあるのですが、この「がんとハイポキシア研究会」では「いかなる技術、いかなる研究も、同じくまた、いかなる実践や選択も、ことごとく何らかの善を希求していると考えられる」というニコマコス倫理学の冒頭の一節の通り「研究をすることそれ自体が「善」なのだ」という気持ちになれるのです。

ぼくがこんな清らかな気持ちでサイエンスに臨むのはこの研究会の期間中だけです。

今日はこれくらいにして続きは明日以降に。


仙台行きの飛行機の中でアルキメデスは手を汚さないを30年振りくらいに再読しました。

飛行場で見つけたのです。あの小説実は豊中の辺りが舞台だったのですね。トリックなどは少し古くさい感じもしますが現代でも十分通用すると思いました。


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