トークランチ

On 2013/4/14 日曜日, in Thus Spoke Dr. Hypoxia, by bodyhacker

iPS森口本

小学生の時近くに書店もないしお金もないのでもっぱら学校の図書館の本を読んでいました。

児童用の伝記というか偉人伝シリーズがあり端から読むことにしました。なぜか「山中鹿之助」も入っていたのを覚えています。

もちろん偉人伝の定番「野口英世」もあり当然のごとく読んだわけです。修学旅行で会津若松を訪ね猪苗代湖畔の「野口英世記念館」見学も果たしこれは大変な人物だと完全に思い込んでいました。

チェゲバラ・安部公房が医者だと言うこともあり医者になろうと思ったという程度の同期で、医者になろうと医学部に入った訳ですが特に高邁な信念に基づいてわけでないので入学後、医者の書いた小説、医者を取り上げた小説などをいろいろと読みました。

加藤周一氏や加賀乙彦氏の著作に加えてクローニンの著作、森鴎外の「渋江抽斎」・「北条霞亭」・「伊澤蘭軒」も読みました。渡辺淳一氏にも自伝的な小説「白夜」などがありまた野口英世の伝記「遠き落日」もその中の一冊です。

この野口英世伝はいわゆる偉人伝とは対極の伝記です。そもそも渡辺氏の執筆のきっかけは、「野口英世って有名な割には微生物学の教科書には全くといっていいほど何の記載もない学者でこれはどういことなのだというだ」ということでした。

読んで野口英世に対する印象は一変しました。 同時に学問の世界というのは残酷なものだとも思いました。彼の業績の多くは後に完全に否定されたのです。このような「否定」は当時の学問の水準の低さ故なのか野口英世の学問の手法に問題があったのかはぼくには解りません。

前置きが長くなりすぎましたが先月森口尚史氏の本が電子書籍として出版されました。ぼくはKindle版で読みました。

iPS細胞騒動〜ヒトiPS細胞に関するHopeとHype〜(前編)

iPS細胞騒動〜ヒトiPS細胞に関するHopeとHype〜(後編)

あの事件の焦点は彼が実際に「iPS細胞」と同等の多分化能を持った細胞を作出する方法を確立したのかどうか、それを患者に適応したのかどうか、と言うことなのだと思いますがそれについて明確なevidenceが提出されているわけではありません。

この著作の範囲内では彼は真摯な研究者以外の何ものでも無いように思えます。この調子で差しで語りかけられればこの分野の研究に「土地勘のない」新聞記者などはイチコロとも言えます。

ともあれ一読の価値はあります。上・下二冊で550円です。

iPS細胞騒動〜ヒトiPS細胞に関するHopeとHype〜(前編) iPS細胞騒動〜ヒトiPS細胞に関するHopeとHype〜(後編)

 

非接触式ICカード

4月から電車通勤を始めました。

阪急宝塚線-地下鉄御堂筋線-京阪本線を乗り継ぎます。 定期券を作りました。

阪急宝塚線の分は今まで持っていたクレジットカードに付いているPITAPAを使った定期券、御堂筋線の分はPITAPAで区間を登録して最大で一ヶ月の定期券の額というサービスの適用、京阪本線はICOCAを使った定期券としました。つまりPITAPAとICOCAを使って乗り継いでいく方法です。

ここで問題が生じました。以前は財布に二枚以上のカードを入れておいても実際に使うのはPITAPAだけでありカードセパレーターを使うことでPITAPAだけを認識させることに成功していました。理論通りなら財布の違う面をかざすだけでPITAPAとICOCAを使い分けられるはずなのですがうまくいく場合ももあるしエラーが出てしまう場合があるのです。

邪魔になりそうなカードをよけたりいろんな方策を講じましたが動作が安定しません。ラッシュ時に改札をスムーズに通れないとぼくもストレスを感じますし他の人にも大迷惑となります。

結局今はICOCAを財布から出して使っています。

iphoneケースにICOCAを収納しようとこんなケースも注文してみました。(参照)

目下の大問題でこれを解きたい。

 

書店Book1st

通勤で毎日淀屋橋の駅を通ります。御堂筋線と京阪本線が乗り入れています。連絡通路に面してbook1stという書店があり朝は閉まっていますが夜はかなり遅くまで開いています。 阪急梅田駅からJR大阪駅への通路が梅田駅の二階からありますがそれに面してあるBook1stと同じくらいの広さです。 新刊本大抵置いてあるのでちょっと読んでみるには大変便利です。 そこで一冊のちくま文庫を見つけました。 「数学文章作法 基礎編 」です。 通勤中にさっと読んでみましたが大変為になりました。

数学文章作法 基礎編 (ちくま学芸文庫 ユ 4-1 Math&Science)

 

トークランチ

うちの大学で「トークランチ」という会がほぼ毎週開かれていることが解りました。

研究室の持ち回りで研究内容を紹介して他の人はご飯を食べながらそれを聴くという会です。大学がお昼を用意してくれます。

学長は基礎研究も推進していくという考えだそうですのでそのような計画の一環なのでしょうか。

一時間なのでその間だけでも手術室を抜け出させてもらって参加していこうと思っています。

外部研究者による講演会も結構な頻度で開催さています。

一つ心配していることは皆さんどうやって枚方まで来ているかということです。普通なら新幹線新大阪駅ー御堂筋線淀屋橋駅ー京阪本線枚方市駅なのですが大阪の素人にそれで来てねというのは酷だと思います。どうなんだろう、今度誰かに聞いてみよう。

 

村上春樹氏の新刊

Amazonで注文していたのですが土曜日には届いていました。 読みました。

これは村上春樹氏による「冥土めぐり」だと思います。

特別なことは起こりません。筋もある意味ベタだといえます。その意味では「国境の南、太陽の西」のようだとも云えます。

女性に導かれていくと言うことでは「ダンス・ダンス・ダンス」、「海辺のカフカ」に似ています。

名前に過剰な意味を付加するようなモチーフは「品川猿」で使われました。つまり彼の小説がいつもそうであるように彼の作品からいろんなモチーフを集めてきて成り立っている小説の一つでその意味では究めて村上春樹的でこの作品が彼の作品へのデブビューの読者がいるとすればその人は即他の村上作品を読むことになるのだと思います。

できれば、風の歌を聴け – 1973年のピンボール – 羊をめぐる冒険 – 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド – ノルウェイの森 – ダンス・ダンス・ダンス – 国境の南、太陽の西 – ねじまき鳥クロニクル – スプートニクの恋人 – 海辺のカフカ – アフターダーク – 1Q84 – 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

の順番に読んだ方がよいと思います。

明示的にはなっていませんが確かに明るい未来を予感させるラストです。

村上氏の小説で一番のラストは「ダンス・ダンス・ダンス」の

「ユミヨシさん、朝だ」とぼくは囁いた。

だと思いますがそれに匹敵するとも云えます。

多崎つくる36歳、この年齢の人が読むのとぼくが読むのでは自ずから異なった影響を残すと思います。


PDF

医療機器メーカーのテルモ社が6月から新聞,雑誌に「医療の挑戦者たち」というシリーズ広告を掲載しています。

新聞広告としては朝日新聞、読売新聞、日本経済新聞、静岡新聞、山梨日日新聞の各紙に掲載されているようです。

なかな興味深い内容です。どの広告で取り上げられている内容もそれ自体ノーベル賞の対象となってもよいような業績で第4回でとりあげられたヴェルナー・フォルスマンは実際にノーベル賞を受賞しています。

フォルスマンの発明は,現在のノーベル賞の受賞対象から考えれば「こんな単純な発見で」という業績なのですが医学の発展への貢献は計り知れません。

中心静脈カテーテルを用いた栄養法も単純ですがこの技術無しには現在の先進医療は成り立たないほどの大きな技術です。

パルスオキシメーターの開発も医療に変革をもたらした発明です。

現在パルスオキシメーター無しのcritical care medicineは考えられません。手術中に使うモニターを一つしか選べないとしたら多くの麻酔科医はこのパルスオキシメーターを選ぶと思います。血圧測定より麻酔管理にとって有用な情報を提供してくれます。

パルスオキシメーターの技術は日本人が日本で発明したという事は麻酔科医にはよく知られていることですが一般的にはあまり知られていないことだと思います。

これにノーベル賞が出ても誰も異議を唱えられないと思います。助けた命の数は計算できないほど多いと思います。

肺がんの治療でも変異EGFRを標的とした治療が実用化されEML4-ALKを標的としたものも実用一歩手前です。ヘルペスウイルスを利用した脳腫瘍の治療法の開発も行われていています。後者の二つは日本人による成果です。

これらは完璧な技術ではなく欠点もあることは素人のぼくでも指摘できるのですがそれを書くことは目的ではありません。

日本発の治療法がいくつもあるということを強調したかっただけです。

iPS細胞はすばらしい発明です。今年ノーベル賞が出ても問題ないし,疾患の治療への応用が確立してから受賞してもそれはそれでどちらでもよいというような偉大な業績だと思います。

個人的には早い目にノーベル賞と文化勲章を同時に受賞,受章して騒ぎから解放された方がよいと思うので今年に,と思います。 どうなのでしょうか? あと数時間で結果は出ます。

もちろんそれ以外にも日本人がなした発見でノーベル賞に値するものはいくつもあると思います。

カメラロール-1613

最新号の医学雑誌”New England Journal of Medicine”にThe Past 200 Years in Diabetesというタイトルの総説が掲載されています。

糖尿病研究の200年を回顧したものです。その総説によれば糖尿病研究から7つのノーベル賞が出ていると言うことです。詳しく見てみると牽強付会の嫌いも無きにもあらずですが素直にそうだと言うこともできます。

原因,インシュリンの同定,その配列の決定,遺伝子の単離,組換えタンパク質を使った治療,またその後の研究はこの疾患の多くは生活習慣によるということの発見,さらに患者の疾患の自覚とそれへの教育体制の確立へと至までの過程は,現代の慢性疾患への人類の挑戦のロールモデルになっています。 200年の蓄積というか歴史の上に現在の治療が立っています。

“Standing on the shoulders of giants”という言葉がありますが全て学問はそのようになり立っているのだと思います。

ぼくは大学院に入った時にはもう亡くなった指導教授に「自分の研究が世の中の役に立つ」などと思うなと言われて研究を始めましたが最近では発見が直接臨床に還元されるというようなものも増えてきていると思います。若い先生はどんどん挑戦してください。でも一方臨床現場で患者に張り付くような臨床医としての活動も意味があることだと思います。

マスコミによれば今年はiPS細胞以外に文学賞を村上春樹氏が受賞することになっているようです。

文学体験は勝れて個人的な体験でありノーベル賞作家の小説がそれ以外の作家の小説より劣っているとか勝れているとか一般的に議論することに意味があるとは思えませんが仕方ありません。

ぼくは個人的には高校生の時代に読んだ大江健三郎氏の小説で人生が変わったと思っています。だからといって現在の彼の活動を評価しているわけではありません。村上春樹氏がノーベル賞を受賞しても小説の執筆に全力を投入してもらいたいと思います。領土問題などを彼が論じる必要など無いと思います。


カメラロール-1615

昨日家内と25年以上ぶりに山辺の道を歩きました。

桜井から入って天理までと思いましたが,崇神天皇陵を過ぎたところで横にそれて柳本でJRに乗って桜井まで戻りました。

天気がよくハイキング日和でした。大和青垣の風景は素晴らしく来年は春に訪れようと思いました。

【追記】
首尾よく今年に受賞されたようです。よかったです。近年まれに見る発明だと思います。


PDF

ドクターヘリってありますよね。
関西エリアでは公立豊岡病院・但馬救命救急センターが出動回数日本一なのだそうです。
あんな回数飛んでどうなんだろうと言う気もしますが,院長先生に聞くと随分役に立っているのだそうです。
いったい誰がヘリコプター代を負担しているのかと心配していたのですが国と兵庫,京都,鳥取の三府県の負担なのだそうです。
小林先生は夜でも例の飛行服を着たまんま病院内を闊歩されていますよ。

R0010485

Kindleですが,村上春樹氏の長編は「羊をめぐる冒険」から「海辺のカフカ」まで電子版で読むことができます。
便利なので全部電子版でも持っています。便利で読みたいときに読むことができます。
昨日から”Dance Dance Dance
を読み始めてさっき読み終わりました。日本語でないので少し時間が毎回かかります。

この小説の15,16章は大好きです。
大学院生の時代から留学するくらいまでホントに基礎研究に打ち込んだ時期があります。成果が出たかどうかは別としてこんなに楽しいことが世の中にあるのかと思っていました。
その当時は,研究関連のすべての「事」,「もの」に興味をもっていました。メーカーのカタログを眺めているだけでも楽しかったのを覚えています。

“I used to be glued to the radio every day. I spent all my allowance on records. I thought rock ‘n’ roll was the best thing ever created.” (参照

まさにこんな境地です。

もうそういうわけにはいかないのです。そもそもそんな時間も無いしね。それでも当たり前に研究の事が頭を離れることはないーというかそういう訳にはいかないという事情もあるーのだがひと頃とは全く関与の仕方が違ってきています。

小説で語られるとおりに

Maybe it’s because after all this time I think that really good songs—or really good anything—they’re hard to find (参照

ということもあるし,頭が固くなって自分の価値観でしか他人の研究成果を評価できなくなっていると言うこともある。実際,どの雑誌に出ているからどうとかほとんど最近は気にならなくなってきていますし,また,”この世界”の穢いものも随分見てしまったしそういうことかもしれません。それでもたまに自分たちのデータによる知的興奮を味わうことがありこれだから止めずに続けている。また真理ーあえてこの単語を使えばーの探究って本当に”善なる”ことなんですよ。あんまり人に言うことでも無いんだけどね。

ここら辺が主人公と13歳の少女の会話にうまいこと表現できていて読む人の琴線に触れてしまうところが彼の「小説」の偉大なところだとぼくは思っています。済みから済みまで日本語でまた英語で読む必要のある所以ですね。

R0010488

Kindleってタッチパネル版がでるそうですね。確かに便利になるかもしれません。時々画面を触りかけます,iPad, iPhoneの影響が大きすぎますから。でもこれは買い換えるつもりはありません。今のままで壊れるまで行きます。

件の先生にとってはヘリコプターが”rock ‘n’ roll”なのだと思います。同好の士が集まってやっているんだし廻りにはほとんど迷惑はかかっていないのだから直接関係の無い人たちがとやかく言うことは無いと思います。ウソだと思ったら豊岡で働いてみたらいいんですよ。

ダンス・ダンス・ダンス(上) (講談社文庫)


PDF
madeonamac.gif Creative Commons License