大学院生の論文を1/18に某雑誌にsubmitしたですが査読に時間がかかって結局先週3ヶ月くらいかかってやっとdecisionをもらいました。

嫌な予感がしていたのですが実際は別になんて事のないコメントばかりでrevisionも済ませてしまいました。

連休の谷間で送り返してしまいます。

 

すっかりエントリーの更新が途絶えていましたが元気です。


「トップジャーナル395編の「型」で書く医学英語論文」

羊土社から最近出版されたトップジャーナル395編の「型」で書く医学英語論文〜言語学的Move分析が明かした執筆の武器になるパターンと頻出表現を紹介します。

トップジャーナル395編の「型」で書く医学英語論文〜言語学的Move分析が明かした執筆の武器になるパターンと頻出表現

英語に限らないのですが論文や科学的な総説をうまく書きたいという希望を持っています。

様々な論文執筆の指南書を出版される度に立ち読みしたり買ったりして読んで少しでも参考になればと努力を重ねている、つもりですがなかなか満足のいくデキにはなりません。

先日梅田の紀伊国屋書店でトップジャーナル395編の「型」で書く医学英語論文を見かけて買って読みました。

論文を執筆する際には,過去の類似論文を参考にすることが一番のコツで ある

論文には基本的な構成というものがある.決められたセクション分け (Introduction,Methods,Results,Discussion)もその1つだが,決 められていない部分にも一定のパターンがある.それが本書で示す12のMove である.もちろん論文をどのように書くのかは著者の裁量であるが,実際に は論文の型というものに配慮しなければならない.

という思想で論文の型を強調して執筆をしていくという方法が紹介されています。

 

本書に示す分析に用いたコーパスデータは著者の一人である石井先生が作成したもので 、特徴としては2つあるとのこと。

まず本コーパスデータは医学論文に特化し た特殊コーパスである点である.

また作成するにあたっては,医学論文15編 を分析し12のMoveに 基づいて395編の論文(総語数約140万語)を集めたという二点が売りです。

 

つまり「データ」に基づいているのです。

ぼくはNature, Cell, Scienceに論文を載っけるという方向で研究をしているわけでなく皆が名前は知っているようなopen journalに自分らの仕事が出れば良いという報告で論文を作成しています。その場合、英語がうまいとかそういったことはそう大きな問題でなくきちんとdataを揃えて論理的に並べればよほどひどい査読者に当たらない限りなんとなるものだと思っています。

なのでコーパスに適った文章が淡々と書くことができれば良いということになります。

型があってそれにははめると形になるという方法は大歓迎です。

 

通読しましたがぼくでも得るところは多いといえます。

 

妙な本を読む前にまずこれを読みましょう。

 

羊土社からは、ライフサイエンス英語表現使い分け辞典第2版が出版されています。

 

基本的な発想は一緒です。 ぼくが机の上に常においている唯一の辞典です。

オンライン版のライフサイエンス辞書を使う場面も多いです。

さらに河本先生はライフサイエンス辞書コーパス活用法というweb pageを運営されています。

ライフサイエンス英語表現使い分け辞典第2版 (ライフサイエンス英語シリーズ)

目次です。

Part1 論文を書く前に学びたい執筆のテクニック

1医学英語論文の流れとMove分析

1 論文のセクションとMoveとの関係

2 Move の特徴と役割

2 パラグラフ・ライティングの原則と流れのつくり方

1 原則1:パラグラフの基本パターンを構成する3つの要素

2 原則2:one paragraph, one idea の原則と流れのつくり方

3 パラグラフ間につながりを持たせるフックの活用

4 パラグラフの分け方と分量の関係

3 signpostの活用と論理展開の原則

1 signpostとは

2 パラグラフ構成における論理展開の原則

3 signpostとなるつなぎ表現のパターン

4 その他のsignpostとなる表現

4 論文における時制の意味とその重要性

時制の使い分けのポイント

* 5 引用のルール*

復習問題 Part2 医学英語論文の構成パターンと特徴的英語表現

Introduction

構成と書き方

Move構成と英語表現

* Methods*

構成と書き方

Move構成と英語表現

Results

構成と書き方

Move構成と英語表現

Discussion

構成と書き方

Move構成と英語表現


総説でました

意識の高い医者が読むと思われているIntensivistという雑誌があるのですが最新号に寄稿しました。

この雑誌毎回特集が組まれているようで今回は「酸素療法」。

酸素って難しいですというかまともなエビデンスってあるのかな。みんな苦労していると思います。

ぼくの担当した部分は、

低酸素の生物学 : 低酸素誘導性因子の果たす役割 Intensivist Vol10, No2 p259-269 (2018)

今回はこんな感じでまとめました

酸素は生命に必須な分子である。それ故、基礎医学の範疇にとどまらず基礎生物学の重要研究課題であり論文が刊行され続けている。臨床医学の分野でも「酸素」にまつわる様々な研究結果が存在し、読者諸氏もよくご存じの通り、心肺蘇生時の酸素投与ではその有用性を越えて有害性の有無を検討する臨床研究さえ存在する1。集中治療をふくむいわゆるクリティカルケアでは事情はさらに複雑でこのような現状を背景に酸素にまつわる知見の整理をする必要がありこの観点からIntensivistの特集「酸素療法」が企画されたのであろう。 この稿では、基礎生物学的な観点から低酸素応答・酸素代謝に関わる研究の現状を解説して、臨床現場での判断に還元できる応用可能な生体と酸素についてのコンセプトを提示したい。

興味があれば自分は医者でないけどという人でも読んでみてください。

医者特にcritical careに携わる医者は低酸素をこんな観点から理解しようとしているということがわかるかもしれません。

結構高価なムックです。

多くは臨床家向けの総説になっていますので一冊買うのはちょっとと思うかもしれません。

大学に所属している場合は図書館が医学書院と契約していて雑誌がごっそり読める場合がありますし麻酔科とか集中治療に関わる医者に聞いたら「はい」って感じで読ませてもらえるかもしれません。

INTENSIVIST Vol.10 No.2 2018 (特集:酸素療法)


コンピュータのファイル名

以前にもこのブログで取り上げたことがあるのですが再度書いてみます。

コンピュータのファイル名の件です。

コンピュータのファイルの名前の付け方にもいろんなルールがあります。勝手に名前をつけるとトラブルの元になります。

wikiにも記載があるほどです。 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB%E5%90%8D

Apple社も以下の様なことを以前には推奨していました。

ファイルに名前を付けるときは、次の点に注意してください。 コンピュータによっては、ファイル名に特殊文字を使うと問題が発生する場合があります。したがって、ファイル名には、アルファベットの大文字と小文字(A〜Z、a〜z)、数字(0〜9)、およびアンダースコア(_)のみを使用します。 ピリオド(.)はファイル名と拡張子との区切り文字としてのみ使用し、それ以外の場所には使用しないでください。ファイル名の先頭にピリオド(.)を使用することはできません。 ファイル名に拡張子(たとえば「letter.doc」というファイル名の「.doc」や「picture.jpg」の「.jpg」)を付けることによって、どのアプリケーションでファイルを開くかを区別しているコンピュータもあります。この場合、ファイル名に拡張子が付いていなければ、ファイルをダウンロードした人は、どのアプリケーションでファイルを開けばよいかがわかりません。 また、短いファイル名が必要なコンピュータもあります。誰もが共有ファイルを利用できるようにするには、8文字以下(拡張子を含む場合は拡張子を入れて12文字以下)のファイル名を付けてください。

”長さ”に関して言えば、ぼくとのやりとりでは8文字以下にする必要はありません。しかし拡張子は必ずつけてください。

ぼくはファイル名になるべく日本語を使わないようにはしていますが,解りやすくて便利なことがあるので厳密に守っているわけではありません。最近では使う場合が多いともいえます。

しかしファイル名に”ブランク”をつかうことはありません。またファイル名にギリシャ文字などは使いません。妙な事が起こることがあります。

つまり”西野七瀬.doc”はありです。 ”西野 七瀬.doc”は無し(”西野 七瀬.doc”はもっと無しです)で,この場合,”西野七瀬.doc.doc”とします。望ましいのは”nanasenishino.docです。 ”HIF-1α.doc”は無しで”HIF-1a.doc”です。

また以下が大切なのですが、自分の作業履歴はすくなくとも一日の単位で保存してください。

つまり”渡邉理佐.doc”というファイルで暫定的に作業を始めても作業が終われば”20180421渡邉理佐.doc”という風な名前で保存します。二日後にそれに修正を加えれば今度は”20180423渡邉理佐.doc”と名前をつけます。

こうやって投稿して論文がアクセプトされるまですべてのファイルを保存していきます。決して”上書き保存”をしてはいけません。

 

ぼくが作業をして結果を返すときは,”20180424_渡邉理佐-kh.doc”の様な名前をつけてぼく(kh)が修正を加えたことを明らかにして送り返します。

 

また”日麻.doc”のような名前のfileを送られても困ります。ぼくはある特定の一人とだけ作業をしているわけではありません。

何度も書きますが最低限日付をfile名に入れるだけでだいぶ違うのです。保存するサンプルには面倒でも日付を入れて保存するのと同じです。

日付ですが”141126″ではなく”20141116″と書くことにしています。

 

fileの名前の付け方に絶対的なルールはありませんがこれを皆さんにお願いする理由は単純です。ぼくがそうしているからです

このルールに沿っていない場合はぼくが即座に上記のルールでfile名を変更してしまいます。

もちろん皆さんが自分で独立して研究をするようになったら好きにしてください。

また 半角のカナの使用は絶対に止めてください。 また英数字を全角にするのも止めてください。


今、Natural Causes: An Epidemic of Wellness, the Certainty of Dying, and Killing Ourselves to Live Longerを読んでいます。

読み終わったら何か書いてみます。

Natural Causes: An Epidemic of Wellness, the Certainty of Dying, and Killing Ourselves to Live Longer (English Edition)


PDF

三重大学の島岡要さんが行動しながら考えよう 研究者の問題解決術というタイトルの本を羊土社から出版されました。

本を送っていただきました。どうもありがとうございました。

早速帰宅時に読んでみました。

 

恒例によりちょっとした書評というより感想文です。 (参照1, 参照2, 参照3)


まずもくじです。

序章 悩める若手研究者とその卵たち12のケース

第1章 行動しながら考えよう―Thinking While Acting

第2章 ネガティブな感情を活用しよう―ネガティブな感情を避けるのではなく、自身の成功を導くものに転化させる方法

第3章 研究者は営業職。視点を切り替えよう―研究室内の上司-部下の関係を良好にするための方法

第4章 研究室での自分の立ち位置を分析してみよう―PI原理主義に染まって視野が狭くなった状態を脱却する方法

第5章 情報化社会だからこそ「暗記力」を強みにしよう―暗記力と理解力を鍛えて知的生産性を上げる方法

第6章 新しいことをはじめてみよう―進むべき道を探求し、自分で選んだことに自信を持つ方法

第7章 戦略的に楽観主義者になろう―失敗に対する耐性をつけ、研究を好転させていく方法

あとがきにかえて

最近の社会学とか心理学の最新の成果を援用して良く咀嚼して研究者が行動に踏み出すように後押しするために書かれた本です。

トランプ氏の大統領就任のエピソードまで含んだ今日性にあふれた一冊です。

特に今回は島岡さんの実体験が大量にぶち込まれていて読み始めると一気に最後まで引っ張られていきます。

 

序章に置かれた悩める若手研究者とその卵たち12のケースへの具体的な解決法の指南としてそれ以降の7章分が当てられるという形式となっています。

この「序章」が効果的です。

12のケースのうち2つを紹介します。ちょっと長い引用ですがお許しください。

大学院生Iさん 23歳 男性

修士課程の1年生です。学部2年の頃から研究室に出入りしていて低酸素環境におけるがん幹細胞の代謝変動について研究をしています。教授や先輩方の指導のおかげでこのたび筆頭著者の論文をネイチャー姉妹紙に出すことができました。来春には国際学会でオーラル発表予定しています。教授からは「君は研究者になるべきだ」と言われて僕もなんとなくそのつもりでいるのですが研究者として成功する自信がありません。どうすればスタッフや先輩方のように自信が持てるのでしょうか?

まず提示されるアドバイスは

「苦労して成功を体験して,戦略的に楽観主義者になろう」

ポスドクKさん 29歳女性

同じ研究分野の人が集まる学会や研究会に参加しても他人とコミニュケーションをとることができません。 講演を聞いていても色々と質問したい事は思い浮かぶのですが一度も質問に立った事はありません。自分がポスター発表する折りも「説明してもらえますか」と言われて初めて口を開く有様で「説明しましょうか」の一言はいつも喉元まで出かかって飲み込んでしまいます。これじゃあ,研究者というかそもそも社会人としてダメですよね。こんな性格だから最近は社会そのもので自分の居場所がないように感じてしまいます。

「内向的な人は多い,内向的である事をかえる必要はない。」


これらの「ケース」がどれくらい実在の人物に対応しているのかは不明ですが12ケースは誰しも一度は悩んだことのある問題点を抱えたケースとなっていると思います。

以下すこしぼくの体験を入れたコメントをしてみます。

第二章はネガティブな感情を活用しよう―ネガティブな感情を避けるのではなく、自身の成功を導くものに転化させる方法

ぼくは一言で言うと劣等大学院生でした。(参照)

ぼくは4年間-医者の場合は修士課程がなく博士課程が4年間の場合が多いのです-で博士号を取得できなかったのです。

しかしとにかくなんとかしないとはいけないと思いからがむしゃらに実験を毎日繰り返していました。

「なんとかしないとはいけない」という気持ちは,学位無しでは指導教授やぼくを破門した師匠に顔向けができないのではないか,このままでは自分はタダのバカとして埋没してしまうのではないか, というネガティブな感情でした。

学位が取れたらもう研究はするまいと思っていたのですが論文が出て学位が取れて結構ヒットしたらもっとやってやろうと思いはじめてそこから20年です。

留学の時の奨学金も二つ当たり「なんかチョロいな」とか思っていたのですからいい気なものです。

留学中は朝7時に研究室に来て16時には帰るという生活でした。土日は研究室には行かず。これは日本にいたときから比較して遥かに温い。

それなのに論文は結構出ました。

Nature姉妹紙にも出ました。他の研究室との共同研究でしたがfigureの控え目に言って半分以上はぼくの実験でした。追加実験無しでreviewerのコメントは統計法をきちんと書いてね位だったと思います。研究室のbossは最低でもco-1st authorを主張していましたが帰国することが決まっていたしぼくには何の執着もありませんでした。

Genes & Developmentにも出ました -IFは今ではそう高くないのですが当時はScienceより高く多分20位だったと思います-。これはco-1st authorでこれまたfigureの半分以上はぼくの実験結果でした。これも追加実験無しでover-discussionの部分をクールダウンせよという指示でresivionにかかった時間は二時間くらいだったはずです。朝返事が来たと言われて午後にはもう送り返したと言われたのを覚えています。ぼくを筆頭にとbossが言ったのですがこれも断りました。帰国することが決まっていたしぼくには何の執着もなかったので。今では被引用回数が1000回を越えました。

ちなみに,Nature姉妹紙は400回強でぼくの学位論文は800回強の被引用回数です。

ここでさっさと臨床に戻っていれば麗しい思い出に浸って余勢をゴージャスに送れたのにと思う事は今でもあります…

 

第5章 情報化社会だからこそ「暗記力」を強みにしよう―暗記力と理解力を鍛えて知的生産性を上げる方法

「暗記力」で受験を生き残ってきましたが単なる記銘力は低下してきています。

しかし,ぼくとて今でも「暗記力」は駆使しています。

50人以上の前で行う1時間くらいのプレゼンテーションなら一言一句暗記して臨みます。朝起きて蒲団の中でslideの「絵」が思い浮かびそこで話す言葉が想起できたらその日のプレゼンターションはぼくの基準では成功です。持ち時間の80%でまず終わることができるように調整します。

論文の執筆時の参考文献は100篇くらいならpost-itの力を借り手ですが何処に何が書いてあったか大体覚えています-但し論文が通れば全部忘れます-。

 

第6章 新しいことをはじめてみよう―進むべき道を探求し、自分で選んだことに自信を持つ方法

この章はとても身につまされました。

自分が無能であることが判明し,大学から追い出されるまではやってみようと思えるようになった。 引導を渡されたときには,その次のことを考えようと開き直れた。捨てる神あれば拾う神あり。”When one door shuts, anothor opens”だ。

これに尽きるなと最近日々思っています。

 

この本で言及されている何冊かをあげて置きます。

「弱いつながり―検索ワードを探す旅」

「暇と退屈の倫理学」 (参照)

「学びとは何か――〈探究人〉になるために」

「採用基準」

「ファスト&スロー」

島岡さんはこの本の原稿執筆をSiriとiPhone版のOneNoteを援用して行ったそうです。 ぼくも,大学院生IさんとポスドクKさんのエピソードは音声認識ソフトを用いて「入力」しました。確かにびっくりするほどの精度ですよね。

 

「何かを自分でする」,「何かをさせられる」という区別はなかなか難しいしホントはその中間的に皆生きているのだと思います。
島岡さんの提案もマニュアルではありませんのでそれを受け取る読者次第ですね。
ただ一読するとNUDGEされたという感覚は確実に残って何かはじめようと読者は思うようになります。

一般化できることを敢えて研究者向けに絞り込んでいることがこの本の成功を担保している要因だと思います。

 

この行動しながら考えよう 研究者の問題解決術」,少なくとも「科学の問題」以外で悩んでいる研究者には一読をお薦めします。

 

 

と考えてきてやっぱりこれかなと。

この本の要素が全部入っている一曲です。

ちなみに,乃木坂46の齋藤飛鳥さんは、

「私は人間的に暗いので、相手も『この人なんか暗いな』っていう一面があると仲良くなれそうだなと感じます」「たぶん、私一日中壁の目の前でも生きていくタイプ。それでも楽しく生きていけます」

なんだそうですよ。あまり信じてもらえないかもしれませんがー家内に聞けば解りますーぼくもホントは暗い人間です。

 

昨日この本を読み終えて風呂に入ったあとテレビで将棋の加藤一二三さんのドキュメントをNHKで放送していたのを偶然観ました。

加藤さんは,将棋が強くなるかも知れないと考えてキリスト教に入信されたのですね。

やっぱりぼくにはマネできないなと。

「科学の問題」以前に「人生の問題」で負けている,かも。


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三重大学の島岡要さんが「研究者のための思考法 10のヒント」というタイトルの本を羊土社から出版されました。

本を送っていただきました。どうもありがとうございました。

 



早速帰宅時に読んでみました。

 

以前からの島岡さんのfollowerは解ると思いますが今回の「思考法」は 「やるべきことが見えてくる研究者の仕事術」「ハーバードでも通用した研究者の英語術」の続編のような位置づけになっています。 本の表紙や挿絵も同一のイラストレーターさんが担当されていてそのことからもわかります。

 

本の解説をぼくがやっても面白くないので島岡さんとぼくの関係からはじめてみます。

 

医歯薬出版から出ている「研究留学術」という海外留学を志す若い人ー主に医者ーがよく読む本があります。慶応大学の門川俊明さんの著作です。

初版は2002年に出版されたのですが第二版が2012年の春に出版されました。

社会情勢が大きく変化して留学の「ルール」の改訂に合わせた内容の改訂が主たる変更点ですが、巻尾に「【特別鼎談】 研究留学―Ten years after」という座談会の内容が付け加わったという事も変更点の一つだったようです。

実は初版ではぼくの留学レポートも収録されています。(参照) 留学を志す若い医者にとってはmust readな一冊となっているようぼくもこの本のおかげで随分多くの人に声を掛けてもらいました。

 その縁で座談会に呼んでいただきました。 会は2011年の夏の盛りに京都で行われました。その折りに島岡さんと始めてお話をしました。二次会まで合わせると6時間くらいはいろんなことを話していたことになります。(参照

時間をおかずもう一度島岡さんと会いました。

ぼくがまだ京大にいるときに、皮膚科の椛島さんと「キャリアアップセミナー」を企画してゲストスピーカーとして島岡さんをお呼びしたのです。 当日の様子はブログでも紹介しました。(参照1参照2) この時も合計6時間くらいは時間を共有しました。

その他麻酔科関連の学界のランチョンセミナーでなぜか隣に座ったりとか意外と出合うことが多かったのです。島岡さんは今でも麻酔の医者です。

実はこの二回の島岡体験は二回ともちゃんと出版物となり世に出ました。(参照1, 参照2, 参照3)「医学のあゆみ」の岩永さんのお許しがあればここにfileをアップできるのですが…

とにかく、このように島岡さんにはこのように人を後押しする妙な念力があるようです。


このように結構な時間にわたって島岡節の洗礼を浴びていたので今回の「思考法」もなんか島岡さんが横でしゃべっているのを聞いているような感じで読み進めることになりました。


さてやっと内容です。

最近の社会学とか心理学の最新の成果を援用した今風な内容です。それを良く咀嚼して研究者のための思考法として島岡風に10+二つの外伝にまとめ上げた本です。断片的にはどこかで目にしたことがあるような気もするかも知れませんがそこから一捻りしてあるのが島岡風です。

第六章の「研究者のあたらしい働き方- ///スラッシュのあるキャリア」は特に面白く読みました。

Masteryとは、希少性と参入障壁を、永遠でないしてもある程度の期間維持できるような専門性の取得と定義してそれを自分のキャリア設計の中で社会の変化も考慮してserialに獲得していくというserial masteryというスタイルが「///スラッシュのあるキャリア」なのです。 つまり、島岡さんの場合、「大学教授/ 研究者/ 医師/ 教育者/ 作家」となるわけです。
serial killerみたいに、とにかく片っ端から獲物を狩っていくような感じもいいです。

第七章は 「抗脆弱性(アンチフラジャイル)とは- 想定外の衝撃「ブラックスワン」に備える」もうまい。

でニコラ・スタブレの提唱する「アンチフラジャイル」の考えを研究者のキャリア設計のあり方に援用した章です。 バーベル型のキャリア設計でアンチフラジャイルな働き方をという提案です。 

この章の最後はチェゲバラの「ある日の真実が、永遠の真実ではない」という言葉で締めくくられています。 ゲバラの著作「モーターサイクル・ダイアリーズ」の中の言葉です。「モーターサイクル・ダイアリーズ」って映画になっているんですけどぼくはDVDを持っているんです。この映画は一度はご鑑賞ください、超お薦めです。

因みにゲバラも医者です。一応。
/医師/革命家/作家/
みないなキャリアを持ったserial masteryの人です。


この著作には4回分島岡さんが行ったインタビューが挿入されています。 登場人物は日本人研究者でたぶん人選は島岡さんが好みで行ったのだと思いますがちょっと変わったキャリアを持つ一流研究者達です。 島岡さんはかなり控えめなインタビューアーとして振る舞っているのですが、結局は、みなさん島岡さんのペースにはまり島岡さんが話してもらいたいと思うことを話させられたような印象を受けました。 ここも読みどころです。

島岡さんは雑誌「医学のあゆみ」でもインタビューシリーズをやっていると思います。キャリアの//に/インタビューアー/を付け加えてもいいような気がするくらいです。


目次や島岡さんの略歴は本の詳細は羊土社のページから確認できます。

 

速攻で書いてみました。

だれが読むべきか。 とにかくぼくとしては同僚の麻酔科の先生方に推薦したいです。

 

研究者のための思考法 10のヒント~知的しなやかさで人生の壁を乗り越える

モーターサイクル・ダイアリーズ 通常版 [DVD]

【追記】

岩永さんのお許しが出たのでこの部分を読めるようにしておきます。

実はこの二回の島岡体験は二回ともちゃんと出版物となり世に出ました。(参照1, 参照2, 参照3)「医学のあゆみ」の岩永さんのお許しがあればここにfileをアップできるのですが…

特別鼎談vol.1.pdf

特別鼎談vol.2.pdf

キャリアアップセミナー記事.pdf


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