来週の水曜日にDBCLSの坊農さんに以下の要領で関西医科大学で講演をしていただきます。


日時: 2016/10/19(水) 17:30から 約一時間

場所:関西医科大学 中会議室 学舎第二講義室(2階)

内容:セミナー 公共データベース活用による知のめぐりのよい医学研究

【講師】 情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンター(DBCLS) 特任研究員(特任准教授) 坊農 秀雅 先生

【司会】 附属生命医学研究所侵襲反応制御部門 学長特命教授 広田喜一

ビッグデータの時代です。

公共データベースの活用は研究活動で重要な役割を占めるようになってきてすでに情報科学者だけが扱うものではなくなっています。 講習会,チュートリアルビデオなどを活用した学びの機会は数多く提供されているものの「自分」に必要なデータベース・ツールを見つけて自家薬籠中のものとするのは容易ではありません。

今回、坊農先生をお招きして、誰でも”バイオインフォマティシャン時代”を俯瞰しデータベースの再発見を参加者にせまるセミナーを企画しました。

坊農先生は、大学院生時代にKEGGの構築に関わり、理化学研究所のFANTOM projectにその萌芽時代から関与して重要な役割を担ってきた研究者です。

みなさんもご承知の通りFANTOMデータベースとcDNAクローンバンクは、ヒトやマウスをはじめとする様々な生物についての基礎研究および医療・創薬などの応用研究のためのプラットフォームとなっています。

京都大学の山中伸弥教授らは、ES細胞に含まれる初期化因子は、ES細胞の万能性や高い増殖能を維持する因子と同一であるという仮説のもと、FANTOMクローンデータベースなどから、初期化因子の候補として24因子を選定しました。そして、この24因子の中の特定の4因子を組み合わせると、マウスの成体皮膚や胎児に由来する線維芽細胞、さらにはヒトの皮膚から、万能幹細胞が誘導されることを示しました。

 

このよう公共データベースの活用は今後の生命科学研究の推進力となります。

 

この講演会への皆さんの積極的な参加をお願いします。

 

坊農先生による総説「ウェブ上に散在する情報を生命科学研究にどう役立てるか」が日本生物工学会誌に掲載されました。

連載「バイオインフォマティクスを使い尽くす秘訣教えます!」の第1回目で2ヶ月ごとに出版される予定です。(http://dbcls.rois.ac.jp/archives/3271)

総説はオープンアクセスで、第一回目の総説(「ウェブ上に散在する情報を生命科学研究にどう役立てるか」)は下記URLからご覧いただけます。 http://www.sbj.or.jp/wp-content/uploads/file/sbj/9409/9409_bioinformaics.pdf

今回の講演内容とも深い関わりがあります。

 

講師からの一言:公共データベースの活用方法は千差万別です。私の話の中から活用するきっかけとなる事例を一つでも見つけていただけたらと思います。


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この3年9ヶ月くらいに渡ってぼくと一緒に研究を続けていた甲斐さんの博士号のための講演会が今日開かれました。

今回は三回程度の予行演習で今日の本番を迎えました。初回の予行ではどうなることかと思いましたが今日は細かい点まで突き詰めると「間違った」ことも結構話していましたが大きな問題にならなかったのは幸いでした。

早口でしゃべりすぎていかにも暗記した内容をはき出しているような感じもありましたがこれについてはこれ以上は言いません。

審査員は,野田 亮 先生,長田重一 先生,武田俊一 先生の超重量級です。この三方級の先生を至近距離に置き講演できる機会などこれから一生訪れないと思います。麻酔科の子羊を料理するのに何故にこのような牛刀クラスの先生方が降臨したのかは今もって不明です。

ぼくへの新手の嫌がらせかもしれません。

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講演が終わりいきなり長田さんの厳しい質問が来て質問の意図を少し誤解した受け答えをしている間に長田さんが軌道修正をしてくれて噛み合いました。野田先生は素朴な疑問の振りをして実は「おまえはちゃんと解っているのかい?」というような質問を繰り出してこられてここらへんから完全に防戦に廻ることになりました。その後,長田ー野田で数ラウンド廻り一時は「なんてこと言うんだろうこの人は」と思わせる局面を経てなぜか最期の方では議論が噛み合ってきて長田ー野田両先生が「うなずく」までに回復して無事終わったと思いきや,主査の武田先生の繰り出した質問に日和見主義的な受け答えをするうちにお開きとなりました。

学位の講演は大学院生活の総括ですのでこの講演内容には余り口を出したくないと思っています。自分でやってもらわないと困ります。

アドバイスは言葉は時々で異なりますが,審査員に迎合せず自分の論文の主張のhard coreを守り切る必要があると言うことです。審査員に迎合してヘラヘラ笑う奴は博士を名乗る資格はありません。間違った指摘や誘導には断固抵抗すべきです。今日はある程度それが実践できたと思います。

結果は「合格」だそうですが,研究科会議が終わるまでは解りませんよ…

とにかくご苦労様でした。4月からはあのMGHに留学なさる予定です。

他大学や診療科からお預かりした人たちも計算に入れると甲斐さんはぼくが直接指導した院生で11人目の医学博士となります。

午後に間違ったtweetをしてしまいました。彼で11人目です。こんなにいたのかと思うと感慨深いですがあと二人「売り払って」ぼくはduty freeとなる予定です。

たぶんすごく清々すると思います。すごく楽しみです。

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冠雪した比叡山-研究室から 午後には全部消えました このような景気が臨めるよい研究室なのですけどね…

今年は金曜日の生化学会で話し納め。21日締め切りの原稿で締め切り納めですが直ぐにでも処理しないといけない論文が少なくとも3つあります。年内には全て終わりたいです。

と思っていたら午後にすごく意外な電話を某所から頂きそれへの対応も残りました。

 


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Nature Chemical Biologyに

TRPA1 underlies a sensing mechanism for O2

というタイトルの論文が発表されました。
京都大学からもプレスリリースがありました。(参照:新たな生体内酸素センサー機構の発見

pdf fileを高橋先生から送っていただいて一読しました。
興味深い内容ですので紹介します。

ヒトやその他のほ乳類の細胞内の酸素濃度は比較的に狭い範囲に保たれてホメオスターシスが成立しています。肺胞の分圧は110mmHg程度であり心臓、腎臓や脳での酸素分圧は部分的には20mmHg程度となっています。すべての細胞の生理学的な酸素濃度は酸素の供給と消費により決まり、酸素不足(低酸素状態)、酸素過剰(高酸素状態)などの逸脱が引き起こす生存に不利な状況を克服または適応し酸素ホメオスターシスを細胞レベルで保つための適応的な応答を引き起こします。このためには、細胞またはその集合体である組織,個体は自らのおかれた酸素濃度を何らかの形で感知する機構を備えているはずであるという論理的な要請があるわけです。

生体の低酸素応答は多分単一ではありません。その分子機序、時間的な違いなどからいくつかに分類できます。
呼吸応答に重要な役割を果たす動脈小体や低酸素性肺血管収縮など反応は、酸素分圧が60mmHgを下回る程度からきわめて迅速に通常は遺伝子応答なしに惹起されます。一方、転写因子の活性化が必要な低酸素性遺伝子応答は60mmHg程度の軽度低酸素状態で通常は惹起されないし、転写、翻訳などにある程度の時間がかかります。
このように生体の低酸素応答、低酸素センサーまたはそのエフェクターは明らかに単一ではなく多数存在する。またセンサー・エフェクターの対応は1:1の線形的なモデルでは記述できない複雑な網の目の(web)を形成していると考えるのが正しいとぼくは考えています。
今回の論文は,肺胞や動脈血に直接灌流されるような細胞がその範囲の周辺で変動する酸素分圧の変化をどう感知して生体応答につながっているのかを説明する有力な考え方の一つになると思います。

論文によれば10%程度の酸素分圧ですでにTRPA1には変化が生じるようです。PHDがHIFaの制御形式から考えるとこれはすこし高いという気もしますが,PHDのKmはそもそも結構高いので実は鋭敏な低酸素応答系ではこの程度から低酸素応答が実際にはじまるのだと考えることもできます。
HIF-1のプロリン残基とPHD2の反応では周辺配列の違いなどからすこし反応曲線というかKmがすこし異なるのかもしれません。ここらへんも実証できればこれまたすばらしいし今後もう少し詰めていかれるべき課題と考えています。

また高酸素状態で一過性に呼吸回数が増えるような現象がこのチャネルの性質で説明できれば従来の呼吸整理の教科書も一部は完全に書き換える必要がでてくるかもしれません。

HIF-1aのKO miceでは動脈小体の酸素分圧感知・呼吸制御に異常が起こることが知られていのですが,HIF-1からTRPA1への何からの影響もあるのかもしれません。

またTRPA1のシステイン残基が酸化修飾を二段階に受けるとしてそれを還元する系はどの還元酵素系に担われているのかなど興味は尽きません。

その他いろいろな事が思い浮かぶのですがこれ以上書くとぼくらのする仕事と関係が出てくるのでこれくらいで。

論文自体やプレスリリースは正確に記載されていますが,今回の論文の文脈ではTRPA1は酸素分圧センサーではありません。そのエフェクターの一つです。

イオンチャネルタンパク質TRPA1が「O2センサー」としてこの両義性に対応するために機能することを突き止めた。

という記述が京都大学のプレスリリースにありました。
その文脈で,低酸素センサーはPHDとしてももう一方のセンサーはどう考えるべきなのでしょうか? 活性酸素による緊張性な酸化修飾に対抗する還元系が支配的に働くのかやはり産生系が制御的に働くのか興味が引かれます。

先日の島岡セミナー関連です。
講演の中盤で,臨床医時代にふれあった外科医師,大学院生時代に師事した教授らとのふれあう過程でかけてもらった「言葉」や「薦め」を自分なりに咀嚼して”恐れながら一歩踏み出すということの重要を語っておられました。
人間誰しも跳ぶのは怖いのですが,「見るまえに跳べ」
ということもあります。
上司や師匠はすごくよく人を見ています。毎日朝から晩まで一緒にいて一挙手一投足を観察しているのですから当然です。
なので,上司,師匠のアドバスイというのには重みがあります。研究に向いていない人に研究しろとは云わないし,外国では無理かもと思う人には外国に行ってはどうかなどと云わないものです。
まして無謀なジャンプを強要することもありません。
上司をたまたまの上司と思うだけでは物事は動きません。究極の師匠では無いかもしれませんが上司も一次的には師匠です。


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