この数日で明確に秋がやって来ました。 このような変化は一晩で現れるところが面白いです。

こういう現象は,まるで,ある「進化の理論」の顕れのようだといつも思います。

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映画「夢売るふたり」

日曜日に大阪駅の映画館で家内と「夢売るふたり」を観ました。

封切り二日目でしたが観客の入りはお世辞にもよいとは言えませんでした。

結婚詐欺の話なのですが松たか子さん演じる主人公がことさらにえげつなく撮られていてびっくりします。食パンを貪るシーンがあるのですが鬼気迫るものがありました。

少しいろんな要素が詰め込みすぎではないかとも思いましたがたぶん見返すとすごくたくさんの発見があるのだと思います。

実は「ディア・ドクター」をこの映画を観た後に観返したのですがちょっとびっくりするくらいいろんな発見をしました。

観終わったあと家内と喧嘩してしまいました。

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本の紹介

「がんと代謝」

羊土社から実験医学の増刊号「実験医学増刊 Vol.30 No.15「がんと代謝」」が出版されました。ぼくも一部担当させてもらいました。

概要と詳しい目次を観ることができます。(参照

この分野でこれほど集中的に記述された日本語の総説集は現時点では他にはないと思います。

「40年後の『偶然と必然』: モノーが描いた生命・進化・人類の未来」

40年後の『偶然と必然』: モノーが描いた生命・進化・人類の未来」を読みました。 モノーの「偶然と必然」がこの40年の間にどのように受容されてきかたを考察した労作です。 生命倫理を除いてもいまでこそこのような生物学を巡る哲学的な考察は花盛りですが当時は「偶然と必然」が決定的に重要な役割を果たしていてぼくも大学生の時に読みました。

思い返してみると何をこの本から何を学んだかについて明確な記憶がありません。

モノーが提唱した様々な論点はここ30年くらいの間に次々と解明されてきて,彼の問題意識や「予言」も柔軟な解釈によれば全て的を射ていたとは言えると思います。

そう簡単な内容ではありませんがぼくは十分楽しめました。

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医学書院が週刊で発行している「医学界新聞」という新聞形式のマガジンがあります。

毎週送ってくれるのでついつい読んでしまいます。

医学教育に力点を置いた記事が多く読むと為になるものが多いです。

最新号に長谷川 耕平さんと飯村 傑さんの「 M&Mカンファレンスで医療の質“カイゼン”を始めよう!!」という対談が掲載されています。

日頃考えて実践していることと余りにも合致していて感動したので医局の同僚にも勧めました。

ぼくがやっていることはたぶんやり過ぎだと思われていると思うのですが米国ではごく普通に日常的に行われていると知って安心しました。

「M&M(mortality & morbidity)カンファレンス」とは

死亡症例や重大な合併症を来した症例を題材として,悪い転帰に至った原因を医療システムや環境・組織レベルであぶり出し,次の失敗を回避することで医療の質向上をめざすカンファレンス

のことです。

ぼくらの麻酔科でも例えばインシデントレポートが提出されたような症例,予定外にICU入室となった症例は特にM&Mとして症例報告をしてもらい皆で検討するという取り組みは行っていますが当事者に報告を任せるため議論が低調になりがちです。つまりインシデントが起こったという前提から出発しているので当事者には負い目があるし議論する側には問題点を鋭く追及しすぎると当事者を個人的に責めることにつながると考えてしまうからです。

このような負の部分を乗り越えてM&Mが行われるような麻酔科ができればこれは素晴らしいことになると思います。

以下に印象に残った発言を引用します。

長谷川 悪い予後が起きる場合,通常一つの失敗だけが原因となることはなく,複数の穴をくぐって致死的なエラーが生じることがわかっています1)。日本では,「私の力不足です」と非を認めることが“責任を取った”と評価されることもありますが,そこで思考停止に陥らず「エラーの原因は何か,システムに穴があったのか」まで議論を進め穴を同定し,その穴を埋めるよう行動しなければ再発防止にはつながりません。

これはすごく重要な視点です。「私の力不足」と言われるまたは思ってしまうとそこから先には進めません。

飯村 現状を知ることは医療の質改善を行う上での第一歩です。ピーター・ドラッカーも“What gets measured gets managed”と表現しているとおり,自分たちの医療がどこに位置しているかを把握して初めて改善につなげられます。当院では,ジョイント・コミッションのプロトコールに則って各科のデータを測定していますが,情報不足で出せない指標もあり,どこにデータの不備があるかようやくわかってきたところです。

麻酔なら麻酔の結果を最終的には患者満足度まで含めて評価していく事が必要だと思います。新薬が発売されてまた末梢神経ブロックなどが導入されてその前後で自分たちの麻酔がどのように変わったかまた麻酔の結果がどのように変化したかを意識的に把握しないとそれだけに終わってしまいます。重要なのは他人が出したエビデンスではなく自分の病院の自分の患者に対してどれだけの事ができたかです。

長谷川 M&Mにはいろいろなスタイルがありますが,ブリガム・アンド・ウィメンズ病院(BWH)では準備と当日の司会をチーフレジデントが持ち回りで担当する形式で行っています。担当者は,M&M専門の指導医と何度もミーティングを重ね,「システムエラーはあるか」「標準的治療から外れていないか」という観点から取り上げる症例を選定します。

これは「目から鱗」ですね。当事者には報告させないというのはよい方法だと思います。重大なインシデントの場合,さまざまな職種の現場に関わった人に聞き取りを行います。当事者の思い込みも明らかになることもあります。客観的な事実に基づき自由な討論ができればM&Mの効果も上がると思います。

*長谷川 *米国の医療者は他者がどんな治療を行っているか厳しく見ており,標準的な治療から外れ突飛なことを行っている医師は「根拠があるのですか」と指摘されます。M&Mには,その施設の医療水準を保つ目的もあります。

思いつきであれこれ患者に働きかけるのは倫理的にも大問題です。がんこな医師が自分の方法に固執して成果が上がらないのは現代的な観点からは非常に困った事になります。

ぼくは職場のデイサージャリー診療部で行われる麻酔科管理症例については麻酔記録と術後の患者インタビューの結果を全て閲覧しています。「標準的な治療から外れ」たような麻酔管理があれば個別にお話を担当医師に聞かせていただくこともありますし全体的な問題と思えば皆に議論をお願いしています。

長谷川 M&Mは,研修医はもちろん指導医も身が引き締まり勉強になります。私の施設では M&Mにはほぼ全員が参加しています。

こういった麻酔科になるとよいと思います。


iPhone5が発表されました。

目下の焦点はテザリングか可能になるかどうかです。詳細が出れば4Sユーザーですが機種変更しようと思います。 room324では皆これで浮き足立っています。

家内とのけんかも実はこれが原因でした。


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昨日土曜日は麻酔科学会関西支部主催の症例報告会がありました。現在では年に四回開かれているのですが「マンスリー」と呼びます。ぼくが研修医だった頃にはすでに行われていてましたので25年以上続いていることは確かです。この症例報告を集めた本が出版されたこともあります。

少ないときは5つ多いときは8つ程度の症例が提示されて参加者の批判を受けるという形式です。痛いところを突かれて発表者が満身創痍となることもあります。平凡だと思われるような症例でいがいと議論が盛り上がることもあります。世の中にはとんでも無く怖いことをしていると思うこともありますし多分他人にそう思われていることもあるのだと思います。
ここ数年おとなしくなったと思いましたが最近すこし激しくなってきました。それでも20年前と比較して随分と皆の行儀がよくなりました。決して怖くありません。泣いた人は見たことはありません。
参加者は学会の関西支部の先生方ですが,京阪神間の病院からの症例がほとんどです。ぼくらの麻酔科からも毎回一つは出すようにしています。毎回梅田周辺で開催されることも理由だと思います。

麻酔科学会のHP (参照)に毎回演題タイルが掲載されますが抄録は当日に会場でしか配布されません。多分どなたでも参加できるのだと思います。
本年度は11/10と2/16に予定されています。
以前は,麻酔科学会から参加点,発表点が付与されていたのですが現在ではそうではありません。その代わりここでの発表を他の学会で発表しても二重投稿とは見なされないことになりました。それゆえ会員外には演題のタイトルなのは非公開としているのだと思います。

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木曜日に完全徹夜をしてからお腹の具合が悪く摂取する水分と排出する水分量のバランスが合いません。しぼんでいます。
動くのがしんどいので,家で雑用をかたづけていました。
しかし,査読ってなんであんなに降ってくるのでしょうか? 溜まらず某雑誌編集長にmailを書いた甲斐あってすこし減ったと思ったのですがすでに余り効果がなくなりました。その他の聞いたことがあるまた聞いたことも無い雑誌から原稿が送られてきます。どんなに短くとも読んで,少し調べて,コメントを書くのに1時間はかかるので困ります。

研究留学ネットで紹介されていた
ナラエビ医療学講座―物語と科学の統合を目指して
を読んでみました。

「ナラ」はナラティブ・ベイスト・メディスンの「ナラ」,「エビ」はエビデンス・ベイスト・メディスンの「エビ」で「ナラエビ」とはこの両者を統合した医療というほどの意味です。

手術室の麻酔中は患者は意識を失っていますので患者との対話は原理的にはありません。そこを割り引いても「物語と対話」というキーワードは麻酔科診療でも有効だと思います。
チーム医療が強調されるような状況でナラティブ・ベイスト・メディスンってどう扱われるのかもぼくには勉強不足で思いつきません。「物語」とか「対話」とかはあくまで個人と個人の間の話のような気もします。
実践医療は常に目の前の具体的な患者が対象となるので結果がすべてとも言えるしそれじゃ医療者の立つ瀬が無いとも言えるし事情は簡単では無いと思います。
マンスリーでの議論では,参加者の「物語性」などがかなり重要な役割を果たしていると思います。ことさらにエビデンス・ベイスト・メディスンが強調されることもありませんし却ってそんなの知らないよと云う場面もあります。余りに堂々とした主張をされるとこっちの知識が間違っているのではないかと錯覚する場合もあります。しかし,すでに無味乾燥となった学会でのポスターセッションよりはるかに有用だとぼくには思えます。それ故に出不精なぼくがほぼ毎回出席しています。

ナラエビ医療学講座―物語と科学の統合を目指して


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ほぼ24時間くらいかけてBaltimoreから帰国しました。
8時間ほど寝て元気になりました。

ASA meeting, Anesthesiology 2011に参加して思った事を書いてみようと思います。

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ぼくの参加は2002年のサンフランシスコ以来の二回目です。実は前回の参加である意味「懲りて」参加を控えていたのですが研究室の大学院生に尋ねると今まで参加したことがないということで話のネタにもなるかなと思い総勢4人で参加することに決めました。帰りにBaltimoreに寄りたいということもありました。

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Abstractを書いて参加応募をします。
一応の査読はあるので,原理的には採択されない場合もあるはずなのですが,4人とも無事採択でした。通知はe-mailでくるのですが全員一斉にというわけではなくぼくらの場合は,2日間くらいの間にばらばらとやってきます。不採択の場合に連絡があるのかどうかは解りません。
院生の甲斐さんの演題はposter discussionで他の院生とぼくのものはposterと決まりました。
poster discussionの場合部屋にしつらえられた壇上で口演をする必要があり甲斐さんはかなり緊張していました。

参加登録をwebでする必要があります。会員であるかとか学生であるかとかpresenterであるかとかで参加費が異なります。最悪$1000以上払うという場合も考えられるのですが,今回ぼくは直前になって登録したにもかかわらずpresenter料金の$140でした。学生であれば$70代で済んだようです。

航空券,ホテルはすべて自分たちでwebで予約しました。結果会場とdowntownをむすぶバスが止まる指定のホテルであったのですがかなり安い金額で宿泊することができました。これはほとんど院生の鈴木さんにやってもらいました。

というわけで出発当日伊丹空港に集合して伊丹ー成田ーシカゴと乗り継いで土曜日の午後にシカゴに到着しました。

空港からdowntownまでは鉄道を利用することにしました。

一人$2.5くらいと随分安くついたのですが,路線を二回も乗り継いでスーツケースを抱えて結構歩きました。値段を考えればタクシーをあっさり利用しても十分にpayすると思いました。しかしよい経験になりました。例によって甲斐さんが改札でトラブっていました。

ホテルはWyndham hotelでしたが無料でnet環境が提供されてる訳ではありませんでした。偶然かどうかは解らないのですがホテル内に飛んでいるAT&Tに接続するクーポンを入手してそれからは問題なく接続できるようになりました。

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当日朝は早い目に出発しました。参加登録をしてbudgeを入手したかったのですが日曜日は8時からしか登録ができなかったのでposter disuccionの甲斐さんは登録前にセッションに突入と言うことになりました。moderatorのおじさんにそう断ったところ問題ないと言うことでした。

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poster discussionは演題をいくつか選んで一つの部屋に集めて部屋の後方にposterを掲示して前方に設えられた場所を利用して演者による口演と質疑応答をするというものでした。実際の進行はmoderatorのおじさん達に委ねられていて甲斐さんのセッションでは前方の演壇を使わずにポスターの前でpresentationを行い皆はそれを車座になって囲んで聴くという形式でした。甲斐さん以外は普通に欧米人ですのでプレッシャーがかかったと思います。

健闘したと思いますが聴いている人はおそらく十分理解できなかったと思います。これは英語が下手とかそういったことより内容が難しと云うことと分量が多すぎると言うことに起因することで仕方ありません。この演題はすでにある雑誌に掲載が決まっているものだったのですが,論文のページ数で14ページの大論文なので仕方ありません。エッセンスだけを伝えたいのであれば思いきって内容を削るということも必要だったのかもしれません。そもそもセッション自体がかなり広範な内容の寄せ集めですから自分の関心事以外はよく解らないという状態であったと思います。

時間が早いということもありはじめは集まりが悪かったのですが徐々に増えてくるといった感じでこれは日本と事情は同じだでした。poster discussionは雑然さのない環境で話を進めることができるのでposterのセッションよりよいと思いました。

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ポスターは機会展示の奥を仕切った場所で行われました。

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ポスターが貼られてそれを前に聴衆が移動しながらpresentationを聴いて廻るという日本でもどこでもある形式です。
米国からのposterとそれ以外からのposterを分けてセッションが組まれていたと云うことですが日本人のpresentationのまずさを考えれば仕方ないのかもしれません。

中国からの演題のいくつかはポスターが貼られていませんでした。演題は採択されたのだが渡米できなかったのかするつもりがなっかったのでしょうか? 抄録としてはデータベースに入るわけですから業績になるのでしょうか。ポスターもすくなくとも形式的にはひどいものが多かったと思います。

もう一つの問題はポスターは貼ってあるのですが,presenterがいないつまり「張り逃げ」が散見されたと言うことです。びっくりしました。こういう日本からの演題がある以上区別しておく必要があるとASAが考えるのも無理はありません。JSAは実態を調査する必要があると思います。酷い話だと思います。

Refresher courseなどははじめから興味がなかったので一つも聴きませんでした。特に後悔はしていません。

例年の会場はWashington DCだということです。

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Abstractやposter,presentationを英語で表現する必要はありますが他の演題の内容から判断して日本麻酔科学会の演題の査読よりASA meetingの査読のハードルが高いと言うことは無いと思います。その意味では,指導者の適切な指導があればーつまりabstractの英語が自分勝手な英語でなく論理的に書くことができればー誰でも参加できる余地は大いにあります。一度は参加してみらた考えることも多く収穫となると思います。

DCでは空きの半日程度を使っての市内観光をするリソースもシカゴより豊富に存在すると思います。

ぼく自身はこういう規模と形式の学会はあまり有益と感じません。Gordon, Keystoneのような特殊なテーマに絞ったmeetingはどの演題を見てもそれなりの興味を引かれるし理解可能なのですがASAのような麻酔科学とその周辺をすべて含む学会だと自分の理解が完全にできるものは1/3も無いかもしれません。しかもどこにそれがどこにあるかは相当の下調べをしないと解りません。大変です。
しかし一回は参加したらよいともいます。妙な幻想が吹き飛とぶと思います。

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今週中にはJohns Hopkins University Medical Campus訪問の感想をuoしようと思います。


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