低酸素トランスクリプトームメタ解析論文が査読論文誌にaccept

DBCLSの坊農秀雅さんと一緒に(といってもぼくは最期になって始めただけ)が査読論分として日の目を見ることになりました。

坊農さんのブログエントリーはここからどうぞ

 

bioRxivに Meta-analysis of hypoxic transcriptomes from public databases として寄託してた論文です。

accepted manuscriptと同等のものを今でもお読みいただけます。

と、思っていたらpublishされました。 

 

坊農さんもいっているように公共DBのデータのメタ解析が査読論文誌に掲載されるという事もぼくらの狙いでした。

まともな論文ならRNA-Seqなどのdataは公共DBのにdepositされていて単独での再解析と今回のようなメタアナリシスが可能となるのです。

Westernや染色の画像をいじって論文を通したという次元とはまったく異なる訳です。全部「透明」ですから。

例えばPeerJとかも解析の準一次dataは論文投稿時にdepositすることが求められますしこういった流れはぼくにとってはまったく問題はありません。 論文で提示できるdata量に制限がある論文よりいくらでもdataをつぎ込める論文の方が望ましいのは明白だと思います。

 

近年bioRxivなどにdepositされた論文がそのまま流通するするようになってきていてならば「査読誌に発表する意味ってあるのか問題」がでてきている訳です。

将来的にどう流れていくか解らないしどうせbioRxivに投稿する所まで完成しているのなら査読誌に通しておこうということでいいのではとは思っています。 どんな雑誌でもいい訳ですがやはり皆が名前は知っている雑誌とかを中心に選択することいなるのですが近年創刊される雑誌も増えているので選択に少しは迷いますよね。 ぼくの場合はいわゆるimpact factorはそんなに気にせずにとにかく読んでもらって引用してもらいたいという視点で雑誌を選んでいます。論文通すのにかかる諸々の負担のコスパ()ってありますよね。 結果としてここ数年は500回/年の被引用回数で落ち着いているのでまあそれでいいかと。

 

 

 


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大学院生の楠先生の論文が公刊されました

大学院生の楠先生の論文が公刊されました。

Kusunoki M, Hayashi M, Shoji T, Uba T, Tanaka H, Sumi C, Matsuo Y, Hirota K. 2019.

Propofol inhibits stromatoxin-1-sensitive voltage-dependent K+ channels in pancreatic β-cells and enhances insulin secretion.

PeerJ 7:e8157

http://doi.org/10.7717/peerj.8157

 

Figureが8つあってsupplementary figureも8つある大作です。

dataが多すぎて麻酔の専門誌では載せてくれるところがありません。


大学院生の正司先生の論文がScientific Reportsにアクセプトされました

大学院生の正司先生の論文がScientific Reportsにアクセプトされました。

polysulfideがインスリンの分泌に及ぼす影響を解析した研究結果です。

こっちもfigureが8つあってsupplementary figureも8つあります。


低酸素遺伝子応答のメタアナリシスの結果をbioRxivに発表しました

低酸素遺伝子応答のメタアナリシスの結果をbioRxivに発表しました。

DBCLSの坊農さんとの共著です。

Meta-analysis of hypoxic transcriptomes from public databases doi: https://doi.org/10.1101/267310


共著論文がアクセプトされました

共著論文がアクセプトされたのですが詳細はここでは発表しません。


本の紹介

実験医学別冊 RNA-Seqデータ解析 WETラボのための鉄板レシピ

今時RNA-Seqは誰でもすなる研究手法でweb上でも出版物でもどこでも見掛けます。

それ故無数の微妙に異なる方法が並立して初学者には一体どれを使えばいいのか迷ってしまう問題があります。

遺伝子の発現解析に限ればこの本をまず通読すると見通しがすごくよくなると思います。

“COLUMN”の内容も有用です。

Chapter7は1細胞RNA-Seqがテーマとなっている章ですが、「多数のサンプル間の類似度を比較する」という考え方はconventinalなRNA-Seqでも必要な考え方でありこれらが学べます。

一家に一冊そろえて通読すべき本だと思います。

ぼくらの論文のdataも教材として取り上げられています。

9784758122436

 

  • Chapter1 まずはこれだけ!解析環境を整える〜Mac+Biocondaを中心に【安水良明】
  • Chapter2 データを入手する
  • (1)RNA-Seqの注意点〜外注時のリード数,小分子・長分子での違いなど【木本舞】
  • COLUMN RNA-Seq vs マイクロアレイ【石井善幸】
  • (2)公共データの利用〜AOEとRefEx,SRAデータ取得,メタ解析【坊農秀雅】
  • Chapter3 転写産物の発現を定量する
  • (1)リファレンスゲノムにマッピングする方法①〜HISAT2 + StringTie【安藤美波,粕川雄也】
  • (2)リファレンスゲノムにマッピングする方法②〜STAR + RSEM【上樂明也】
  • COLUMN Strand NGS〜RNA-SeqデータをGUIで解析する【田中英夫】
  • (3)リファレンスゲノムにマッピングしない方法〜salmon,kallisto,tximport & RNA-Seq定量にまつわるFAQ【露﨑弘毅】
  • (4)転写開始点を解析する方法〜CAGE【森岡勝樹】
  • COLUMN 各種ツールの実行時間比較【丹下正一朗】
  • Chapter4 リファレンスゲノムのない生物でde novo解析を行う【横井翔】
  • Chapter5 発現変動遺伝子群を検出する【門田幸二】
  • Chapter6 サンプル間の発現変動した遺伝子群の機能を推定する〜エンリッチメント解析【仲里猛留】
  • COLUMN Ingenuity Pathway Analysis〜発現プロファイルの生物学的意義をGUIで解析する【執筆/Stuart Tugendreich,Jean-Noel Billaud,訳/國田竜太】
  • COLUMN アノテーション情報とID変換〜Gene Ontology,BioMart,Spotfire【坊農秀雅】
  • Chapter7 多数のサンプル間の類似度を比較する〜1細胞RNA-Seqの場合
  • (1)次元削減と可視化【佐藤建太,二階堂愛】
  • (2)類似度の計算とクラスタリング【佐藤建太,二階堂愛】
  • COLUMN 1細胞RNA-Seq解析の動向【佐藤建太,二階堂愛】
  • Chapter8 リードカウント以降の統合解析をウェブブラウザで行う〜iDEP【上坂一馬】
  • Chapter9 論文投稿に必須!データを登録・公開する〜DRA,GEA【児玉悠一】
  • COLUMN 解析結果を論文発表する際にはここに気をつけよう【坊農秀雅】

 

「次世代シークエンサーDRY解析教本 改訂第2版 」

岩手医科大学 いわて東北メディカル・メガバンク機構 生体情報解析部門の清水厚志さんとライフサイエンス統合データベースセンターの坊農秀雅さんが編集した「次世代シークエンサーDRY解析教本」の改定第2版「次世代シークエンサーDRY解析教本 改訂第2版 」が分子生物学会で先行販売されています。

ぼくも一部担当させて頂きました。

51gYmEONRnL SX382 BO1 204 203 200 1


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PLoS OneとPeerJに立て続けに論文がアクセプトされて一息つきました。 いくつかばらまいてあるものが年内に何とかなることを祈っています。

最近は広く皆に読んでもらえるならどの雑誌でもいいという程度の「悟り」というか「諦観」を身につけました。 やりたいことを自分の身の丈で継続できるという環境は素晴らしいと思っています。

 

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こういうon-line journalは分量の制約がゆるいまたはないのでいっぱいデータを持っている場合全部突っ込めるのですごくありがたいです。

PeerJは始まったばかりですがPLoS Oneに至っては日本ではこれでプレスリリースを行う研究者や新聞が取り上げたりもして実際にあのImpact Factorも予想に反して結構高めとなってきています。 さまざまなMetricのtoolもあって自分たちの論文がどれくらいの反響があるのかもある程度リアルタイムにつかむことができて大変助かっています。

未来永劫とはいえないけどここ数年の流れになっていくと思っています。

 

雑誌の従来の「権威」で個々の論文の信憑性が担保されるというような考えは昨今の状況を考慮すればすでにタダの「幻想」となっていると思います。基礎的な論文であっても臨床の論文のようなmeta-analysis的なものをかいくぐって初めて真正性が認められるというような時代がやってくると思います。

論文の追試というのは大それた論文であればあるほど世界中で一斉に始まります。製薬会社などには追試を専門にしている部署があるのではないでしょうか。”Science”誌のエッセイによれば追試できない結果を含んだ論文というのはいわゆる一流誌でもすごい数あるようです。(参照)

柳田先生はブログでこのような辛辣な意見を述べておられます。(参照

論文投稿の研究室が高い名声と信用を勝ち得ていると,論文データ中に捏造データがあるなどと思えないものです。最初から疑いの眼でみることはまずありえません。しかしご承知のとおり夢にも思わなかったような人々が捏造データ作成に手を染めていることがいまやはっきりしてくると、この阪急のケースなども同根の病から生じたものではないか、と思いたくなるのです。

まず関西でいうええかっこし、これが行きつくところまでいくと,内容がない癖にいい方で相手を信用させ騙す。見かけがなによりも大切。つまりNCSとかいう頭文字の雑誌の論文があれば見かけは最高になる、だから生きる目的のすべてがそこに向かう。 次ぎにおかしいことがばれたら、誤りであったと言い抜ける。相手をあざむく気はまったくなかったと言い張る。悪気はまったくなかったし、こういう表現がいけないと言うことも気づかなかった。いつもはとかなんべんかはちゃんとしたものを提供しました、などといいぬける。これも研究の世界ではすぐ使えそうな気がします。

捏造研究の現場も日本は国内トップの研究費の非常に潤沢なところで横行しているのですから、なにか同根の問題があるのでしょう。

つまり国内トップといってもたいしたものではないというところでしょうか。

表面を飾り立てることにきゅうきゅうとしている職場の雰囲気がたぶん同根なのでしょう。

 

こんなことならいっそ査読なんて要らないといことにならんかなと思ってしまいます。 

そもそも研究成果の発表の手段は査読付きの論文として発表するだけに限定された訳ではありません。

数学や物理学にはpreprintを収録するarchiveが存在します。 例えば”arxiv“。 形式上の一定の基準を満たせば査読無しに収録してくれます。 研究者が自由にアクセスできます。

ロシア人数学者グリゴリー・ペレルマンはポアンカレ予想を証明したと主張する論文をプレプリント投稿サイトとして著名なarXivに投稿しその後の検討でこの主張は正しいつまりポアンカレ予想は彼によって証明されたと考えられるようになっています。

すごく健全だと思うのですがどうでしょうか。

 

生物学の領域ではいままでこのようなpreprint serverはなかったのですがPeerJのpreprint serverやCold Spring Harbor Laboratoryが運営する”bioRxiv“などが稼働し始めました。

bioRxiv (pronounced “bio-archive”) is a free online archive and distribution service for unpublished preprints in the life sciences.

Articles are not peer-reviewed, edited, or typeset before being posted online. However, all articles undergo a basic screening process for offensive and/or non-scientific content. No endorsement of an article’s methods, assumptions, conclusions, or scientific quality by Cold Spring Harbor Laboratory is implied by its appearance in bioRxiv. An article may be posted prior to, or concurrently with, submission to a journal but should not be posted if it has already been published.

以上の様な条件があります。つまり、preprint serverに託しておいた研究を査読誌に投稿するというようなことも条件付きでは可能の様です。

Many research journals, including all Cold Spring Harbor Laboratory Press titles (Genome Research, Genes & Development, and Learning & Memory), EMBO Journal, Nature journals, Science, eLife, and all PLOS journals allow posting on preprint servers such as bioRxiv prior to publication.

こう書いてありますから早晩ほとんど全ての査読誌はこういった方向性を受け容れることになるのだと思います。

逆に特徴の無い査読誌は消えてしまうと思います。存在意義がなくなりますよね。

今後どうなっていくか関心があります。

 

PeerJのpreprint serverは臨床医学の症例報告も収録してくれます。実はすでにぼくの分も上げてあります。

症例報告なんて別に査読を受けなくともどんどんこういったpreprint serverに投稿して世界中の人に自由に読んでもらえる方がいいと思います。

こんな症例報告を業績にするつもりもないのですが煩雑なやりとりを強いられたり字数制限を考慮したりするのはこりごりです。

 

以前に書いたことがありますがそもそも論文って「意見広告」なんですよ。 (参照)

査読といっても数人多くの場合は二人くらいの研究者が読むだけです。現在の査読システムには問題が多すぎるのです。 (参照:”Are We Refereeing Ourselves to Death? The Peer-Review System at Its Limit“)

 

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昨日の帰宅時に「キレイゴトぬきの農業論」という本を読みました。 脱サラして農園の経営に飛び込んだ久松達央さんが著者です。

調べてみるといくつかの書評がすでに出ているようです。 例えばここではとてもうまくこの本が紹介されています。

これを医療の世界に適応してみてもなかなか面白い示唆が得られると思います。 普通の医療の世界に「天才」とか「神の手」みたいな人は本来必要ありませんというよりこういう人がいるとたぶんとても迷惑する場合もあります。 医療は普通の人間が普通の論理に従って普通に行う事がもっともうまくいくための方策なのだと思っています。

先日医学部の学生くんと研修医くんと25年前の麻酔について話していました。

ぼくが麻酔を始めた頃はpulse oximeterは何でも自由に買ってもらえるK大病院でも一台くらいしか存在せず、人工呼吸が内蔵された麻酔器も数台しかありませんでした。自動血圧計なんて便利なものもありませんでした。

仕方ないので10時間でも手動で人工呼吸をしながら5分おきに手動で血圧を測定するといく局面が何度もありました。なので麻酔中に居眠りなどできません。

もちろん一人で二つの麻酔を掛け持ちするということはこの体制では原理的に不可能だったのです。

今は違います。

 

医療の分野は「キレイごと」抜きで考えるともっと良くなる分野だと思います。

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