Lasker award

今年の2016 Albert Lasker Basic Medical Research Award

Gregg L. Semenza博士が、米国と英国の他の二人の研究者と共に決まりました。

 

受賞は

Oxygen sensing – an essential process for survival

への貢献です。

 

彼がJohns Hopkins Universityで運営してた(今もやってますが)labにぼくは1999年の8月から2002年の2月までvisiting professorとして参加しました。

 

彼の言葉で今でも印象に残っていることが二つあります。

HIF-1のcloningは彼が主に中国人のポスドク(Wang)と行った仕事なのですが、ある日、自分のオフィス(といってもラボの一角を仕切って作った2.5畳のスペース)の扉を閉めて「Kiichi、偉大な仕事をするためには優秀なポスドクが必要なんだ」と彼に言われたこと。

もう一つはぼくらのFIH-1の論文が出てしばらくした頃、研究室のぼくのベンチまで(彼がベンチまでやってくるのはとっても珍しい)満面の笑顔で「RatcllifeがFIH-1のクローンを欲しいといってきたよ」とわざわざいいに来たことです。

 

学会で来日したときには京大の麻酔科の比叡山が見える研究室を訪問してくれました。

その折りに「いつまで麻酔なんてやっているんだと。とっとと止めて研究に専念しろ」と言われたことも思い出しました。

 

Semenza研はHIF-1のcDNA cloning, HIF-1aのノックアウトマウスの報告において世界での先陣をきり、酸素分圧のセンシング機構でもFIH-1のcloningに成功していたのでこの分野でGreggが受賞するのは当然です。

 

彼自身が執筆したEssayが読めるようになっています。(参照)

Greggらしい文章ですね。

知っていたエピソードもあるし始めて聞いたネタもあります。

このビデオのGreggがいる場所は彼のオフィスです。BaltimoreのInner Harborが一望できる素晴らしい場所です。以前のオフィスとはまったく似ていません。 彼の部屋の片隅にMac SE/30が置いてあります。聞いたら初めてR01 grantが当たった時に使っていた記念の品なのだそうです。

 

この賞の受賞者は来月早々に発表されるNobel賞を受賞することが多いそうです。こっちももらってlab. memberがre-unionできたら幸せだろうな。

 

Google Schalorの統計に寄ればぼくはGreggとの共著論文ランキングの10位です。

 

ぼくらが20世紀の後半から21世紀の初頭にかけて行っていた研究がLasker賞に結実したことはとても嬉しいです。

今回の受賞理由に挙がられている研究は1990年代にほぼ終わっていてHIFa水酸化酵素の報告もPHD, FIH-1とも2001年です。2001年にHIF活性化調節のセントラルドクマが定立されたのです。

ぼくらがその当時やっていたことは生物学上の重要課題であった、その課題の解決に貢献ができたということでぼくは満足です。

極東の一麻酔科医ができる最高の貢献だったと自負しています。

 

故森健次郎先生が大学院の研究を淀井淳司先生の研究室でやれとぼくに命令しなかったら、またその後ぼくにお前は日本にいたらダメになると言ってくれなかったらぼくがGreggの研究室に参加することはなかったし、研究もとっくの昔に止めていたと思います。


論文アクセプト

大条先生の論文がアクセプトされました。

詳しいことは書けないのですがすごくうれしい。もちろんGreggのLasker賞よりうれしいです。


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関西も梅雨に突入ですが今日の雨は台風の影響なのでしょうか。すごく激しく降っています。
去年なぜか一度だけ強い雨の日にアパートの押し入れが雨漏りして蒲団が濡れてしまうと云う惨事に見舞われたのですが,今日心配です。
ホントこんな生活にはケリをつけいたいです。

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Cellからです。
Pyruvate Kinase M2 Is a PHD3-Stimulated Coactivator for Hypoxia-Inducible Factor 1

Cell, Volume 145, Issue 5, 732-744

GLS研からの報告です。
pull-down screeningからここまで引っ張っていくなんて相変わらずすごいですね。脱帽です。
読むといくつかのポイントがあって興味の持ちようで多様的に示唆を与えてくれるよい論文だと思います。
最近のHIF関連の論文の中では出色だと思います。
KO miceを使った論文は余り好きではありません。自分が追試できないから。

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今日のtweetです。
こういうことは瀬藤先生がいうのでリアルなんでしょうね。
ぼくは”上がりのポスト”にいるわけでなくこれから落ちていくだけの研究者なのですが,しかし言わんとされていることは自分なりに理解できます。
研究なんて自分の眼で見たとしても他人も同じ現象を観察できるとは限らない。研究費を取ってきたって自分の給料が増えるわけでないしかえって雑用が級数的にに増えていくだけとも言えます。時々事務の人何人かに根掘り葉掘り調べられたりしてホント割に合わないわけです。論文などいくら書いてもリアルライフでは何の御利益もないのになんで続けているのかについては自分でも”合理的”な答えはありません。家内などそれを批判して”ノーベル賞とれないのならさっさと研究止めてほしい”などと言うわけです。これはこれで正しい反応だなとよく思います。ぼくはぼくで研究に充てている時間を麻酔に振り替えたらすごく儲かるのではないかと常に思っています。

社会は絶えず夢を見ている途中まで読みました。いつもながら短剣を突きつけられるような考察だらけですね。サンデル本を読む時間があるのなら大澤本を読んだ方が良いと思います。


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