金曜日に続いて日当直しています。

土曜日の朝に共同研究をしているH田さんが来てくれて3時間ほどいろんなことを話せて良かったです。 午後からはtaroが来て某講演会の作戦会議でした。うまくいくことを祈っています。

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久々のエントリーです。

原発事故と科学的方法という本を読みました。

著者の牧野淳一郎さんという方は現在は東工大で理論天文学、恒星系力学、並列計算機アーキテクチャーを研究している人で原子力関連の専門研究者ではありません。

3.11の地震による原発事故について政府、東京電力から提供される「公式発表」に疑問を感じて公表されたデータと「高校の物理でならう程度」の知識でできる計算を自分で行って原発から放出されてしまった放射性物質の量が膨大であることに気付いた、その後のことを個人的な日記などの記録から淡々と記録して「科学的な方法」「科学者の態度」について考察した本です。

岩波書店の雑誌「科学」に連載していた「3.11以後の科学リテラシー」というタイトルの文章の内容を一般向けにtwitterやウェブサイトに筆者が書いたものと一緒に再構成することでまとめて出版された本で本の帯によれば原発再稼働と健康被害推定をめぐる「実践的な思考の書」ということです。

 

岩波書店は科学という名前の月刊誌を発行しています。 東北の地震と続発する原発事故つまり3.11の後にはこれに関連した放射線・エネルギー問題が特集として取り上げられることが多くなっていると思います。 一種の「科学」の「世界」化ですね。さらに 科学者と社会の関わりに力点を置いた数多くの書籍が岩波書店から出版されてもいます。

信頼の条件――原発事故をめぐることば

科学者に委ねてはいけないこと――科学から「生」をとりもどす

などはその例です。

 

「科学」の最新号は11月号ですが 特集は「“科学的”とは何か」です。

特集の論文のタイトルを列挙してみます。

  • 「想定外」にみる科学主義の虚偽──地に墜ちた日本国家の信頼と倫理……松原望

  • 医学情報の科学的条件──100mSvをめぐる言説の誤解を解く……津田敏秀

  • 「科学的」であることを市民の側から考えるために──東京電力原発事故と被曝をめぐる「科学」的言説をめぐって……影浦峡

  • シミュレーションと予測の使われ方──福島原発事故をめぐって……牧野淳一郎

[規制と科学]

  • 放射線とベンゼンを例にみる規制と科学観──社会的受忍レベルの裂け目……神里達博

  • リスク評価に“中立”はあるか──森永ヒ素粉乳中毒事件にみる文脈依存性……中島貴子

[科学と社会の諸相]

  • 論理学とサイエンス・コミュニケーションの補完……村上祐子

  • 科学という眼鏡……有田正規

  • 科学的である,という難事……岩田健太郎

  • 「原発と活断層」をめぐる「科学」の扱い……鈴木康弘

  • 福島第一原子力発電所から海洋への放射能流出の現状……神田穣太

いろんな人が俎上に上げられ批判されます。

以前紹介した医学と仮説――原因と結果の科学を考えるの著者である津田さんによって東京大学病院の中川恵一医師がばっさりと斬られます。 原子炉事故後積極的に発言されてされていましたが「医学情報の科学的条件──100mSvをめぐる言説の誤解を解く」では曰く「目覆いたくなる日本の医学者」の一人として「データを科学的に論じる能力に欠けた医者」として批判されています。 ちなみに中川医師は牧野さんにも「原発事故と科学的方法」で批判を受けています。要するに「科学的」でないというわけです。

それでは「科学的」とは何かまたはどういうことかという事が問題になるわけですがこれを明確に定義することはできないので結局は歯切れの悪い議論となりなり[科学と社会の諸相]というようなアプローチとなるわけです。

しかし「科学の科学性を担保するのが誠実にして謙虚な弁証法だ」という言説には同意はできないしそもそも何のことを言っているのかぼくには解りません。

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科学雑誌”Nature“で科学者やその業績をどのように評価するかについての議論が特集として取り上げられました。

IMPACT:THE SEARCH FOR THE SCIENCE THAT MATTERS という特集です。

“The maze of impact metrics” はこの号のeditorialで問題が要領よくまとめられています

“Research assessments: Judgement day” 研究機関の評価のあり方に力点をおいたものです

Science publishing: The golden club “ CNSとまとめられるCell, Nature, Scieceなどに論文を載せている研究者はそれだけで「すごい」と世間的には思われていろんな「得」をするのですが最近はその神通力が効きにくくなっているかもというお話です。

Publishing: Open citations”, “Referencing: The reuse factor” この2つはちょっと短めのコメントです。

“Who is the best scientist of them all?”は ちょっと面白い読みものです。

Google Scholarの統計に基づくと歴代の研究者の中でh-indexの順番は 一位:S Freud:282 二位: E Witten: 243 三位: WC Willet: 220 だということです。 生物学に限ればM Friedman: 193, SH Snyder: 176, B Vogenstein: 167 となっています。

研究領域が異なるとh indexを直接比較することが適切でないというか場合があるというか比較できないのですがそれをどう補正するとよいのかという研究も紹介されています。

その領域の研究者のh-indexの平均で個々の研究者のh-indexを割った値をhs indexとして使うとよいのだそうです。(Universality of scholarly impact metrics)

この補正を加えると歴代のhs indexの一位はあのKarl Marxとなるのだそうです。

インディアナ大学の研究チームが作った Scholarometerというツールが紹介されています。これはGoogle Scholarのデータを使って研究者の名前と研究分野を入力するとh-indexを計算してくれるアルゴリズムです。

例えばShinya Yamanaka: 64(biology)と出てきます。

Gregg Semenza:125(biology)です。 これの面白いのは共著者の順番も出てくることです。

K HirotaはGregg Semenzaの共著者のランキングの二番目で15です。ちなみに一位はH Zangの17です。ぼくはGLSの共同研究者の二番目にランクされるというわけです-あくまで論文数ですけど-。

 

それではお前はどうなんだということで、Kiichi Hirota:40(Biology)でぼくの共著者ランキングはS Takabushi:18, K Fukuda:15, T Tanaka:13となっています。

 

全国の某診療科の教授のh indexランキングも作ることが可能ですね。だれか学会で発表したらどうでしょうか? この道具を使えば簡単ですよ。 例えばKazuhiko Fukuda:38(biology)で共著者のランキングはK Hirota:29, G Shirakami:22となります。 ぼくって福田先生とこんなに共著論文があったんですね。最大の共同研究者です。まあそうだと思っていたのですが実際にそうでした。

その他も10人ほど調べましたが差し障りがあるので公表しません。自分で調べてください。

名前がありふれている人は検索結果が全てその人のものとは限りません。 またGoogle Schalorから漏れている業績は検索に掛かりません。

日本語の特に製薬会社の出しているPR誌の「論文」や出版社から出ていても査読などのない「論文」-それを論文と呼ぶのかどうかわかりませんが-は検索から漏れています。 これはもちろんぼくの責任ではありません。

 

h indexは個人の業績を出版された論文などをもとに解析したものですが最近はAltmetricsという名前で呼ばれる手法も取り入れられています。

alternative metricsから作られた造語だということです。

ソーシャルメディア等における研究成果への反応をリアルタイムで収集し、そのインパクトを論文単位で定量的に表示する新しい研究評価指標とのことです。(参照)

ちょっと調べるとこんなページあんなページも見つかります。 

PLoS Oneこんなページを作っています。

 

評価の指標が単一でないことはよいことだと思います。

 

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一方”Science”では”Communication in Science: Pressures and Predators“という特集を組んでいました。  

今大流行のOpen Journal、peer review、大勢の人間を一カ所に集めて行う「学会」の問題点などを議論しています。  

“Scientific Discourse: Buckling at the Seams”

“Improving Scientific Communication”

“The Rise of Open Access”

“The Seer of Science Publishing”

“The Power of Negative Thinking”

“Hey, You’ve Got to Hide Your Work Away”

“Cloak-and-Dagger Publishing”

“The Annual Meeting: Improving What Isn’t Broken”

“Who’s Afraid of Peer Review?”

    査読のいい加減さがあばかれています。神戸市にある某国立大学の発行している医学雑誌も相当なもののようです。

“What’s Lost When a Meeting Goes Virtual Meetings”

“That Flatter, but May Not Deliver”

“Public Science 2.0—Back to the Future”

 

“The Power of Negative Thinking”“Who’s Afraid of Peer Review?”“Public Science 2.0—Back to the Future”は一読をお勧めします。

 

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