2020年のオリンピックとパラリンピックの東京での開催が決まりました。
オリンピックがどこで開催されるかに大きな興味は無かったのですが決まってみるとそれはそれでよかったのではないかと思っています。
少なくとも2020年に自分や世の中がどうなっているのだろうかなどなどについて多くの日本人が思いを馳せたのでは無いかと思いますしそれはすごく貴重だと思いました。
7年は長くもなく短くもない絶妙な「長さ」だと思います。
おそらく安倍晋三氏は総理大臣ではないでしょう。
ぼくは医者をやめたりはしていないと思いますが職場は変わっているかも知れませんし麻酔を今のようにしているかは確定したことではありません。子供はもう一緒に暮らしていないだろうしそうなれば今までとは別の人生を考える事もできると思っています。
リオデジャネイロでの「東京」のプレゼンターションの一部を見ました。安倍首相の主張には確かに大きな問題があるとぼくでも思いましたが、彼があれ以外にどういう言い方があったのかと考えるとこれは仕方ないという風に思いました。日本の総理大臣の云うことをいちいち真に受けていては身が持たないという事情もあると思います。
とにかくあの言明が「東京」の選出に大きな効果があったという風にはぼくには思えません。
外国人にとっては日本の皇族が東京に住んでいるというような当たり前の事実の方がよほど説得力を持つような気がしました。
その日、日本映画専門チャンネルで市川崑氏が総監督をした「東京オリンピック」が放映されていたので観ました。
はじめて観たのですがこれは素晴らしいドキュメンタリーだと思いました。
レニ・リーフェンシュタールの「オリンピア」を意識した記録映画だと思います。 この「オリンピア」は小林秀雄が鑑賞して激賞しています。これは新潮文庫版の「Xへの手紙・私小説論」に収録されています。何度読んでもこのエッセー自体が感動的です。
東京オリンピックのカヌー競技はさずがに群馬県だろと思ったら東京湾の臨海地区に人工の競技施設を作るのだそうです。ちょっとやり過ぎだろうという気もします。
とにかく7年後全競技を最初から最後までリアルタイムでのストリーミング放送と完全アーカイブ化してもらいたいと思います。 下の方にCMが入るのは我慢するので。
日本の研究システムのこれから
Science Talksという枠組みがあります。
Science Talksは、これからの「ニッポンの研究力」を研究者・科学者のみなさんと一緒に考えていくためのプラットフォームです。
ということで日本の科学の将来がissueとなっています。
ネット上ですでに様々な活動が始まっています。 藤田保健衛生大学総合医科学研究所システム医科学研究部門の宮川剛さんと鈴鹿医療科学大学 学長の豊田長康さんへのインタビューが掲載されていてこれがなかなか面白いのです。
ぼくは賛成できる部分が多かったです。
参考にindexを紹介しておきます。
宮川剛さんの分
第2回 研究をやらなくても問題のない日本
第5回 研究者すごろく
第8回 科研費はギャンブル
第10回 「数値がすべて」ではなく、数値「も」評価に入れるべき
第11回 業績なんてない方がいい
第12回 インパクトファクター至上主義の弊害
第13回 高インパクトファクター雑誌至上主義が論文数低下の諸悪の根源
豊田長康さんの分
第1回 日本の研究費総額は足りていない
第2回 研究者には90%の研究時間を確保する仕組みをつくるべき?
第3回 お隣の台湾にも追い越されている日本の研究アウトプット力
となります。
少しやりとりを引用してみます。
研究費の配分で
【宮川】 でも過去の実績を基にすればそれなりにその人の研究能力は推定できます。おそらくは、過去の業績が、未来の業績の最も精度の高いプレディクターなのです。
という意見には一理も二理もあると思います。
若手の評価は別として博士号を取得して10年以上の「研究者」ー職位が教授でも研究者とは云えない人もいるのですが-の評価には客観的な業績に基づく指標を部分的には導入してもららいたいと思います。職位で審査に差別をされるのは困ります。
【湯浅】 実際、海外だとH-indexを評価に使うのって当然じゃないですか。日本ではどうして使ってないんでしょうか?
【宮川】 単に遅れてるだけだと思います。もしそこらあたりの評価基準をとりいれていけば、研究者の間でも、地に足のついた論文を地道に出していったほうがいいのでは、という認識になっていくでしょう。
日本学術振興会の研究費の申請は現在の三倍くらいの分量で英語で書くようにすると「冷やかし申請」や「ゴーストライティング」が減ってその分審査に時間が割けるようになると思います。現行では単なる思いつきで実現の可能性の裏付けのない研究申請が多数出ていると思っています。
またH-indexの利用には問題もあるとは思っています。計算するとぼくのような研究者でも40とか33とかの数字が出てしまう指標ってやっぱりなんか胡散臭い感じはあります。まあH-indexが一桁の「教授」ってのももっと胡散臭いですけど…
やっぱりNature, Cell, Scienceに論文を発表できる人ってすごいと思います。全然人種が違うとは思いませんが、学会・研究会でお話ししても立派な方ばかりだと思います。その人達が研究費を使って研究を推進することに何の問題も無いとは思いますがそのために捏造となるとこれは困ります。それが弊害だと云えば弊害だとは思いますが米国でもそんなもんじゃないんでしょうか? 以前GLSに聞いたらH-indexなんて別にどうって事無いよと云っていました。ちなみにGLSさんはその時点でH-indexは80位だったと思います。
【宮川】 僕は数値指標はある程度出しています。引用数を指標にした場合ですが。単純に計算しますと、僕は日本の心理学分野のすべての 研究者の中で、一番引用数が多いようです。
【湯浅】 それ、すごいですね…。
【宮川】 しかしながら、心理学分野に申請した科研費では落ちました。
【湯浅】 な、なるほど(笑) では本当にまったくもって、過去の研究成果は今評価に反映されていないってことですよね。
【宮川】 ええ。すべて心理学研究者の中で、シニア研究者の全員含めて一番引用数が多いようですが、それでも若手Aに落ちてしまうのです。人事でも落ちます。心理学分野ではかなりいろいろな大学に希望を出しましたけど、全部落ちました。面接に呼んでいただいたことすらありません。
【湯浅】 かなりバイアス的なものが影響しているということですか。
【宮川】 どれぐらい組織の中で波風たたせずうまくやるかとか、そういうことが大事な世界です。ですので研究業績なんかあると、大学ではむしろマイナスに働くことすらあります。心理学では業績なんかないほうがいいという具合に、昔は先輩たちから言われていました。
【宮川】 上の先生方に研究業績がないですから。研究業績がある若手が入ってきたら目障りですよね。
【湯浅】 そうですね。
【宮川】 実際、僕の知っている先生にはすごい業績をお持ちの先生がいて、当時、国内のトップの大学で助教授をされていましたが、業績の少ない教授陣から好ましくない扱いをされたようで、結局出て行くはめになりました。その方、アメリカに渡って教授になられましたけど。
【湯浅】 うーん…。
【宮川】 研究業績などは必要ない、むしろないほうがいい、あっても意味がない、というような分野が日本のアカデミアにはあるのです。数値指標などで判断されたら困る。。研究業績などよりも「一流大学教授」の肩書きで判断して欲しいのです。せっかくの大学教授なのに、そんな研究業績が高いだけの人に数値指標で負けたくないですよね。でも評価に数値指標が導入されたら、それが見えてしまいますから。
【湯浅】 宮川先生の提案を本当に導入したら、誰がお金をもらって誰がもらわなくなるか、ダイナミクスが変わりますよね。
【宮川】 変わります、変わります。もっと客観的でギャンブル的でない世界になりますよね。
【湯浅】 有名大学じゃないけれど、研究に情熱を持っているような人にお金がいくようになる。
【宮川】 今、世間では有名大学の人が偉いということになっているわけです。現状では、地方私立大学の研究者などはどんなに研究業績があっても、地方の私立大学の先生にすぎないので、たいしたことはないだろうと。そういう認識でしょう。
【湯浅】 一般市民はそう見てしまうのかもしれないですね。
【宮川】 東大や京大、国立大学の先生はエライ。業績が少なくても疑似科学をしていて科学的でないことおっしゃっていても、一流のナントカ大学教授であれば世間の人はそれなりに信じるわけです。
【湯浅】 うーむ。
【宮川】 でも研究業績が数値で表に出てくると、マスコミの人とかが端的に数値を見るようになりますよね。あんまり業績がない人だったら、「ああ、この人は研究やってない人なんですね」ということで専門家としての話を聞こうとしなくなるかもしれないですよね。
【湯浅】 それは見るでしょうね。
【宮川】 数値がすべてではないですよ、もちろん。でも、たとえば僕と同じ脳科学の分野で世間で有名な「脳科学者」がいますよね。あの方、たぶん、論文をほとんど出してないと思いますよ。
【湯浅】 先生と同じ分野の方ですよね。
【宮川】 はい、、引用数は約100ほどではないでしょうか、全部あわせても。僕でも、引用数5,000くらいはあります。世間的にどっちが偉い脳科学者といったら、多くの人は有名人のほうが偉い学者だと思うでしょう。
【湯浅】 うーん、なるほど。5,000はすごいですね。
という、やりとりがあります。
google scholarによればぼくの論文の引用回数の総和は”8276″みたいです。
しかしイヤになるほど全然出世しませんね。もちろん家内にはいい加減研究を止めろと事ある毎に云われています。困ったものです。
柳田充弘先生がブログで
どうしたらいいのか、わたくしの持論ですが、高額研究費のたとえ10分の1でももらえてただし職の保障があるところで、主宰者はそれ以上の欲もなく、しかし元気よくしかも質素に研究をするのであれば、捏造とも無縁、無茶なストレスも受けない研究環境を作れる人たちだと思うのです。 日本の未来はそういうラボがどの程度の数あるかにかかっていると思います。日本にあるラボの8割がそうであるのなら安心ですが。
と書かれています。
ぼくもすでにある意味それが実現できてるような気もしますが予算が年によって増減するので困っています。
iPhone
新しいiPhoneが出るそうです。 今現在4S userなので今年は機種変しようと思います。auでそのままいこうかと思っています。 iPhoneはgoogle関連のいくつかのサービスとtwitterに加えてKindleのreaderとして使っているだけとも云えるので5sでなくともよいような気もしますが…
学生の講義の都合で医師国家試験の問題を五年分くらいざっとながめてみました。 なかなか面白い体験でした。
今度学生に国試対策の講義をしようと思っています。国試なんて通ればいいのですから効率よく通ってもらいたいものです。