新潮文庫の100冊など

On 2014/5/17 土曜日, in hypoxia reseacrh, by bodyhacker

〆切を過ぎている某案件があるのですが催促されないことを良いことにすこしじゃなくだいぶさぼっています。 文献も読み込み構成も決まったのですがそこからあまり進みません。 一刻もこの状況から解放されたいのですが…

で〆切のある作業に勤しんでいます。

 

確かに医者はお互いを「先生」と呼び合いますがこれはただ単に便利だからですよね。名前を知らなくても呼びかけることもできるし。

当然臨床実習に来ている学生さんも「先生」呼ばわりされます。彼らだっていまや立派な”Student Doctor”で「免許証」も携帯しています。なのでリスペクトする必要があります。(参照) 

とわいえよく「先生、じゃま」とか看護師さんに注意されたりします。大学病院のヒエラルキーの最下層に位置するのでそれはそれで仕方の無いことです。


職場は大学ですので学生がいます。週に一回は一時間半くらいかけて彼・彼女らといろんなことを話します。 まずは麻酔科診療を経験しての感想を語ってもらいます。なるべくおもしろい話をするように促します。 「期待」に答えてくれる人もいるし「あくまで優等生」的な感想を述べる人もいます。 今週はこれ以上ないというくらいに「麻酔科診療」を絶賛する学生が二人もいて聞いているぼくがすこし恥ずかしくなるくらいでした。

「ニセ医者」の話題を振るときもあります。

時々ニセ医者が摘発されたというニュースも流れますので「ニセ医者」ってかなり広く知れ渡っていますし確実に日本にも今現在も存在すると思っています。

映画「ディア・ドクター」や「サイダーハウス・ルール」にはニセ医者が登場します。映画などで取り上げられるニセ医者はだいだい「名医」です。そうでないとドラマが成立しませんから。

そこで学生さんに「ニセ医者も5年位ばれなかったら医者にしたらどうか?」という考えについて意見を述べてもらうわけです。

いろんな「回答」が出てきます。ここで書いてしまうとぼくのネタがなくなるので控えておきますが皆さんどう思いますか?

ニセ医者とは別で偽医療というのがあるようです。こっちの方が問題は大きいかも知れませんが偽医療の全てが患者を不幸にするという訳ではないとことがおもしろいところです。

 

もう一つ学生さんに「お題」として出すのは麻酔に関してです。

「意識がない患者に鎮痛剤の投与がどうして必要なのかもしかしたら必要ではないのではないのか?」という質問です。

「近代麻酔科学的な模範解答」に近い答えをする学生もいますがその人にはその根拠を尋ねることにしています。 実はその「根拠」はぼくも知りません。明確な「エビデンス」があるのでしょうか?知っている人は教えてください。

医師国家試験で以下の様な問題が出題されたことがあります。

 

50 歳の男性。胃癌に対する開腹手術のためプロポフォール、セボフルラン及び ロクロニウムで全身麻酔中である。皮膚切開を契機として、血圧が上がり脈拍数が増加した。膀胱温 36.5 °C。SpO2 99 %。 追加すべきなのはどれか。

 

a フェンタニル

b ダントロレン

c ニトログリセリン

d スキサメトニウム

e プロプラノロール

 

という当たり障りのない問題なのですが

 

もし選択肢が

 

まずすべきことはどれか

a モルヒネを投与する

b セボフルレンの濃度を上げる

c エスモロールを投与する

d フェンタニルを投与する

e 上級医を呼ぶ

 

だったらどうでしょうか。

 

というようなことで学生さんと一時間位を使います。

 


「カウンセリング」について話題になっている本が二冊あります。

最小葉月さんの「セラピスト」と信田さよ子さんの「カウンセラーは何を見ているか」です。二冊とも読みました。

大学生の時(ということは30年ほど前)に「魂にメスはいらない ユング心理学講義」という本を読んで結構影響を受けたこともあります。

 

このようなカウンセリングについてのぼくの最大の疑問は要するにカウンセリングって何のためにするの?って事でした。

 

ぼくの医学部の同級生で登山会でも一緒だった鈴木康広くん(以下鈴木)という精神科医がいます。 彼は精神科の医者なのですが何を思ったのかスイスのC.G.Jung Instituteに留学してDiploma (ユング派分析家の資格)を取得したのです。「セラピスト」で取り上げられている河合隼雄さんもC.G.Jung InstituteのDiplomaの保持者だったそうです。鈴木は、 帰国後、北山にカウンセリングのためのクリニックを開き開所式にはぼくも呼んでもらいました。現在は仏教大学の教授として臨床心理士の養成にも関わっています。

 

「結局、カウンセリングって何のためにあるの? 例えばぼくがカウンセリングを受ける意味ってあるの?」と尋ねると鈴木は迷わず「カウンセリングは人がより幸せになるために受けるものだ」と答えてくれました。 それでぼくは納得していました。

 今回ちょっと調べたのですが日本ではユング派の分析家ってごく少人数しかいないみたいです。すごく希少価値があるんですね。(参照

そう考えると鈴木もなんとなくすごい。だからといってぼく自身が鈴木の前で箱庭を作るのはちょっと嫌だなと思ってはいます。

 

セラピスト カウンセラーは何を見ているか (シリーズケアをひらく)

医師でないカウンセラーが統合失調症の人やアルコール依存症の人を診るのはぼくには少し抵抗があります。それはぼくが医者だからだと思います。セラピストで取り上げられている河合隼雄さんは医者ではないですけど中井久夫さんは医者なのです。


先日手術室の廊下を歩いていたら麻酔科の専攻医さんから突然「先生って新潮文庫の100冊ぜんぶ読んだって本当ですか?」と聞かれました。

本当です

でもそれは1995年の100冊です。 米国にこのCD-ROMを持っていて読むものがないので結局読破したのです。

『楡家の人びと』『二十歳の原点』も入っていました。『塩狩峠』 『錦繍』ははこれではじめて読みました。

『桜の園/三人姉妹』『嵐が丘』、もちろん村岡花子訳の『赤毛のアン』も入っていたので何度か読みました。


学会だそうですが三日とも病院におります。

夜とか結構時間はあったのですがとにかく会場に行かないとどうにもなりません。講演などはネットで視聴できるようにできないものかといつも思います。意欲がないので調べていませんが、もしかしたらそうなっているのでしょうか? 

実は以前ぼくの話をネットで中継して良いかと学会に訊ねたことがあるのですが断られたことがあります。それでも一部の講演のビデオは公開したりしていてよく解らない対応です。

とにかく学会の運営は学校の先生がやっていただけではうまくいかないと思います。

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