昨日は当直でした。
21時には手術室を出たはずだったのですが、気付けば7:30になっても手術室にいました。 今年はついていません。
こういうことは統計学を援用すればただ単に運が悪いとなるのですが、人間は浅はかなので誰かの悪意を感じてしまうのです。 それって誰と言われても具体的には「神様」としか言いようが無いのですが…
京大の原田さんの研究室からの論文がNature Communicationsに出ました。
タイトルは “UCHL1 provides diagnostic and antimetastatic strategies due to its deubiquitinating effect on HIF-1α“ です。
これだけで解る人には結構な情報なのですが解らない人には解らないでしょうから、 京大のプレスリリースを読んでください。
がん転移促す遺伝子特定 京大、治療薬開発に期待 – 産経 http://t.co/NQXGgW1DYq UCHL1がユビキチン化を介してHIF1を制御しがん転移を促進する(Nat commun)OA→ http://t.co/68o14DtKyX
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 1月 24
がんの遠隔転移を担う新規遺伝子ネットワーク UCHL1-HIF-1 の発見 -新たながん治療法と予後予測法の確立に繋がる基礎研究(京都大学プレスリリース)→ http://t.co/p69RE3iLJr
— 俺のソース (論文紹介) (@OrenoSource) 2015, 1月 24
このように「俺のソース」にも取りあげれました。
またfinalvent氏の目にとまったようです。
“京大、がん転移促す遺伝子特定 治療薬開発に期待 – 47NEWS(よんななニュース)” http://t.co/CmOlyZs3QT
— finalvent (@finalvent) 2015, 1月 23
さらに現時点でもいくつかの新聞でも取り上げられています。
この論文は実はすこし前にOncogeneに出たある論文と密接な関係があります。つまり同一のプロジェクトの産物なのです。
“Aberrant IDH3α expression promotes malignant tumor growth by inducing HIF-1-mediated metabolic reprogramming and angiogenesis” こっちもすごく良い論文です。「おっつ」というような内容を含んでいて玄人には「うける」と思います。
数年前にこのプロジェクトの話を聞かせていただいたときは随分ストーレートな実験系である意味ストレート過ぎるのではないかと思ったのですが原田さんはこれを立派な研究成果に結実させました。
Nature Communicationsの論文は大学院生の後藤さんが筆頭著者です。 原田さんも粘ったけど後藤さんは期待を受けとめてよく頑張ばりました。
後藤さんはこれで医学博士号をとる予定です。Nature Communicationsの論文で博士号をとるなんて格好いいです。
ぼくはしがないproceedingの論文で学位を取りましたからやはりすごい人はすごいのです。
原田さんは今後はしばらく京都大学の白眉研究者として活躍される予定です。 この際一生ついていこうと決めています。
この論文是非supplementary dataまで詳しく読んでください。 とくに21ページ以降の”Supplementary Figure 20″に注目です。
論文で使ったfigureの元のデータが提示されどの部分を切り抜いてfigureを構成したのかが全て記述されています。
世間はここまで来ているのです。
【追記】
hypoxia-inducible factor 1は略す場合はHIF1でなくHIF-1と表記するのが「正しい」のです。HIF1と書かれるとすごく気に障ります。