慶応大学の相川先生とAmanda Tompsonさんという女性の方の共著
- 高校時代の英語の成績は、トップクラス
- 日本語の論文はかなり書いた
- 英語論文は、辞書なしですんなり読める
- 英会話も,まあまあ通じる
のに,医学英語論文が書けない人のための一冊と帯に書いてあります。
どうして”すんなり書けないのか”を5のLEVELに分けておられます
- 研究目的が論文に適していない、結果が悪い
- 研究目的をどう正当化するかわからない、結果から何を言いたいか自分で理解できていない
- 言語にかかわらず論文の体裁を知らない、論文を書くruleを知らない
- 日本語で考えている
- 英文法に慣れていない、語彙や表現法が乏しい、論旨をすすめられない,英語のキーボードが苦手だ
これらのすべてのレベルの人へのsolutionが提案される
というすごい本です。
実はこの本は半分以上というか7割は英語で書かれています。おそらくTompsonさんが執筆された部分でしょう。これに日本語の解説がついているという体裁で、これはこれで斬新なやり方だと思います。またこのやり方は少なくともこの本に限っては”成功”しているのではないかと思います。
付録には
Words and Expressions to avoidとして
たとえば
fatal outcomeの替わりにdeathと表現せよとかin caseの替わりにifを使えとかのアドバイス群があります。
確かに参考になると思います。
しかし付録の3,4,5は紙面の無駄だと思います。
ぼくにとっても役に立つアドバイスが満載ですが同意できないアドバイスも部分的にあります。これは仕方ないことでしょう。
症例報告を英語で書くように言いつけられたような研修医の先生は一冊持っているといい本だよ。
相川先生が英語でしゃべっておられるのを聴いた事があります。見事な英語であれだけできてLEVEL1がクリアできていたらよい論文ができるだろうなとは思います。
先日読んだ
麻酔 第57巻第4号(2008年4月号) に” 日本語での症例報告の意義”と題する論説がありました。一読おかしな主張だと思いましたが今考えると一理はあるかなという気もします。
でもやっぱり論文を初めて書く人が読むべき本は英語であろうが日本語であろうが
ですって。