先日すこしキチンと働いたら風邪を引いてしまい肺もすこしやられました。風邪に抗生剤は効かないというキャンペーンもあるのですが多分今回のぼくの場合はある時点から服用していればもう少し早くに症状が寛解したのではないかとは思っています。
大学院講講座第792講
職場の大学院講座として、京大メディカルイノベーションセンターの中村英二郎先生のセミナーが予定されています。 英二郎先生は昨年末にノーベル賞を受賞されたWilliam G Kaelin Jr先生のラボに留され、現在は京大で創薬研究に挑んでおられます。
日時:1月17日(金) 17:30より
場所:関西医科大学 (京阪枚方市駅徒歩5分) 4階カンファレンスD
タイトル:Oxygen sensing mechanismの解明と新規治療薬開発
講師:京都大学大学院医学研究科メディカルイノベーションセンター DSKプロジェクト 特定准教授 中村英二郎先生
要旨) 2019 年のノーベル生理学・医学賞は「Oxygen sensing mechanism」を明らかにした3人の研究者、Dr. William G. Kaelin Jr., Dr. Peter J. Ratcliffe, Dr. Gregg L. Semenzaに贈られた。1990年代初頭のHIF-1同定から始まった低酸素応答機構解明に対して日本人を含めた多くの研究者の叡智が注ぎ込まれた結果として腎性貧血、腎細胞癌治療薬が開発された。本講演にて同機構解明の臨床的意義に関して解説を行う。
英二郎先生はKaelin氏のlabに二回も留学した筋金入りです。 Kaelin氏の研究室ではHIF-2 specificの阻害薬などの開発に成功しています。興味深いセミナーになると思います。
大学院生向けの講義ですが学外の皆さんも含めてどなたにでも参加していただけます。 4階エリアへのアクセスに困難のある場合は守衛さんにご相談ください。 今回は薬理学の中邨智之先生がホストです。 事前に連絡頂ければ対策を講じることもできます。
この大学院講座ですけど秋にはSemenza氏もこの枠組みでセミナーしてもらいました。
仕事の遅れを取り戻そうと研究室にやって来ました。 某案件に3時間はかかるだろう、それが終われば今日は撤収と思っていたら30分で仕事が終わってしまいました。
Gregg L. Semenza博士のセミナーを侵襲反応制御部門でホストします https://t.co/G8JFv8BY1u
— 侵襲反応制御部門@KMU (@hss_kmu)
9/26の夕方GLSさんに職場で話してもらいます。
研究成果については皆さん十分聴いていると思いますので今回は、研究周辺の話題を話してもらおうとお願いしてあります。
皆さんにとって、印象深くて記憶に残るセミナーとなるとよいと思っています。
講義室を押さえてありますので100人以上の参加者がいても大丈夫ですがさてそんなに集まるかな。
以前なんかの折に来日した時に京大の研究室に来てもらった事がありましたが今の職場に来てもらうのは初めてです。
彼のlabに在籍した日本人の先生方も集まってくれるのでreunionになります。
これでぼくも思い残すことは無くなってきました。
ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」
ザ・フォーミュラ 科学が解き明かした「成功の普遍的法則」を紹介します。
著者は、アルバート=ラズロ・バラバシ。
ネットワーク理論の専門家です。研究論文に加えて一般啓蒙書も何冊も出版されていてこれもその一冊です。
出版社のページにある内容紹介は以下の通りです。
やりとげたことが成功に結びつかないことはままある。懸命に働いても昇進できず、自分が最初に立てた手柄は後から来た人に横どりされる。才能と真面目さが合わさったときに道は開けると確信していても、どういうわけか結果が出せない……。そんな現象に気づいた著者と高名な研究者チームが、膨大なデータと最先端の分析システムを駆使し、これまでつかめなかった「パフォーマンス」と「成功」の関連を解明する。あなたの成功を裏づける科学的・数学的法則を紹介しつつ、以下について私たちの理解を一変させる――。
・なぜ業績は成功の必要条件であり、十分条件ではないのか? ・なぜ専門家たちはあなたに誤った評価を下すのか? ・何歳までに、成功を収めるべきなのか? ・成功を収めるためにどんなチームをつくればよいか? ・人脈を最も効率良く活用する方法とは?
体裁としては以下の五つの成功の法則を実例を挙げて科学的に解説していきます。
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パーフォーマンスが成功を促す。 パーフォーマンスが測定できない時には、ネットワークが成功を促す。
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パーフォーマンスには上限があるが、成功には上限がない。
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過去の成功X適応度=将来の成功
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チームの成功にはバランと多様性が不可欠だが、功績を認められるのは一人だけだ。
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不屈の精神があれば、成功はいつでもやってくる。
ライフサイエンスの世界でもどう考えても大した研究成果とは思えないものが巷でバスっているというような不可解な現象はあります。
その前に自分は頑張っているのに全然ダメという現実にもぶち当たりますがこの本を読むとその理由がなんとなく分かります。 しかし、ではこうすれば万事解決という方法が提示されている訳ではありませんけど。
第九章の「見過ごされた科学者を探し出すアルゴリズム」が面白かったので紹介します。
ノーベル賞の受賞は科学者の成功の頂点の一つでしょう。その意味ではノーベル賞受賞者は成功者といえます。
故に、ノーベル賞を誰が受賞するかは多くの科学者のその後の運命に大きな影響を与えます。
1984年のノーベル物理学賞はカルロ・ルビアとシモン・ファンデルメーアの二人に、「弱い力を媒介するW粒子、Z粒子を発見」した功績で授与されました。この受賞は1983年に彼らが発表した論文が直接の契機になっているのですがこの論文には著者が137人もいてルビア氏とファンデルメーア氏は著者の順番ではそれぞれ105番目と126番目だったという事です。 ではどうしてこの二人が受賞者となるのか。
これがバラバシらの疑問でした。
研究は以下の論文にまとめられました。
“Collective credit allocation in science.”
このアルゴリズムによると確かにこの分野でノーベル賞が出るとすると先の二人が受賞者になるのだそうです。
このような解析をいろんな年のノーベル賞について加えていくと受賞者の選定がどうしても彼らの理屈に合わないcaseが出てきました。
The Nobel Prize in Chemistry 2008 – NobelPrize.org
の場合です。
この年のノーベル化学賞はGFPの研究について贈られました。
受賞者はOsamu Shimokura, Martin Chalfie, Roger Tsien の3名でした。
しかし、彼らのアルゴリズムによればDouglas Prasherは受賞者であるべきでした。
Prasher氏はGPFのcDNAのcloningを最初に行った人です。
Green fluorescent protein as a marker for gene expression | Science
所属していた研究所のテニュア審査に落ちて科学者としての人生を諦めて2008年当時にはアラバマでトヨタ自動車販売店の送り迎えの運転手をしていたのです。
彼が研究を諦める時にとにかく今後のこの分野の発展の為を思ってGFPのcDNAを「純粋な友情から生じた、まったく利他的に」Chalfie、Tsienの両氏に郵送し彼らは16年後にノーベル賞を受賞したのです。
このように「実作業に汗を流した者と栄誉を授かる者とは別」であるという現実があります。
よく業績があればなんとかなるとか言いますがぼくの実感でもそれは「真」ではありません。
とりあえず出世したければ「パフォーマンス」をあげる以外にする事があるだろうとは思います、特に日本では。
この本にはこんな話が満載で「成功」するためには「パフォーマンス」を出す以外に考えるべきさまざまなことがあるという事が科学的な解析結果と共に解説されています。
一読をお勧めします。
自己啓発本と見紛う表紙は派手でこんな深淵()な内容だとは思えません。
セミナーをホストします
吉原栄治先生のセミナーを開催します 9/4 https://t.co/HSEsVZjWUu
— 侵襲反応制御部門@KMU (@hss_kmu)