生きています
しばらくエントリーの投稿をさぼっていましたが生きています。
最近出た論文の作業なんかをしていました。
結構集中するのでぼくの大脳のキャパシティーでは余計な事はあまりできなくなります。
いろいろと出ました
論文がでました。
当部門の岡本先生の論文がScientific Reports誌に掲載されました。
論文は以下からお読み頂けます。https://t.co/MhEnR86NnX— 侵襲反応制御部門@KMU (@hss_kmu)
これからもせっせと手持ちのデータを大学院生と共同して論文にしていきます。
雑文もでました。
医学書院のPR誌「医学界新聞」の特集 医学生・研修医に薦めたい ベッドサイド・ライブラリー 就寝前の30分間が医師人生を切り開く でぼくも三冊紹介しました。
医歯薬出版社の雑誌「医学のあゆみ」にもエッセイを載せてもらいました。
フォーラム はじめの一歩を押し出されて踏み出してみる……広田喜一(参照)
島岡さんの最近の著作をネタにしたエッセイです。以前ここでも取り上げたことがありました。
こちらは現時点では,購読権がないと全文を読むことはできません。すみません。
Apple TVの話
今週研究室に55Vのテレビというかチューナー内蔵のディスプレイを導入しました。
ジャーナルクラブやプログレスレポートの時に使います。
先日訪問させていただいた某研究室(三島の方)でAppleTV経由で大画面TVを使っていたの見せていただき感動して同時にAppleTVも導入しました。
簡単にセットアップできると高をくくっていたらできませんでした。
少し調べてApple Configurator2を使ってMacからAppleTVにprofile fileを送り込んで解決。結局proxyの設定がApple TVとモニタだけではできなかったのです。
無事にmacからAirPlayの出力先として55Vのテレビを選択できるようになりました。全部で12万円くらいでこの環境なので安いです。
ケーブル無しで簡単につなげるのでこれは便利です。
ストロベリーナイト
先日ある映画をAmazon Primeで観ました。2013年に公開された,「ストロベリーナイト」です。
誉田哲也さんの警察小説シリーズ「姫川玲子シリーズ」の一作品『インビジブルレイン』の映画化です。
すごくはまってしまい,映画化の前後にテレビドラマとして放映されたものと小説として発表されているものを全て観て,読みました。 フジテレビで放送されたドラマは
・ 第1回 シンメトリー
・第2回 右では殴らない
・第3回 右では殴らない(2)
・第4回 過ぎた正義
・第5回 選ばれた殺意〜過ぎた正義
・第6回 感染遊戯
・第7回 悪しき実
・第8回 悪しき実〜嗚咽
・第9回 ソウルケイジ
・第10回 檻に閉じ込められた親子〜ソウルケイジ
・第11回 こんなにも人を愛した殺人者がいただろうか〜ソウルケイジ
です。
これに先だって,小説「ストロベリーナイト」 の内容をドラマ化した特番があります。 また「ストロベリーミッドナイト」「アフター・ザ・インビジブルレイン」という続編もあります。
小説は
が今まで出版されています。
ドラマは原作をほぼ忠実になぞっているのですがドラマの方が圧倒的におもしろいです。
絶対的な主人公は,姫川玲子という名前の警部補です。警部補昇進は27歳の時で,第一作の「ストロベリーナイト」では29歳。27歳で警視庁捜査一課殺人犯捜査十係の主任警部補というのは警察では異例の出世・抜擢。170cmの長身で7cmのハイヒールを何足も履き潰しているという設定です。
この姫川班は,玲子さんの他に,菊田 和男巡査部長,石倉 保巡査部長,湯田 康平巡査長,葉山 則之巡査長で構成されています。
実は大塚 真二巡査長が第一作の「ストロベリーナイト」が班員だったのですが第一作の「ストロベリーナイト」であえなく殉職してしまうのです。 ドラマ・映画ともキャストは同じで,姫川玲子は竹内結子さん,菊田 和男は西島秀俊さん,石倉 保は宇梶剛士さん,湯田 康平は丸山隆平さんで葉山 則之はなんと今をときめく小出恵介さんが演じていました。
玲子のドラマ・映画での口癖は「このヤマ,絶対とるわよ」(このセリフはドラマ・映画で頻繁に出てくるのですが小説ではほんどでてきません)でこのかけ声のもと4人の刑事は頑張ってしまうわけです。
この人たちちょっと変わっています。担当の事件が無い場合,刑事は「在庁」という一種の待機状態になるのだそうですが,在庁のまま退勤時間が近づくと「今日も何もなかった」ということになるのですが電話がかかると「キター!!」という感じで皆嬉々として現場に駆けつけるのです。 姫川班では捜査会議の後皆で飲み屋(なぜが女将さんが中村静香)で反省会を開きます。
玲子は,所轄の交通課勤務だったのを現在の上司である警視庁捜査一課殺人犯捜査十係係長である今泉 春男警部に抜擢されて捜査一課入りをした経緯があるのですが,これは彼女の天性の直感に基づくプロファイリングの能力を評価してのことだったのです。
玲子は,自分の筋を読み,点と点をいきなり結んで捜査を進めていくという手法を採る場合が多いのです。そしてその手法により実積を残してきたのです。
これと対照的なのが捜査一課殺人犯捜査十係の主任警部補である日下 守(遠藤憲一)です。彼は若いときのある失敗をきっかけに緻密で客観的な捜査手法を取り玲子さんの捜査手法を危ういと評価しています。予断を許さない操作法は捜査会議での発表でも遺憾なく発揮されて皆を辟易させるほどです。玲子の天敵ですがその理由は捜査方法の相違だけでは無いのですが… もう1人主任警部補がいるのですが彼は,捜査一課殺人犯捜査五係の所属です。勝俣 健作(あだ名はガンテツ)。ドラマ・映画では武田鉄矢さんが演じていました。ガンテツは玲子さんだけでなく日下の天敵でもあります。
捜査手法が研究手法と通じるとこがあるなということです。
研究手法に,玲子式と日下式があるとすればぼくは断然玲子式です。
ぶらぶら道を歩いている。棒にあたる。これが意味のあることだと思って筋を読む。あたった棒に意味があるとすれば理論的に起こるはずの現象を確認でき点と点が結びつけば,論文になるという手法です。
基本的な戦略は「線でつなぐ」なので日下式のローラー作戦と比較すると弱い側面があります。
危うい場合もあり日下の玲子への批判の根拠でもあります。実際姫川は単なる思いつきを重視した捜査のせいで何度も失敗も重ねるのです。
ぼくは遺伝子改変マウスなどを用いた実験を基本的には行わないので,ぼくらの仕事が今風なprestigiousな雑誌に掲載されることは最近ではほとんどチャンスは非常に低くなっています。
つまり15年前とは状況が完全に「時代」が違うのです。
古典的な手法で思いつきで点と点を結んで発表した論文でも20年経った今でも年に20回くらい引用される論文もありますからこれ以上は求めても仕方ない,と思っています。
ガンテツによれば玲子は犯人の気持ちがわかるのだそうです。実際に玲子は高校生の時にある事件に遭遇してそれがきっかけで警察官になったのですがその犯人を殺したいと思っているというか心の中で何度も殺していてそれ故殺人犯の気持ちになって犯行の筋を読むことができるのです。
細胞の気持ちになって筋を読めるのであればそういう研究者になりたいと思います。ファウスト博士のように魂を売り払ってでも。
麻見 和史さんが作者の女性刑事シリーズがもう一つあります。如月塔子シリーズです。
塔子は,警視庁殺人分析班 警視庁捜査一課十一係の部長刑事(刑事部長でかつ刑事)です。殉職した警察官だった父親を背負って頑張るのですが玲子さんとはちがい未だ巡査部長です。身長も152.8cmといわゆるチビです。
今までドラマ化されたのは石の繭と水晶の鼓動の二作です。両方観ました。堪能できます。
小説は8冊出ています。文庫化されているのは6冊で,これは全部読みました。
東北大学の五十嵐先生のtweetです。
淀井先生の独創性に関するエッセイと仲間からのコメント、「大河の源流はただじめじめした水源」免疫学会のホームページから。そういえば当時話題になっていました。https://t.co/22AkzdJRAf
流れになるのか、流れをつくれるのか、そこの判断が未だに難しいです。
— Kazuhiko Igarashi (@kazuigarashi)
ぼくは淀井さんの弟子でこの文章も折りに触れて読み返しています。本人からもこれと同じ話を耳にたこができるまで聞かされました。 ぼくはATL研究は日本医学が世界に誇る一大金字塔だと思っています。
そして、本庶先生の「オンリーワンになることが独創性への最も近道」https://t.co/LZfYJj8QYo
— Kazuhiko Igarashi (@kazuigarashi)
これも今読み返してみると予言が成就された感がありすごいと思います。
To Do Listには短期的なものと長期的なものがあります。両方をiPhoneとかMacで感知しているわけですが,短期的なリストがさっき空になりました。喜ぶべき事なのですが長期的な本当に自分にとって価値があると思っている事にはなかなか取り組んでいけません。
明日も日当直です。お呼びが掛かるかもしれないという状況で集中できないのはぼくの問題なのだろと思います。
御大が
ところで今年はずいぶん論文がでています。
そういえば論文書きばっかりに日々を送ってきました。すんなり簡単にいったのは一つもありませんでした。
いまメモをみたら研究室からでたのが8報もありました。さらに他のラボの共同研究のが二つあります。Aさんのも今年中にでれば合計11でわたくしも今年はひたする論文刊行に頑張った年でした。
この沖縄大学院大学のありさまについてのキャンペーンなどは、それに較べればほとんど1%程度の時間しか取っていません。
論文書きの時間の取られ方は、ほんとにハンパでありません。
よほど好きでなければこの難行苦行の論文書きの世界には入るものではありません。
研究はこんなに楽しいのに、公表がこんなに苦しくなったのはいったいいつからか、やはり米国が世界の研究の主導権を完全に握った1980年代くらいからでしょうか。
ぼくもブログ書きなど大体15分で気合いを入れても30分くらいで後の時間はほとんど”他人”ための仕事をしています。
昨日の夕方セミナーにでました。
講師は大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 ライフサイエンス統合データベースセンターの坊農秀雅さんでお題は「データベース統合による知の巡りのよい医学研究に向けたライフサイエンス統合データベースセンターにおける人材育成活動」でした。
こじんまりとしたセミナーでしたがぼくには結構楽しめました。
前半のお仕事の話は50%位しかついていけませんでしたが後半の「統合牧場」の話はとても示唆に富む話でした。
このリストのリサーチアシスタントの方々が牧場で放牧されている動物になぞらえれているのですがなかかな大した人たちなんです。
医学部の臨床の教室にこのような人たちを呼び込めれば3年で麻酔の世界を変える自信があります。(アイデアは秘密ですけど)
聴衆には本庶先生もいらしたしこの前の麻酔科の授業で最前列で聞いてくれていた医学部の学生さんもいました。
坊農さんとは長いつきあいですが”牧場”の話を聞いたのは初めてでした。”牧場”は一種の発明だと思いました。
「きなこもち」最近よく食べています
Archives of Surgeryにこんな論文が出ています。
The Relationship Between Body Mass Index and 30-Day Mortality Risk, by Principal Surgical Procedure
Arch Surg. Published online November 21, 2011. doi:10.1001/archsurg.2011.310
183のsiteのかなりバリエションのある手術を受けた患者(なんと189533人!)の30日以内の死亡率をBMIで5つの層化した患者群で比較すると
Quintile 1(<23.1): 2.8%, Quintile 2(23.1<26.3): 1.8%, Quintile 3(26.3<29.7):1.5%, Quintile 4(29.7<35.3):1.4%, Quintile 5(>35.3) 1.0%となったことから” Weight Appears to Be Inversely Related to Death Risk Following Surgery”というような結果となるということのようです。
いろんな議論はあると思いますがとにかくこれから参照される論文になると思います。
PNAS 10.1073/pnas.1115231108
にもたまげました。副作用のない”麻薬”の話です。
医歯薬出版から刊行されている「医学のあゆみ」という週刊誌があります。
先週と今週の二回に分けて「研究留学──Ten years after」というタイトルの座談会が掲載されています。慶応大学の門川俊明先生,三重大学の島岡 要先生とぼくで夏に京都で行った座談会を収録したものです。そもそも門川さんが執筆・編集した「研究留学」という本の出版10年を記念した座談会だったのですがその枠を越えたものになりました。
結構好き勝手なことを話したのですが無難にまとめていただいた医歯薬出版の編集者の岩永さんに感謝します。
大抵の病院の医局にある雑誌だと思います。読んでみてください。