「時代の精神」

On 2014/8/23 土曜日, in hypoxia reseacrh, by bodyhacker

予定の実験が終わったのですが結果を前にdiscussionするともう少し検討しておいた方がよいことが出てきて某案件はもう少しやってみることにしました。いまでも「文句」はないだろうって感じにはなっているですが、こうなると論文が通る通らないでは無くなってきます。一見小さな課題でもよく調べれば解っていないことはいくらでもあっていっそそこら辺は全部埋めちゃいたいという感じになってきています。

もう亡くなったぼくのone of 師匠は「研究は牛の涎みたいなものだ」といっていました。「キリが」無いということなのですがホントにキリはありません。

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ある本を探しているのに見つかりません。掛けた時間を考えればとっと古本で買ってしまった方がよかった位です。 おかげでいろんな本が発掘されました。

その一冊が「正統と異端」です。

中公新書の一冊で昭和39年に出版されました。 ぼく持っているのは昭和61年の第二〇刷のものです。

一言で言うとローマ教会における秘蹟論の解釈の変遷の追究を通じて「キリスト教における政治と宗教の矛盾を追及した最新の成果」を記したものです。 この二十数年間で三回くらい読んだと思いますがその折々の自分の立ち位置によって思うことが異なります。

「正統」と「異端」というのは誤解を怖れず言えばカトリック(正統)と「それ以外」の「キリスト教」(異端)という事です。この新書が論じる時代にはまだいわゆる「プロテスタント」は確立していません。

キリスト教が当時の「世界」宗教となった初期から「聖職者」の「聖性」の危機があったわけです。到底聖職者らしかなる行動を取る「瀆聖聖職者」の存在です。そのような聖職者がハンドルした秘蹟が果たして有効かという議論があってこの議論に対する向き合い方に「正統」と「異端」で違いがあります。

この本では、正統と異端つまり客観主義(聖務重視論)と主観主義(執行者重視論)の対比が論じられるのです。

カトリックの理論によれば、恩寵伝達の行為である秘蹟は、それが秘蹟創設の趣旨に、従って、 いいかえれば「聖三位一体の御名への呼びかけ」をもって執行され受領者がカトリック的信仰において受領するのでかぎり、秘蹟執行者の人格とはまったく独立に、その効果をあらわすのだそうですがこれが客観主義。対して堕ちた聖職者が授けた秘蹟には効力がないと考えるのが主観主義の立場。(ネットで調べたら何でも出てます。例えばここ。「正統と異端」での議論が手短にまとめられています。「客観主義」とは何かがわかります)

「洗礼が効力をもつ根本理由は聖三位一体であり、外部にあって秘蹟を伝える司祭者は道具なのであるから、聖三位一体への呼びかけによって秘蹟は成就する」 つまり「業をなすものは時に不純であっても、為されたる業は常に純潔であるのである。」

と「正統」は考えるのだそうです。

こういう話はそこら中にあるわけです。 医者の世界にも研究の世界にも。 「違法ではあるが有効」とかどっかで聞いたような話ですし 客観的研究室論とか客観的医局論とかも論じようと思えば簡単にいけます。

ぼくは臨床現場では典型的な「客観主義者」ですが基礎生物学では結構ゴリゴリの「主観主義」です。とにかく誰がやった実験家とかそういったことにすごくこだわるし何かいい加減だと一回思うともうほとんど信用をおかなくなります。

ただしかしここでいう「正統」「異端」もあくまでキリスト教の枠内の話で、そもそも前提としてのキリスト教を認めなない人にとっては何の意味も無いという事になります。

「反医療」・「反科学」的な立場はこの枠組みでは「異教」となります。この人たちを説得する術はありません。「術がない」事を熱心にしている人がいますがムダですよ。

 

ぼくの持っている中公新書版「正統と異端」実は1964年に出版された本なのですが、今では中公文庫の一冊として流通しているはずです。つまり名著なのです。 面白くしかもためになりますので是非一読を。

 

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金曜日の夜帰宅途中に梅田の紀伊國屋で

大江健三郎自選短篇

を見つけました。岩波文庫の一冊です。

本書刊行にあたり全収録作品に加筆修訂をほどこした最終定本。性・政治・祈り・赦し・救済など、大江文学の主題が燦めく、ノーベル賞作家大江健三郎のエッセンス

だそうです。

短編集に収録された小説も全て一度は読んだ事があるし繰り返し読んだものもあります。 「最終」定本という事ですがそれはそうかも知れません。大江さんはぼくのもう亡くなった父と同じ歳の生まれでもう79歳ですから。

短編集新しい人よ眼ざめよ」などは読み切れば感動を呼ぶ一冊だと思います。

 

最近はとかく批判の対象となる大江健三郎氏ですがぼくの人生で最も影響を受けた作家です。

高校生の時に彼の小説を読まなければたぶん今とはまったく違う人生を送っていたと思います。たぶん地元の役場に就職していたと思います。

「同時代ゲーム」辺りからはほぼリアルタイムに読んできました。大学に入ってまず「大江健三郎同時代論集」を読むことから始めました。 もちろん今でも本棚にあります。

この「自選集」の「あとがき」に夏目漱石の「こころ」の一節が引いてありました。 青空文庫で全部読めるのですから該当部分を引用しておきます。

「すると夏の暑い盛りに明治天皇が崩御になりました。その時私は明治の精神が天皇に始まって天皇に終ったような気がしました。最も強く明治の影響を受けた私どもが、その後に生き残っているのは必竟時勢遅れだという感じが烈しく私の胸を打ちました。私は明白さまに妻にそういいました。妻は笑って取り合いませんでしたが、何を思ったものか、突然私に、では殉死でもしたらよかろうと調戯いました」

「私は殉死という言葉をほとんど忘れていました。平生使う必要のない字だから、記憶の底に沈んだまま、腐れかけていたものと見えます。妻の笑談を聞いて始めてそれを思い出した時、私は妻に向ってもし自分が殉死するならば、明治の精神に殉死するつもりだと答えました。私の答えも無論笑談に過ぎなかったのですが、私はその時何だか古い不要な言葉に新しい意義を盛り得たような心持がしたのです。」

自分はすでに「時代遅れ」なのだということと「時代の精神」ということはよく考えます。

ぼくは、研究ではかなり古風な方法論に固執ーというよりそれしかできないのでーしています。これで「どこまで行けるか」というある種の「実験」をしているような意味合いもありますがとにかく時代の趨勢からbehindしています。昨年セミナーでCRISPR/CASの話を聞いてのけぞってしまったほどです。何とか「時代の精神」を取りれた研究をやっていくことがこれからの課題です。できなければ「」かも知れません。


白井聡さんの「永続敗戦論」を読みました。8/10にNHKのラジオ番組を聞いたからです。(参照

文章のリズムに乗れずに読み終わるのに結構な時間が掛かりました。

白井さんと大江さんではまったく立場が異なりますが-

何せ大江健三郎は「戦後民主主義」のゴリゴリの信奉者です-妙に共通点が多いと多いと感じました。

 



第108回の医師国家試験の問題が厚労省のサイトに出ていました。必要があって昨年から眼を通しています。これは絶対に麻酔科の問題としか考えられない問題も数題ですが出題されていました。

ここ5年分は全て眼を通しましたが年を追う毎に「臨床的」にはなってきていると思いました。

臨床現場に一年くらいどっぷりつかればそれだけで結構正解できるようになると思います。

臨床実習で関わるくらいではなかなかむずかしいとは思います。まあ別に臨床実習なんてしなくとも丸暗記で合格点を取ることはできるとは思いますけど。

例えばこれ

急性心不全患者で、肺うっ血を呈しているが末循環不全の所見を伴わない場合の治療薬として適切なのはどれか。 2 つ選べ。

a フロセミド

b アドレナリン

c ニトログリセリン

d ノルアドレナリン

e プロプラノロール

普通に医者をしていたら瞬時に答えがでる問題-問題を読まなくとも選択肢だけみても正解できる-と思いますが、これを学生に解説すると薬剤・病態の説明もして結構な時間が掛かります。

選択肢だけで正解が解る典型は次の問題です。

まず選択肢

 

初期対応として適切でないのはどれか。 

 

a 人を集める。

b 酸素投与を行う。

c 血液型を確認する。

d ベラパミルを静脈内投与する。

e 乳酸リンゲル液の点滴を開始する。

これだけで正解は二つに絞られてたぶんあっちだろうということが解ります。

 

因みに問題は

 

68歳の男性。狭心症の定期受診のため来院した。待合室で冷汗と気分不快が出現し横になったところを、通りかかった研修医が発見した。胸痛と呼吸困難はない。半年前に経皮的冠動脈形成術(ステント留置術)を受け、抗血小板薬を内服している。最近食欲がなく、 7 日前から大量の黒色軟便に気付いていたという。診察時、意識レベルはJCSI-1。脈拍128/分(微弱)、整。血圧82/50 mmHg。呼吸数24/ 分。SpO2 94 %(room air)。顔面蒼白で多量の冷汗を認める。眼瞼結膜は貧血様である。心音と呼吸音とに異常を認めない。

ですが特に読む必要はありません。確認の為に読む程度でしょうか。実は臨床現場で普通にやっている医者なら何科を専門としているかとは無関係に1/3はこんな感じで正解できます。

またこんな問題もありました。

夜間救急外来に「1歳の息子がコインを飲んだようだ」と母親から電話があった。 10 分前、母親が目を離したすきに、手に持って遊んでいた 2 つのゲーム用コインの うち 1 つが見当たらなくなり、飲み込んだのではないかと心配している。本人の機 嫌はよいとのことである。 当直医として適切な対応はどれか。

a 「明日来院してください」

b 「それはお母さんの責任です」

c 「口の中に指を入れて吐かせてください」

d 「もっと周りをよく探してからご連絡ください」

e 「残りのコインを持って直ちに来院してください」

国家試験的には誰にも答えは明かなのですが本当にそうなのかなと思います。

夜間って何時なのかとか家から病院までどれくらい時間がかかるのだろうかなどいろんな「ツッコミ」をしてしまいます。

夜中の3時だったら、”d”位のことは言っちゃう人もいるのではないかなとかというかぼくならいいます。

もう一問

職場での心理的負荷による精神障害について、ストレスの度合いが最も強いと考えられるのはどれか。

a 顧客から無理な注文を受けた。

b 同僚に資料の落丁を指摘された。

c 達成困難な業績目標を設定した。

d 大きな説明会で発表せざるを得なくなった。

e 顧客に2か月以上の入院を要する怪我を負わせた。


どうすか。ひどい問題ですよね。エラい先生方が集まってこんな問題をひねり出しているのです。

でもこんな問題なら皆さんも国家試験を受けてみたら受かると思いませんか? 

某診療科の専門医試験も似たようなものです。


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ついでに看護師と薬剤師の国家試験も解いています。

看護師の国家試験は医師国家試験との関係では完全に下位互換性があります。ぼくが今現在解いてもほぼ全問正解です。素人が病棟で一年くらい過ごせば学校での勉強などしなくとも合格できるのではないかという勢いです。

一方薬剤師の国家試験はぼくには難しいです。少なくと「必須問題」や「薬学一般」問題は意味さえ理解できないものもあります。一方「薬学実践問題」バカみたいに簡単です。

とにかく医師国家試験との互換性はありません。そのまま受験したらほぼ全員討ち死にでしょう。


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2020年のオリンピックとパラリンピックの東京での開催が決まりました。

オリンピックがどこで開催されるかに大きな興味は無かったのですが決まってみるとそれはそれでよかったのではないかと思っています。

少なくとも2020年に自分や世の中がどうなっているのだろうかなどなどについて多くの日本人が思いを馳せたのでは無いかと思いますしそれはすごく貴重だと思いました。

7年は長くもなく短くもない絶妙な「長さ」だと思います。

おそらく安倍晋三氏は総理大臣ではないでしょう。

ぼくは医者をやめたりはしていないと思いますが職場は変わっているかも知れませんし麻酔を今のようにしているかは確定したことではありません。子供はもう一緒に暮らしていないだろうしそうなれば今までとは別の人生を考える事もできると思っています。

 

リオデジャネイロでの「東京」のプレゼンターションの一部を見ました。安倍首相の主張には確かに大きな問題があるとぼくでも思いましたが、彼があれ以外にどういう言い方があったのかと考えるとこれは仕方ないという風に思いました。日本の総理大臣の云うことをいちいち真に受けていては身が持たないという事情もあると思います。

とにかくあの言明が「東京」の選出に大きな効果があったという風にはぼくには思えません。

外国人にとっては日本の皇族が東京に住んでいるというような当たり前の事実の方がよほど説得力を持つような気がしました。

 

その日、日本映画専門チャンネルで市川崑氏が総監督をした「東京オリンピック」が放映されていたので観ました。

はじめて観たのですがこれは素晴らしいドキュメンタリーだと思いました。

レニ・リーフェンシュタールの「オリンピア」を意識した記録映画だと思います。 この「オリンピア」は小林秀雄が鑑賞して激賞しています。これは新潮文庫版の「Xへの手紙・私小説論」に収録されています。何度読んでもこのエッセー自体が感動的です。

 

東京オリンピックのカヌー競技はさずがに群馬県だろと思ったら東京湾の臨海地区に人工の競技施設を作るのだそうです。ちょっとやり過ぎだろうという気もします。

とにかく7年後全競技を最初から最後までリアルタイムでのストリーミング放送と完全アーカイブ化してもらいたいと思います。 下の方にCMが入るのは我慢するので。

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日本の研究システムのこれから

Science Talksという枠組みがあります。

Science Talksは、これからの「ニッポンの研究力」を研究者・科学者のみなさんと一緒に考えていくためのプラットフォームです。

ということで日本の科学の将来がissueとなっています。

ネット上ですでに様々な活動が始まっています。 藤田保健衛生大学総合医科学研究所システム医科学研究部門の宮川剛さんと鈴鹿医療科学大学 学長の豊田長康さんへのインタビューが掲載されていてこれがなかなか面白いのです。

ぼくは賛成できる部分が多かったです。

参考にindexを紹介しておきます。 

宮川剛さんの分

第1回  日本の研究の仕組みって、ダメだなぁ

第2回  研究をやらなくても問題のない日本

第3回  研究費は増えている、でもその実感が全然ない

第4回  ウィン・ウィン関係を作る、研究費の効率的な使い方

第5回  研究者すごろく

第6回  研究者評価の「見える化」を阻むもの

第7回  評価システムがなければ、フィードバックも起こらない

第8回  科研費はギャンブル

第9回  研究計画ではなく研究者の実績を元に評価する

第10回 「数値がすべて」ではなく、数値「も」評価に入れるべき

第11回 業績なんてない方がいい

第12回 インパクトファクター至上主義の弊害

第13回 高インパクトファクター雑誌至上主義が論文数低下の諸悪の根源

 

豊田長康さんの分

第1回 日本の研究費総額は足りていない

第2回 研究者には90%の研究時間を確保する仕組みをつくるべき?

第3回 お隣の台湾にも追い越されている日本の研究アウトプット力

第4回 産学連携による外部資金獲得の難しさ

第5回 大学病院の研究力と財務データの相関性

第6回 旧帝大学と地方大学の研究環境は雲泥の差

第7回 生き残りをかけた、地方大学統合構想!? 

第8回 タブーを恐れない、ゼロベースの議論をしたい

となります。

 

少しやりとりを引用してみます。

 

研究費の配分で

【宮川】 でも過去の実績を基にすればそれなりにその人の研究能力は推定できます。おそらくは、過去の業績が、未来の業績の最も精度の高いプレディクターなのです。

という意見には一理も二理もあると思います。

若手の評価は別として博士号を取得して10年以上の「研究者」ー職位が教授でも研究者とは云えない人もいるのですが-の評価には客観的な業績に基づく指標を部分的には導入してもららいたいと思います。職位で審査に差別をされるのは困ります。

【湯浅】  実際、海外だとH-indexを評価に使うのって当然じゃないですか。日本ではどうして使ってないんでしょうか?

【宮川】  単に遅れてるだけだと思います。もしそこらあたりの評価基準をとりいれていけば、研究者の間でも、地に足のついた論文を地道に出していったほうがいいのでは、という認識になっていくでしょう。

日本学術振興会の研究費の申請は現在の三倍くらいの分量で英語で書くようにすると「冷やかし申請」や「ゴーストライティング」が減ってその分審査に時間が割けるようになると思います。現行では単なる思いつきで実現の可能性の裏付けのない研究申請が多数出ていると思っています。

またH-indexの利用には問題もあるとは思っています。計算するとぼくのような研究者でも40とか33とかの数字が出てしまう指標ってやっぱりなんか胡散臭い感じはあります。まあH-indexが一桁の「教授」ってのももっと胡散臭いですけど…

やっぱりNature, Cell, Scienceに論文を発表できる人ってすごいと思います。全然人種が違うとは思いませんが、学会・研究会でお話ししても立派な方ばかりだと思います。その人達が研究費を使って研究を推進することに何の問題も無いとは思いますがそのために捏造となるとこれは困ります。それが弊害だと云えば弊害だとは思いますが米国でもそんなもんじゃないんでしょうか? 以前GLSに聞いたらH-indexなんて別にどうって事無いよと云っていました。ちなみにGLSさんはその時点でH-indexは80位だったと思います。

 

【宮川】  僕は数値指標はある程度出しています。引用数を指標にした場合ですが。単純に計算しますと、僕は日本の心理学分野のすべての 研究者の中で、一番引用数が多いようです。

【湯浅】  それ、すごいですね…。

【宮川】  しかしながら、心理学分野に申請した科研費では落ちました。

【湯浅】  な、なるほど(笑) では本当にまったくもって、過去の研究成果は今評価に反映されていないってことですよね。

【宮川】   ええ。すべて心理学研究者の中で、シニア研究者の全員含めて一番引用数が多いようですが、それでも若手Aに落ちてしまうのです。人事でも落ちます。心理学分野ではかなりいろいろな大学に希望を出しましたけど、全部落ちました。面接に呼んでいただいたことすらありません。

【湯浅】   かなりバイアス的なものが影響しているということですか。

【宮川】   どれぐらい組織の中で波風たたせずうまくやるかとか、そういうことが大事な世界です。ですので研究業績なんかあると、大学ではむしろマイナスに働くことすらあります。心理学では業績なんかないほうがいいという具合に、昔は先輩たちから言われていました。

【宮川】  上の先生方に研究業績がないですから。研究業績がある若手が入ってきたら目障りですよね

【湯浅】   そうですね。

【宮川】  実際、僕の知っている先生にはすごい業績をお持ちの先生がいて、当時、国内のトップの大学で助教授をされていましたが、業績の少ない教授陣から好ましくない扱いをされたようで、結局出て行くはめになりました。その方、アメリカに渡って教授になられましたけど。

【湯浅】   うーん…。

【宮川】  研究業績などは必要ない、むしろないほうがいい、あっても意味がない、というような分野が日本のアカデミアにはあるのです。数値指標などで判断されたら困る。。研究業績などよりも「一流大学教授」の肩書きで判断して欲しいのです。せっかくの大学教授なのに、そんな研究業績が高いだけの人に数値指標で負けたくないですよね。でも評価に数値指標が導入されたら、それが見えてしまいますから。

【湯浅】  宮川先生の提案を本当に導入したら、誰がお金をもらって誰がもらわなくなるか、ダイナミクスが変わりますよね。

【宮川】   変わります、変わります。もっと客観的でギャンブル的でない世界になりますよね。

【湯浅】  有名大学じゃないけれど、研究に情熱を持っているような人にお金がいくようになる。

【宮川】   今、世間では有名大学の人が偉いということになっているわけです。現状では、地方私立大学の研究者などはどんなに研究業績があっても、地方の私立大学の先生にすぎないので、たいしたことはないだろうと。そういう認識でしょう。

【湯浅】   一般市民はそう見てしまうのかもしれないですね。

【宮川】   東大や京大、国立大学の先生はエライ。業績が少なくても疑似科学をしていて科学的でないことおっしゃっていても、一流のナントカ大学教授であれば世間の人はそれなりに信じるわけです。

【湯浅】  うーむ。

【宮川】   でも研究業績が数値で表に出てくると、マスコミの人とかが端的に数値を見るようになりますよね。あんまり業績がない人だったら、「ああ、この人は研究やってない人なんですね」ということで専門家としての話を聞こうとしなくなるかもしれないですよね。

【湯浅】  それは見るでしょうね。

【宮川】  数値がすべてではないですよ、もちろん。でも、たとえば僕と同じ脳科学の分野で世間で有名な「脳科学者」がいますよね。あの方、たぶん、論文をほとんど出してないと思いますよ。

【湯浅】   先生と同じ分野の方ですよね。

【宮川】   はい、、引用数は約100ほどではないでしょうか、全部あわせても。僕でも、引用数5,000くらいはあります。世間的にどっちが偉い脳科学者といったら、多くの人は有名人のほうが偉い学者だと思うでしょう。

【湯浅】  うーん、なるほど。5,000はすごいですね。

という、やりとりがあります。

google scholarによればぼくの論文の引用回数の総和は”8276″みたいです。

 

しかしイヤになるほど全然出世しませんね。もちろん家内にはいい加減研究を止めろと事ある毎に云われています。困ったものです。

 

柳田充弘先生がブログ

どうしたらいいのか、わたくしの持論ですが、高額研究費のたとえ10分の1でももらえてただし職の保障があるところで、主宰者はそれ以上の欲もなく、しかし元気よくしかも質素に研究をするのであれば、捏造とも無縁、無茶なストレスも受けない研究環境を作れる人たちだと思うのです。 日本の未来はそういうラボがどの程度の数あるかにかかっていると思います。日本にあるラボの8割がそうであるのなら安心ですが。

と書かれています。

ぼくもすでにある意味それが実現できてるような気もしますが予算が年によって増減するので困っています。

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iPhone

新しいiPhoneが出るそうです。 今現在4S userなので今年は機種変しようと思います。auでそのままいこうかと思っています。 iPhoneはgoogle関連のいくつかのサービスとtwitterに加えてKindleのreaderとして使っているだけとも云えるので5sでなくともよいような気もしますが…

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学生の講義の都合で医師国家試験の問題を五年分くらいざっとながめてみました。 なかなか面白い体験でした。

今度学生に国試対策の講義をしようと思っています。国試なんて通ればいいのですから効率よく通ってもらいたいものです。

 

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エントリー書きをだいぶサボってしまいましたが生きています。最近忙しいです。mailへの返事だけでも日に15通は書いていると思います。

理由があってグルタミン(glutamine, Gln)について調べていました。結局論文をメモを取りながら50編以上は読んだと思います。
結構詳しくなりました。この成果は近々どこかに出ると思います。

今回はiPad上のPapersが大活躍しました。カラーの論文が多いのですがグレイスケールで紙に印刷した状態では判読がしずらいということがあります。iPadで解決です。この使い方に慣れてくればあたらしいiPadを導入する理由になるかも知れません。

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医師国家試験の結果の発表があったようです。うちの大学は結構惨憺たる結果に終わったということです。国試はリアルに勉強しないと通らないようです。

吉本隆明さんが亡くなりました。何か書こうと思ったのですがちょっと一段落するまでやめておきます。

昨年の夏に皮膚科の椛島先生とホストしたセミナーの第二弾に近衛通りの北からGOサインが出ました。前回はかなりの数の聴衆に集まってもらい雑誌にも出たので成功と判定されたのだと思います。前回をしのぐ盛り上がりを目指すことを誓います。

「当事者」の時代を読みました。468ページです。


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