学位講演会
1/19(木曜日)の夕方に研究室の岡本くんの「学位申請者公開講演会」が開かれました。 ディフェンスです。
某先生の引っかけに引っかからず何とか満足のいく質疑応答ができていたと思います。
講演会も審査委員とケンカできると上出来なのですけど。審査員が絶対的に正しいということはありません。「専門」以外は結構あやふやです。
あまりにも基本的な事項について正面切って聞かれると戸惑ってしまいます。
学生が話すのを聴いているのはすごく緊張します。ホント精神衛生上の観点からは寿命が一ヶ月くらい縮んでいる感じです。
とにかく,3年間で博士課程を終えることができました。これからも研究続けてください。
残った人たちもこれに続いて欲しいと思います。
研究結果の再現性の検証
生命科学の分野で研究結果の再現性が低く過ぎるのではないかという問題があります。 (「医学生物学論文の70%以上が、再現できない!」 とか「「再現性」の記述「ほぼすべてに欠陥」な記事があります)
2013年位に”The Reproducibility Project”というプロジェクトが立ち上がって雑誌”eLife“でその検証結果が発表されているのに気づきました。
First results of the Reproducibility Project: Cancer Biology published #RPCB https://elifesciences.org/collections/reproducibility-project-cancer-biology https://twitter.com/eLife/status/822070005508538372/photo/1
— eLife -the Journal (@eLife)
以下の論文が対象となっていたようです。
- BET bromodomain inhibition as a therapeutic strategy to target c-Myc Cell
- Coadministration of a tumor-penetrating peptide enhances the efficacy of cancer drugs Science
- Discovery and preclinical validation of drug indications using compendia of public gene expression data Science Translational Medicine
- The CD47-signal regulated protein alpha (SIRPa) interaction is a therapeutic target for human solid tumors PNAS
- Melanoma genome sequencing reveals frequent PREX2 mutations Nature
新聞やテレビは上記を含むprestigiousな雑誌に研究が掲載されると大々的に報道しますが再現性が無いというか不完全な場合もあるわけです。
再現性がないからウソだという訳ではないのですが再現性のない研究結果はやっぱり困るよね。
ここまでやっているのを目の辺りにするとやっぱり考えさせられます。
というか一つ検証実験を計画しています。
「昭和元禄落語心中」
Amazon Prime会員なのですが映画とかTV番組とかをタダ(というかそれ込みの会員料なのだろうけど)で見せてくれるということに気づきました。
「昭和元禄落語心中」のアニメ版を全部観ました。 今度コミックも買って読もうと思っています。
これ名作ですよ。
ついでに「クズの本懐」も観てます。
メディカル論文執筆RESCUEというサービスがあるのを今日業者からのdirect mailで知りました。
論文をかけるだけの研究データは溜まっているが、日々の臨床に追われ、論文を執筆する時間がない方
向けに60万円から100万円で論文を”書いてくれる”サービスのようです。
これ誰が書くのか解りませんけど普段やっていることにこの位の値段がつくのだと思いました。まああるだろうなという感じです。
すごく以前に,手術室でお昼ご飯を食べているときに奧さんが医院を開業されている先生が弁当を持参されていました。その弁当,実は吉兆のものより値段をつけたら高いのではないかという話になりました。奧さんが30分働いて稼げる金額を考慮すればその弁当は吉兆の弁当より高くなるというそういう話でした。
論文サービスもどれくらいでやるのか解らないのですが,一応5日掛かるとしてぼくが他の仕事を全くせずそれに掛かったとて金額的にはどうなるのだろうかと思いました。
一方コンスタントに仕事があるとすれば,週に100万の稼ぎになるのであれば月400万で何か結構いい商売ではないかとも思いました。
どうでしょうか? ぼくでよければ,ぼくに依頼しませんか? 初めの10人くらいは安くしておきます。
大学で研究の進め方とか論文の執筆とかを職務としてサポートしてくれる部署があるといいですね。
所属研究機関では大学院講座というセミナーシリーズがあります。
大学院生はこのうち決められた回数を受講する必要があります。
明日,二回に分けて押味 貴之先生(日本大学医学部医学教育企画・推進室(医学英語))の講義があります。
一回目は 医学英語論文抄読会を魅力的にする10のステップ: 初心者からもできる医学英語論文の効果的な読み方
二回目は 医学英語論文書き方の基本: アカデミックライティングの基本ルールを理解しよう!
医学英語論文を執筆する際に、「コロン」や「セミコロン」の使い方で悩んだことはありませんか? また数字に関して、どんな場合にスペルアウトして、どんな場合にアラビア数字を 用いるべきか、ネイティブチェックでも意見が分かれたというような経験はありませんか? この他、単位や記号など、そもそも英語でどのように正しく読み上げていいのか わからない、そんな先生も意外と多いのでは? そこでこのセミナーでは、そんな「アカデミックライティングの基本ルール 40」を ご用意いたしました。 今まで「何となく使ってきたけど厳密なルールは知らなかった」「聞きたくても 誰にも聞けなかった」というような医学英語論文の基本ルールを基礎から楽しく学びます。 初心者の方から上級者の方まで楽しめる内容をご用意していますので、是非ご参加ください。
以上が二回目の講義の内容です。ぼくも参加してみようと思います。
というようなことをお昼の時間に研究室で話していたら論文の書き方の指南書はたくさんあるけど精神論とかが多くてテクニカルな内容のものが少ないなという話になりました。
ぼくと話していた先生も論文はWordを最初から使って書くのだと話していたのでちょっとびっくりしました。
ぼくは頭が弱いので初めから真っ白な紙(というか画面に)論文を起稿し始めるというような事はできません。
以前にも書いたことがあるのですが,ぼくはMacのいろんなアプリを使って作業を進めていきます。
以前と重複する内容なのですが書いてみます。
道具
Mac
始めて買ったコンピュータがSE-30で以来Macしか使っていません。現在はiMacの数年前のものとMacBookを使っています。以下に説明したアプリは両方のmacにインストールしてありますので基本的にどこで作業しても論文の執筆に関してはおなじ環境が使えます。 プロジェクトを思いついて最終的に論文になるまでの全てのファイルはDropbox内に保存しておきます。全ての実験結果や作業過程を保存しますので最終的に一つのfull paperの場合1GB程度のスペースを使うことになります
アプリ
- OmniOutliner
- OmniGraffe professional
- Papers
- Scrivener
- Pages
- MS Word
- Endnote
- Adobe Illustrator
- Prism
Prismは最近では統計の部分は”R”を使って,しかしグラフはPrismで描くという使い方にしています。
これらには機能的にはウェブで同等のサービスが提供されていたりしますがアプリ版を使っています。
アプリ間の連携の「型」ができあがっているので今のところこれを変えるつもりはありません。
この際「無料」だとかそいうったことは無関係です。 大学などに所属していると割引もあります。例えば,OmniOutlinerは教育機関に所属していれば$29.99で買えます(Proでも$59.99ですがぼくは普通のものを使っています)。
一つの論文で100万もらえるのならこれくらいケチるなという考えです。
文章を作っていく
ここではテクニカルな事だけ述べようと思います。
「前準備」でつくったOmniOutlinerの項目をさらに見直し細分化していきます。大体一つのパラグラフになるように細分化されたらそのパーツ毎にScrivenerで文章を書いていきます。 気がつけば引用文献もEndnoteから貼り付けていきます。
書き上がれば出力して一つのfileに出力して以後はPagesで推敲をおこなっていきます。
“もうよし”という段階でPagesからMS.Wordの.doc形式で出力して共著者へはこの形式で配布します。 最後に英文校正のサービスに出して投稿です。
まとめ
よほどの能力がないと真っ白な画面に論文を頭から書き込んでいくやり方では途中でいろんな「ほころび」・「破綻」が生じます。 作業を細分化してまた焦点を意識的にしぼりこんで作業を始めることで少なくとも他人が読んで納得できる論理的な文章になっていくと思っています。
学会の抄録程度の長さの日本語の文章であってもこの作業を毎回繰り返します。 論文の「でき」は,初心者の場合ほとんどが「英語」の問題ではありません。どれだけちゃんと考えたかの問題なのです。日本語の抄録でも,多くの初心者は日本語は大丈夫と思っていますが大間違いです。
「ライフハックで雑用上等〜忙しい研究者のための時間活用術」は参考になります。
すっかり間が空きましたね。とち狂っていたとか身体的な病気だったというわけでなくさぼっていただけです。
某論文の”discussion”が一応最後まで書けたのですこしホッとして精神的な余裕ができたので久しぶりにと思いました。
大学院コースセミナーの憂鬱
来月になると一番怖れている大学院コースセミナーがあります。これは以前にもしたのですがすごく緊張します。自分の大学の大学院生の前で英語で1時間は拷問です。せっかくの「尊敬」などがヘタな英語へ地に落ちてしまう可能性を秘めているます。しかも今回は「ガン」のコースでタイトルが”Critical involvement of hypoxia-inducible factor in Cancer Progression”。興味を持っても学生さん以外は絶対に来ないでください。ぼくタダの極東の一麻酔科医ですよ。
しかしこのセミナー教員でもやっていない人がいるようです。どういうことなんでしょうか。腹が立ちます。助教でも教員なんだから全員やれば良いと思います。
ちょっと気の利いた話をしようと”The EMPEROR OF ALL MALADIES-A biology of cancer“と”The Immortal Life of Henrietta Lacksを読み返したりし始めてまたまたどつぼりかけています。
HeLa本には邦訳があります。「不死細胞ヒーラ ヘンリエッタ・ラックスの永遠なる人生」
“The EMPEROR OF ALL MALADIES-A biology of cancer“は名著なのでガン研究者は一回は読んでおくのが身だしなみというものだと思います。でもたぶんどなたかが訳しているとも思います。
こう書くのですがうまくやってやろうというささやかな野望は持っています。といいつつコケたらどうしようかと考えるとやっぱり憂鬱だ。
ホラ吹きは成功のはじまり
「「デキるふり」からはじめなさい 本屋で見かけてつい買って読んでしまいました。
「デキるふり」なら今日からできる
はじめからスゴい人などどこにもいない。どんな偉人だって、最初は背伸びをしていたものなのだ。デキる人になるためのいちばんシンプルな方法は「デキるふり」からはじめること。自分の尊敬する人のマネをしているうちに、いつしかそれは「本物」になっていく。本書では、デキるふりをするノウハウとともに、多くのエグゼクティブと接してきた著者が実践してきた「デキるふり」を披露。デキる人もモテる人も頭のいい人もすべて「ふり」から始まった。成長したいならまず背伸びをすることだ。少し枠をはみ出さないと現状は何も変わらない。今日から猫背はやめて、胸をはろう。まずは「デキるふり」からはじめよう。
「かたち」から入るのも一つの方法です。「デキる」研究者になるために,iPhone, iPadはもちろんとしてプレゼンテーションはMacBookでキメてみてはどうでしょうか? 「おっ, iPadか」と思っていたらプレゼンテーションはWindow machineでPowerPointというのはどうもいただけません。どうせならiPadのままでやってみてください。
ぼくも明日から「デキる」ふりを演じてみようかと思っています。
この「デキふり本」,54個の箴言で構成されているのですがNo.1は「自分の師匠を見つける」です。誰か見つけてまねする事から始めてみるというわけです。
論文
一月になって論文が二つアクセプトされました。今年が「当たり年」になると良いです。
もう春です
デスフルレンのセミナー
月曜日に札幌医大の麻酔科の平田直之先生の講演会が京大病院でありました。テーマは「デスフルレン」でした。昨年の臨床麻酔科学会のシンポジウムでの講演を聞いておもしろかったのでお願いしました。質問もけっこうたくさん出てよい講演会でした。質問が出ないと味気ないし全然おもしろくありませんよ講演会は。
平田先生はるばるありがとうございました。