緊急事態宣言が解除されました。
COVID-19パンデミックで麻酔をする他に何かできることは無いかと考えていました。
Twitterのあるアカウント(@dajhiroki)が行ったTwitter Pollを元に数理モデルを用いた解析ができる共同研究者がいたので日本で行われている全身麻酔の数を推定してみるという研究にぼくも参加しました。
結果はmedRxivで公表されています。
https://www.medrxiv.org/content/10.1101/2020.05.08.20094979v2
サーベイの結果からタダの算数で全身麻酔の数を推定するという単純なものでなく(つまりこれみたいなものでなくこれ)みたいにrstanを用いて数理モデルを構築して推定を行いました(萌芽的なものはここでご覧頂けます)
当然こういうモデルはCOVID-19の感染者の推定でもそうですが、かなり多くの前提を所与のもとした条件下で行います。
ブログを更新しました→「西浦先生らによる実効再生産数の統計モデルを解説&拡張する試み」 – StatModeling Memorandum https://t.co/2cSGBC09c9
— Kentaro Matsuura (@hankagosa)
なのでどんなに優れた頭脳を持っている個人・グループといえども黙って座ればピタリと当たる推定をすることは原理的には不可能と思います。
大統領選挙の予想だって外れるわけですから感染者数の予想もそう上手くはいきません。
しかし解析に用いたモデルを明らかにする、モデルの解析対象となるデータの出所を明らかにすることで科学的な議論の俎上に上がる議論に資することにような研究にはなると思います。
国民・社会に対して責任とるべきは政権の政治家です。科学者が専門性から政府にアドバイスするのは良心と職業意識から。政治家が科学者をスケープゴートにするのは許されない
一方で、一般社会から隔絶された科学者同士の空間で静かな議論はなされるべきで、ここでは学会同様議論を控えるべきではない https://t.co/knCuB5FP8e— Masahiro Ono 小野 昌弘 (@masahirono)
テレビをリアルタイムにみることはほとんど無くニュース視ないくらいなのでワイドショーも視ることはありません(時間があればほぼ韓流ドラマを観ています)。なのでワイドショートかニュースで誰が何をしゃべっているのかも解らないですがTwitterなどではワイドショウのコメンテーターがトンチンカンな発現をしているとの主張を多く眼にします。
いったい、こういう人たちはワイドショーを実際にみているのでしょうか。働いていないのでしょうか働かなくてもいいのならうらやましいです。
感染症の専門家でなくてはCOVID-19についての発言をするべきではないという主張には全く同意できません。
メガネ
先日メガネを新調しました。
研究室でMacの画面を見つめて作業するときに普通の近視用のメガネを使うと視にくいという問題がありました。
度を敢えて弱くして目から50cmくらいに焦点が合うメガネを新調したのです。
それで採用したのがこれ。
JINSという会社の【SHORT TEMPLE】です。
つるを耳にかけるのではなく頬骨で支えます。なのでヘッドホンをしても干渉しません。
画面が明瞭に見えるようになりRetinaディスプレイの恩恵が最大化しました。その代わりに1 mくらい離れると何も見えません。
遠隔講義
先週から遠隔講義をぼくも始めました。
「知的活動の技法セミナー」というゼミを担当しています。参加してくれている学生は一回生5名です。
現時点では皆さん自宅で講義を受けているようです。
職場ではmicrosoft Teamsを採用していてこれを用いてゼミを行っています。音声が少し乱れる事はありましたが問題にはなりませんでした。
学生さんの登校が始まるまではこの体制で。
村上春樹小説
先日、「海辺のカフカ」を読み始めて長編は全部読み直そうと思い立ちました。
つまり
- 風の歌を聴け
- 1973年のピンボール
- 羊をめぐる冒険
- 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
- ノルウェイの森
- ダンス・ダンス・ダンス
- 国境の南、太陽の西
- ねじまき鳥クロニクル
- スプートニクの恋人
- 海辺のカフカ
- アフターダーク
- 1Q84
- 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
- 騎士団長殺し
です。
- 海辺のカフカ
- 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年
- 風の歌を聴け
- 1973年のピンボール
- アフターダーク
- 国境の南、太陽の西
- 羊をめぐる冒険
- ダンス・ダンス・ダンス
- スプートニクの恋人
- アフターダーク
- 1Q84
までこの順番で進みました。
村上氏の小説kindle化されているものも多いのですが
新潮社からの
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」
「ねじまき鳥クロニクル」
「1Q84」
「騎士団長殺し」
はまだkindle化されていません。
このシリーズが終わったら次は「大江健三郎」いってみようと思っています。
次回は韓流ドラマについて書いてみたいと思います
ここ1ヶ月結構忙しかったのです。
映画「ハナレイ・ベイ」
土曜日に家内と映画を観ました。
村上春樹氏の同名の短編小説の映画化です。
ファンの間で村上文学史上屈指の名作として語られており、この度待望の実写映画化となる
流石にこれは言い過ぎだろうと思いました。
金曜日に日本経済新聞に映画評が載っていたので気づきました。
映画『ハナレイ・ベイ』映評
息子亡くした女性の内面
NIKKEI STYLE https://t.co/1D5opVCzRj— 松永大司 (@DAISHIMATSUNAGA)
大阪駅の映画館で観たのですがほぼ満員でした。これには驚きました。
是枝裕和、西川美和氏の映画でも結構席が空いている場合も多かったのにいくら村上春樹氏原作の映画化と言ってもこの混み具合はというくらいいっぱい人が入っていました。
「カメラを止めるな!」には負けてましたけど…
映画は、原作にほぼ忠実に進んでいきます。 セリフもほぼ小説の通りなのですがところどころに小説にはない小ネタが仕込んでありました。
映画は大成功。 小説を読んで感じた人は映画を見たらいいし、映画をみて感動した人は小説を読んだら良いと思います。
家内も帰宅後早速読みはじめてました。
映画化されるという話を以前どこかで読んだ時確かにこれしかないかとは思いました。いくら面白くてもカエル君とか猿がしゃべる小説を映画にする訳には行かないだろうと思ったからです。
とにかく一度観ても損はしない、と思います。
本日公開!映画館来場者特典!
気になる特典は「映画鑑賞後にお開けください」とだけ書かれた封筒が配られ、映画本編とリンクした特典となります。もちろん内容はシークレットですが、封筒の中には本作にとって重要なあるアイテムが封入されております!
ぼくは貰いました。
映画を見終わった後に見ろと書いてあるのに家内はさっさと開けてましたけど。
山本雅之先生のセミナー
最後に職場の大学院企画セミナーのお知らせをします。
東北大学の山本雅之先生に 10月31日(水)17:30~19:30の予定で 関西医科大学の加多乃講堂(枚方学舎の一階) で 「東北メディカル・メガバンクの構築と生体の酸化ストレス応答研究」というタイトルで講演をしていただきます。 学外からの聴講も大歓迎です。 奮ってご参加ください。
iMac問題
iMacですが修理終了で明日手元に届きます。電源系統の交換が必要だとおもっていたのですがあっさりと「修理」が終わったようです。 木曜日の朝にクロネコ便がpick upしに来てくれて金曜日には修理完了で今朝(月曜日)午前中にぼくの手元に戻って夕方にはセットアップを完了するか、な。
と思いきやtime machineで取ったbackupの復元中に電源が落ちるという現象が再現してしまいました。
Appleに連絡を取ると「問題のあるbackupから復元を試みたから問題がbackupからiMacに持ち込まれて」しまったのだということ。
ぼくがすべきだったのは、「復元」ではなく移行アシスタントを用いた「移行」だったのだそうです。
とうわけで振り出しに戻ってしまいました。
朝から快調に論文の作業を進めていたのに…
研究医養成コースコンソーシアム発表会
木曜日・金曜日と二日間の日程である合宿に参加しました。
研究医コースを運営している阪神地区の5大学で構成されるコンソーシアムのリトリートです。
参加大学は、奈良県立医科大学、大阪医科大学、兵庫医科大学、神戸大学、関西医科大学です。(各大学の研究医コースの概要へは大学名からリンクしてあります)。読むと解りますが兵庫医大の制度はかなり太っ腹ですよ。
学生さんが29人、教員が20人の結構な規模の会となりました。 3大学で発足したコンソーシアムから数えて今回で4回目です。
ぼくの研究室にも学生さんを一人預かっているのですがぼく自身の参加は今回が初めてでした。
参加学生による研究・研究生活の発表をメインに参加教員による「私のこれまでの研究を振り返って」(涙無しには聞けない感じでした)などの講演に、「研究を進めていくのに必要な資質とは」をテーマとしたワークショップが加わって充実した二日間でした。
夕ご飯はBBQのはずが雷雨の予報が出て室内での食事になったのが残念でした。
ぼく部屋に参加している学生もちょっと変わっているのですがそれに輪をかけてたような学生さんも多かったような気もします。
薄汚れていない学生さんと研究について語るのは自分が自分の原点に立ち戻るきっかけを得るためにもよい機会でした。
オリンピック、陸上400mリレーの銀メダル
すごいです。
ぼく的にはこのオリンピック最大の出来事だと思っています。 どこかがバトンを落としたとかの結果でなくガチで銀メダル。 よくぞあの4人を揃えたなと。
Usain Bolt made it a triple-triple, leading Jamaica to victory in the 4×100 meter relay https://t.co/ZWNi4R4NqU pic.twitter.com/L6NjJhqCmr
— The New York Times (@nytimes)
このNYTの記事では”Japan was the surprise winner of the silver medal“と書かれていました。
技術的な問題はさておきとにかく速く走らなければ無理っていう種目で最後はボルトの真横を走っていたわけで素晴らしいとしかいいようがありません。 東京オリンピックでは9秒台の選手4人揃えて頂点を狙って欲しいです。 このためなら10億円位投入してもいいのではないかと。
雑誌New Yorkerでは今回のオリンピックのいろんな出来事をネタにしたエッセーを掲載し続けています。
です。
その中から一つだけ紹介します。
THE BEAUTY OF SHAUNAE MILLER’S UGLY DIVE IN RIO
女子の400m走のゴールでSHAUNAE MILLERがゴールラインに向かってダイブして一着でゴールしてそのゴール自体はルール違反ではないのだが当然に如く様々な波紋を呼んでいる訳です。
このessayは、この行為が「美しいか」どうかという観点で考察したものです。
New York Timesでも解説されています(参照)。
村上春樹氏に「シドニー!」という本があります。
「村上春樹の極私的オリンピック、シドニーの23日間」、です。
2001年に出版されたのですがぼくはこれをニューヨークの紀伊国屋で買いました。
文春文庫では二分冊になって現在でも買って読むことができます。 「シドニー! (コアラ純情篇) 」「シドニー! (ワラビー熱血篇)」
文字びっしりです。
この本、1996年7月28日 アトランタ、2000年6月18日広島ーシドニーの23日間ー 2000年10月20徳島、2000年11月5日 ニューヨーク という構成となっています。
1996年7月28日 アトランタ、2000年11月5日 ニューヨークはマラソンの有森裕子さん(シドニーオリンピックには出なかった)、2000年6月18日広島、2000年10月20徳島は同じくマラソンの犬伏孝之さん(シドニーオリンピックに出場して途中棄権した)についての文章です。 時間がなくともここだけでも読む価値があると思います。
以下は、2000年11月5日 ニューヨークの章の最後の方の文章です。
言うまでもないことだけど、この日常の中で、ぼくらは地べたにへばりついて生きていかなくてはならない。明日、明日、そしてまた明日。僕らは戦い続け、ある場合には途方に暮れる。でも一つだけ確かなことがある。もし競技者が闘争心を失ったらそれは闘うのをやめることなのだ。
そういう意味では、オリンピック・ゲームは僕らにとってのひとつの大がかりなメタファーなのだ、と言うことも可能なのかもしれない。もし僕らがこのメタファーと現実とのつながりを、世界のどこかに見つけることができるなら、言い換えればその巨大な風船を地べたにつなぎ止めることができたなら、それはおそらく価値のあることになるだろう。でももしそのメタファーが、もうひとつ別のメタファーとしか連結しれないとしたら、つまりひとつの風船が別の風船としかむすびついていないとしたら、僕らはどこにも行けない。僕らがたどり着く先は、おそらくは奇妙なかたちをしたメディアのテーマパークだ。
スポーツ選手にとってのスポーツは研究者にとっての研究と置き換えて考える事ができます。
又吉直吉の「リオデジャネイロ!」とか出たらおもしろそうです。
【追記】
「シドニー!」読み切りました。
でも一つだけ認めなくてはいけないことがあります。ある種の純粋な感動は、限りのない退屈さの連続の中からこそー麻痺性の中からこそー生まれてくるのだということです。
しかしそれでもなお、僕はときどきはっと我に返って思うのです。ぼくはほんとうにこんなところでいったい何をしているのだろうか? 何をしているかって? そう、いつもの人生をおくっているだけです。僕自身の、それなりにクオリティーの高い退屈さを、そこにかさねあわせるようにして。Business as usual…..
研究が楽しいというひとの気が知れません。研究って95%は苦しさと退屈さでできていると思います。
アメリカのlabにいたときも一緒にやっていたポスドクのコナー君はプレッシャに耐えきれず登校拒否となり仕方ないのでぼくが三週間実験を全部担当しました。ほんと今回の石川佳純さんみたいな感じで…
一度に融合タンパクの為に20コンストラクトくらいのplasmidの切り貼りをして蛋白質をつくり、ラベルする。夕方オートらをはじめて朝の7時くらいにそれを開けて現像。バンドがあることを確認して一安心。GLSの出勤を待ってデーター検討(labの最重要projectになっていた)を毎日繰り返す感じ。ほとんどーしかしこれは全てではないーうまくいくのだがーデータが取れて白黒ハッキリすると言う意味ですーコケるとやり直し。これがウザい。
今回、愛ちゃんが「(再び声を詰まらせながら)とても、本当に苦しい、苦しいオリンピックでした」と話したそんな気持ちです。
三週間後コナーくんが出てきたときにはGLSさんが論文を書き上げていました。
症例報告
今年の3月まで一緒に麻酔をしていた西本先生の症例報告が出版されました。
JA Clinical Reports, 2(1), 1-3
Open Accessですから誰でも全文を読むことができます。
手術室で使う麻薬(remifentanil)製剤Ultiva™を誤って静脈内でなく硬膜外腔に投与してしまったのですが、その最初から最後までをつぶさに記述した報告です。 臨床的な意義はかなり高いと思います。
Natureにある論文が出ていました。
A new drug candidate that mimics the pain-killing effects of opioid analgesics is identified https://t.co/NK1sROxNEr pic.twitter.com/Rf0ZIzGjkA
— nature (@nature)
大変興味深い報告です。この方向性で臨床で使える薬剤ができれば麻酔が確実に変わります。