雑感: COVID-19

On 2020/3/14 土曜日, in book, books, Net Watch in Science, Thus Spoke Dr. Hypoxia, by bodyhacker

間が空きました。毎年この時期花粉症で生産効率が激さがりするのですがやはり今年も同じ現象が起こっています。

 

現在COVID-19と名づけられた感染症が中国の海鮮市場でoutbreakした当初は、ヒトーヒト感染はないのだという話まであったし、全く重要視していませんでした。

それがあっという間にこんな感じです。

今から振り返ると一月の上旬当直した次の日から風邪症候群的な症状が出て、微熱が続く、咳が止まらない、画像診断は受けていないけど肺炎症状があるなど今ならSARS-CoV-2感染症じゃなかろうかという状況になっていました。毎日、通勤時に何人もの中国からの観光客と梅田、淀屋橋ですれちがっていましたし。

ぼくなんて医者といっても麻酔しかできないし感染症の専門家でもなんでもないのですがCOVID-19 CORONAVIRUS OUTBREAKとか眺めると日本がこの程度で収まっているのは感染対策が功を奏したとかそういった事より運が良かったのだとしか思えませんがどうなんでしょうか?

「検査しすぎで医療崩壊」とかいわれる韓国も患者あたりの死亡率は日本より少ない訳です。まあぼくは専門家()ではないのでわからないのですが…

コロナ禍が過ぎ去った後十分な検証を行ってもらいたいと思います。

 

いろんな対策もなんらかの仮説があって行っているのであれば十分なエビデンスは必要ないというか今回のSARS-CoV-2だって人類にとって初めてなんだからエビデンスなんてないはずだし。なので政府のやることに特に意見はありません。多様な意見があっても良いと思っていますがそれはぼくが医者で未公開な情報も含めた多様な情報にアクセスできて自分でどうすべきか判断できるに違いないという認識があるからで、一般人はいかに知性が高く物事を論理的に解釈して行動できるだろうとこっちが思っても最適な判断ができるかどうかは不明です。

 

自分としてコロナ禍関連で行っていることは

  1. テレビを見ない – そもそのニュース、ワイドショウーは普段から全く見ません

  2. 新聞は日本経済新聞とNew York Timesしか読まない チェックは朝始業前と帰宅前にする

  3. 頻回に手洗いをする マスクは無いのでしていません トイレットペーパーは家内によれば今頃右往左往しているのは素人だということで元々2ヶ月くらいの備蓄があったようです

くらいです。年中体の調子が悪く朝起きて快調だと思うことがほとんどありません。少しでも不調だとすぐにロキソニン服用していますし。それで出勤するなと言われれると大変困ります。

テレワークとか在宅勤務とか言われるのですがぼくの場合は効率が下がるという効果しかないので毎日電車を乗り継いで研究室に来ています。今日も雨だったのですが研究室です。さっきまで全く人とすれ違いもしなかったのですがやっと一人とすれ違い今大学院生がやってきました。ぼくの場合研究室で作業することで最高のパフォマンスが出るので時々次善の策でデニーズで仕事するのは弥縫策にしか過ぎません。

電車の中で色々と考えてそれを研究室で吐き出す、また1日を振り返りながら帰宅するプロセスがぼくには必要なんです。

 

NYTの記事で昨日読んだ

は読んで感傷的になりました。しかしNYTの取材力には脱帽します。日本の新聞にこのような記事を期待することはできません。

も興味深く読みました。

 

 

 

CDCのDirector Robert Redfield氏をめぐる話題が取り上げられています。

彼はPCR検査の不備を議会で追及されているようです。

It was his third time testifying before a congressional committee in three days, and Representative Debbie Wasserman Schultz was demanding to know who in the government was responsible for making sure Americans with coronavirus symptoms got tested.

Twice, he started an indirect reply, but twice Ms. Wasserman Schultz, Democrat of Florida, cut him off.

“I just need a name,” she said. “Is it you?”

Dr. Redfield looked pleadingly at the slight, older man sitting next to him. “I think my colleague is indicating I should respond,” said Dr. Anthony Fauci, the director of the National Institute of Allergy and Infectious Diseases, who proceeded to do so in the bluntest of terms.

NYTには以下のような記事もあります。

今回のコロナ禍に対する米国のtask forceのメンバーの紹介です。これらの人々の判断に国の行方が委ねられるのだ明らかにされているという見方もできます。

日本ではいろんな種類の専門家とか医者が好き勝手な発言を行い誰も責任を取るふうもありません。

 

コロナ禍が去ったら、世界が今より良くなっていることを祈っています。


立花隆氏の自伝的な「知の旅は終わらない 僕が3万冊を読み100冊を書いて考えてきたこと 」が出版されました。

自画自賛満載なのですが非常に興味深い。一読をお勧めします。

利根川進氏へのインタビュー「分子生物学はどこまで生命の謎を解けるか 精神と物質」も取り上げられていてこっちも久々に再読しました。1990年に出版されたのですがこれを読んで生物学を目指した人は多いと思います。というか40歳以上でこれ読んでいない生命科学の研究者はいないと思うのですがどうでしょうか。

研究室に出入りしている学生にこの本を読んだことがあるか尋ねたら「ない」ということだったので4月から読書会で読むことにしました。

それが終われば「がん 生と死の謎に挑む (文春文庫)」を取り上げてみんなで読もうと思っています。これは以前紹介しました(参照)。

 

今週本屋で沢木耕太郎氏がインタビューをまとめたものを岩波書店から出していたのを見つけて買って読みました。

青春の言葉たち (沢木耕太郎セッションズ〈訊いて、聴く〉)

達人、かく語りき (沢木耕太郎セッションズ〈訊いて、聴く〉)

で来月

陶酔と覚醒(沢木耕太郎セッションズ〈訊いて,聴く〉)

も出るようです。

今の学生さんって「深夜特急」ってとか読むのでしょうか? 今度学生に聞いてみます。

 

しかし、立花氏、沢木氏クラスだとどんな人でも喜んでインタビューを受けてくれるんでしょうね。決して対等な立場の対談でなくインタビュー。

勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版」も出ていたので再読しました。これも読んで欲しいですよね。学生とか大学院生には。

みんな本読もうよ。

安部公房の「けものたちは故郷をめざす」が岩波文庫に入ったようです。感慨深いです。

The Coronavirus, by the Numbers“読んで”The Rules of Contagion: Why Things Spread – and Why They Stop“も読みました。

感染症の専門家でないぼくでも理解でき学ぶところが多かったです。というか感染症の専門家()ってこのくらいは皆さん十分理解しているのでしょうか。どうもそうは思えないです。


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「キャパの十字架」がNHKで

少し前に雑誌文藝春秋に掲載された沢木耕太郎氏の「キャパの十字架」を紹介しました。(参照)

単行本化されるようです。(参照)早速予約しました。

2/3の日曜日にNHKでこれをテーマとしたドキュメンタリーが放送されるようです。

沢木耕太郎 推理ドキュメント 運命の一枚 ~”戦場”写真 最大の謎に挑む~

これは期待できます。沢木氏自身が例によって登場です。

問題は「観てから読むか,読んでから観るか」という事ですね。ぼくはもう読んでしまったのでどうしようもないのです。

比較するのはどうかと思いますが「イカ」よりおもしろいと思うのです。


Societyの成熟

体罰,暴行ってなんで今頃問題になっているんでしょう。日本の社会がある程度成熟してきたということなんでしょうか。それとも皆が何かをあげつらうような社会に日本がなりつつあるということなのでしょうか。

その割りにscientific societyはいまだに成熟度がいまいちなような気もします。

相変わらず論文はバンバンretractされるしだからといって何かが変わるでも無し。

再現性のない論文を平気で投稿する人がいると思えばそれを平気で採択してしまう雑誌がある。少なくとも自分たちのグループ内での再現性は必要最低限だと思いますけどね。そもそも他人にほとんど顧みられない論文だがらかそれはそれでよいのかな。確かに誰も追試しないのであれば「再現性」が問題になることはないですよね…

 


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二日連続で病院で寝ると身体の具合が悪くなっていきますね。

査読も今年分は全部終わったし年内自分らの論文の完成に向けてもう少しあがこうと思います。


「スポーツを読む」 から

火曜日の朝の日本経済新聞に”「スポーツを読む」-シンポ特集” が掲載されていました。

作家の沢木耕太郎氏が基調講演でスポーツ作品を書くことについて語ったあと、ロンドン五輪銀メダリストの三宅宏実氏、堀場製作所会長兼社長の堀場厚氏、テレビ東京アナウンサーの大橋未歩氏がスポーツ報道に求めることなどについて活発に議論した。

という趣向のシンポジウムです。 沢木氏の基調講演も掲載されていました(<基調講演>スポーツを書くということ)。

アメリカの記者は試合を見て、各自の頭の中でそれぞれの違うストーリーをつくっている。ジョーダンはどのような考えで、あの場面で3点シュートを放ったのか。なぜ失敗したか、成功したか。キーになる空白の箇所を聞き出したい。記者が描いた試合の見方の構図にピタッとはまれば、彼にとってのストーリーが完成する。だから他の記者の質問に関心がない。

日本の場合は、そういう記事のつくり方をしていない。「あの選手はこんなことを言ったのに、どうしてうちの新聞には載っていないんだ」という話になるのだろう。だから全部の記者が同じ談話をほしがり、 皆で共有する。

今年ほど科学報道が話題になった年はありませんでした。山中氏のiPS細胞の発明に関わるノーベル賞が大きなきっかけになりました。

ライフサイエンス 新着論文レビュー“などの試みが始まっていてこちら側からの切り込みは進んでいます(これ本当によいサービスですよ)がマスコミ例えば新聞からの切り込みは未だ不十分です。”Nature”, “Cell”, “Science”に掲載された論文はそのまま報道される。論文へのリンクなどは一切貼らない,曖昧なコメントがつくだけのお寒い状況はまったく変わっていません。これはiPS森口以後でもほとんど状況に変わりはありません。

そもそも研究成果は雑誌での発表とリアルタイムに報道される必要など全くなく一週間,一ヶ月,一年単位でじっくりと紹介・評価されればよいのだと思います。雑誌のimpact factorにしても二年くらいの時間の経過で同じ科学者仲間がいかにその論文を自分の論文に引用したかで計算されるのです。

研究成果を紹介するのに当該論分やその関連論分を読まずして論文を発表した本人の簡単なコメントだけを取って記事を書くような記者が「ジョーダンはどのような考えで、あの場面で3点シュートを放ったのか。なぜ失敗したか、成功したか。キーになる空白の箇所を聞き出したい。記者が描いた試合の見方の構図にピタッとはまれば、彼にとってのストーリーが完成する。だから他の記者の質問に関心がない。」というような取材態度に基づいての記事は書けないのも道理です。
New York Timesなどの科学記事を読めば自分たちの報道がいかに”いけてないか”解りそうなものですが…


「キャパの十字架」を読んで

雑誌文藝春秋の新年号に沢木氏の「キャパの十字架」というドキュメンタリーが掲載されています。

戦争報道の歴史に燦然と輝く傑作「崩れ落ちる兵士」──。だがこの作品は本当にキャパのものなのか? 七十六年間封印されていた「真実」がついに明らかになる。

という触れ込みです。これは面白いです。是非読んで見てください。

雑誌なので写真の質が悪いのが難点ですが単行本化されるときにはこの点は解決されると思います。電子版でinteractiveなものが出ればさらに楽しく読めると思います。

読んで以下の様なことを考えました。

例えば誰かがある科学上の学説を論文としてまとめたとします。論文の査読上は特に問題は指摘されず発見の価値も高いということで雑誌への掲載が決まりました。しかしその論文には「ウソ」が記載されていました (この際この「ウソ」が意図的なウソかどうかは問いません。とにかく科学的な手続きによって検証されうる「ウソ」が含まれているのです)。

一方その発見自体は他の科学者によって追試されていつの間にか科学的な定説となっていきました。つまり「ウソ」によって導かれた結論はそれ自体は「本当」だったのです。

こういう状況をどう考えますか。

hard coreは「正しい」のだからsoft shellの瑕疵は見逃すのでしょうか。それともshellの瑕疵に基づき一旦はcoreは棄却されるべきなのでしょうか。(参照

沢木氏の考察の結果がどのようなものであるとしてもキャパの「崩れ落ちる兵士」または「人民軍兵士の死」は完全に一人歩きをしてきたのです。


2012年のベスト〜本(ノンフィクション)〜

去年に習って二系統に分けてみます。

 

まず非科学系

三位

Quiet” (参照)

二位

武器としての交渉思考」 (参照)

一位

Antifragile: Things That Gain from Disorder ” (参照)としようと思います。

実はまだ2/3位しか読んでいません。年末年始で読了したいと思います。

 

情報の呼吸法」(参照)

20歳の自分に受けさせたい文章講義」(参照)

などもよかったと思います。

 

次に科学系

三位

弱いロボット」(参照)

二位

医学と仮説」(参照) 出版されたのは昨年です。

一位

バイオパンク」(参照)としようと思います。

 

医学書などはぼくはほとんど読みませんが

内科救急 見逃し症例カンファレンス M&Mでエラーを防ぐ) (参照1, 参照2, 参照3)はタメになったとハッキリと言えると思います。

日本にもこういった文化が根付くとよいと思います。

 

ハイポキシア生物学の2012年を振り返って (参照昨年分もたぶんやります。


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