恒例ですので今年も「ハイポキシア生物学の2016年を振り返って」をやります。

2002年に帰国したとき産業技術総合研究所の主任研究者になりました。

そこからしばらく基礎研究者が麻酔もする人間になっていたのですが,結局は麻酔をする人が基礎研究もする生活に戻りました。

今年の7月から再度基礎研究者が麻酔もするということになりました。


~メトリクス~

pubmedで”HIF[TIAB] and 2016[DP]” (2015 12/28)と検索窓にと検索窓に入力すると1688篇の論文があると返ってきます。HIF[TIAB] and 2015[DP]では1774篇です。

“hypoxia[TIAB] and 2014[DP]” では6207篇だったのが”hypoxia[TIAB] and 2016[DP] “(2015 12/28)では6471篇です。毎年これだけの論文が安定的に出ているという事に驚きます。

ちなみにコントロールの”iPS[TIAB] and 2014[DP]”では724篇で”iPS[TIAB] and 2015[DP]” (2015 12/28)では705篇でした。

今年は免疫とくに獲得免疫の分野でHIF関連の優れた研究が次々に発表されました。


アルバート・ラスカー基礎医学研究賞

アルバート・ラスカー基礎医学研究賞をSemzan氏が他の二人の研究者と受賞しました。

ぼくの研究の区切りがついたような気持ちがして清清した気分になりました。

とにかく自分が若い頃(1990年代)重要だと思ってかなり入れ込んだ仕事(HIF-1活性化の分子機序の解明)が確かに意味のあることだったと認めてもらえたことにすごく満足しています。 1990年代はこの分野の研究ヒストリーですごくexcitingな10年でした。この10年間を学問領域の立ち上がりからつぶさに観察・関与できて幸せな研究人生を送れたと思います。

残るはノーベル賞です。晴れ舞台でかつての仲間とreunionできたら最高です。

このブログに発表したエントリーをすこし変更して再度掲載してまとめとしておきます。手抜きです,済みません。

来年も研究はしますから関係者の皆さんよろしく!!


Lasker award

今年の2016 Albert Lasker Basic Medical Research Award

Gregg L. Semenza博士が、米国と英国の他の二人の研究者と共に決まりました。

 

受賞は

Oxygen sensing – an essential process for survival

への貢献です。

 

彼がJohns Hopkins Universityで運営してた(今もやってますが)labにぼくは1999年の8月から2002年の2月までvisiting professorとして参加しました。

 

彼の言葉で今でも印象に残っていることが二つあります。

HIF-1のcloningは彼が主に中国人のポスドク(Wang)と行った仕事なのですが、ある日、自分のオフィス(といってもラボの一角を仕切って作った2.5畳のスペース)の扉を閉めて「Kiichi、偉大な仕事をするためには優秀なポスドクが必要なんだ」と彼に言われたこと。

もう一つはぼくらのFIH-1の論文が出てしばらくした頃、研究室のぼくのベンチまで(彼がベンチまでやってくるのはとっても珍しい)満面の笑顔で「RatcllifeがFIH-1のクローンを欲しいといってきたよ」とわざわざいいに来たことです。

 

学会で来日したときには京大の麻酔科の比叡山が見える研究室を訪問してくれました。

その折りに「いつまで麻酔なんてやっているんだと。とっとと止めて研究に専念しろ」と言われたことも思い出しました。

 

Semenza研はHIF-1のcDNA cloning, HIF-1aのノックアウトマウスの報告において世界での先陣をきり、酸素分圧のセンシング機構でもFIH-1のcloningに成功していたのでこの分野でGreggが受賞するのは当然です。

 

彼自身が執筆したEssayが読めるようになっています。(参照)

Greggらしい文章ですね。

知っていたエピソードもあるし始めて聞いたネタもあります。

このビデオのGreggがいる場所は彼のオフィスです。BaltimoreのInner Harborが一望できる素晴らしい場所です。以前のオフィスとはまったく似ていません。 彼の部屋の片隅にMac SE/30が置いてあります。聞いたら初めてR01 grantが当たった時に使っていた記念の品なのだそうです。

 

この賞の受賞者は来月早々に発表されるNobel賞を受賞することが多いそうです。こっちももらってlab. memberがre-unionできたら幸せだろうな。

 

Google Schalorの統計に寄ればぼくはGreggとの共著論文ランキングの10位です。

 

ぼくらが20世紀の後半から21世紀の初頭にかけて行っていた研究がLasker賞に結実したことはとても嬉しいです。

今回の受賞理由に挙がられている研究は1990年代にほぼ終わっていてHIFa水酸化酵素の報告もPHD, FIH-1とも2001年です。2001年にHIF活性化調節のセントラルドクマが定立されたのです。

ぼくらがその当時やっていたことは生物学上の重要課題であった、その課題の解決に貢献ができたということでぼくは満足です。

極東の一麻酔科医ができる最高の貢献だったと自負しています。

 

 

故森健次郎先生が大学院の研究を淀井淳司先生の研究室でやれとぼくに命令しなかったら、またその後ぼくにお前は日本にいたらダメになると言ってくれなかったらぼくがGreggの研究室に参加することはなかったし、研究もとっくの昔に止めていたと思います。

 

 


Lacker賞関連の紹介論文

Lacker賞関連の論文をいくつか紹介します。 いわゆる超一流誌に発表された論文で全てfreeで読むことができます

NEJM

The Hypoxia Response Pathways — Hats Off!

M. Celeste Simon, Ph.D.

 

JAMA

Pathways for Oxygen Regulation and Homeostasis

William G. Kaelin Jr; Peter J. Ratcliffe; Gregg L. Semenza

3人の共著!?論文です。

 

JCIには

William Kaelin, Peter Ratcliffe, and Gregg Semenza receive the 2016 Albert Lasker Basic Medical Research Award

Jillian H. Hurst

 

Cellは豪華版です。

Into Thin Air: How We Sense and Respond to Hypoxia.

Thompson CB.

に加えて

Karen氏とRatcllife氏の対談的インタビュー

Semenza氏のessay

 

今回の,受賞理由は1990年代の研究に基づきます。

HIF-1研究の初期から酸素分圧の低下に依存しないHIF-1の活性化の研究が続いていてこのラインの研究ががん研究とマージしたことがHIF-1の学問がblakeした理由だと理解しています。

PHDのcloningの論文が発表されたときもGreggはアレが本当の低酸素のセンサー分子であるかどうかは解らないという感想を述べていました。

PHD(PHD2)の発現はHIF-1により亢進することが知られていてそのような性質の分子を「センサー」とゥ呼ぶのが適切か解らないという意見です。まあ格好はいいわけですが。

それを割り引いてもHIF-1活性化のbona fide hypoxia senserの実体はいまだ藪の中だとぼくは考えています。

 

またぼくはこの論文この論文をすごく評価しています。


第14回がんとハイポキシア研究会での講演

第14回がんとハイポキシア研究会が11/4から岐阜市で開催されます。

二日目の午前中に20分ほどフリートーク風に今年のラスカー賞をきっかけに低酸素研究のいままでを話すことになっています (2016 年アルバート・ラスカー基礎医学賞を記念して)。

【追記】”Oxygen, Hypoxia and Beyond“として使ったスライドをfigureshareに上げてあります。(参照)


この分野ですがラスカー賞の対象になるくらいには発展していますのでおびただしい数の総説が今まで出版されています。

それをなぞるのでは面白くないのでちょっとひねった話をしたいと思っています。

ぼくの話を聞いていただくためには特別な予備知識は必要はないのですが以下の論文のアブストラクトだけでもながめておくとより楽しんでいただけるのではないかと思っています。

ラスカー賞の対象となった研究は1990年から10年くらいの期間に行われた研究が対象となっていますがその間に出版された論文を選んでみました。

どの論文もすでに古典となっている論文です。

読んでいない論文があればこれを機会に熟読玩味してみてください。

なお論文の頭に#をつけた論文はLasker財団のページで受賞理由で取り上げられているものです。

論文はpubmedにリンクしてあります。

EPO遺伝子の発現誘導

The regulated expression of erythropoietin by two human hepatoma cell lines. Goldberg MA, Glass GA, Cunningham JM, Bunn HF. Proc Natl Acad Sci U S A. 1987 Nov;84(22):7972-6. PMID: 2825172

Regulation of the erythropoietin gene: evidence that the oxygen sensor is a heme protein. Goldberg MA, Dunning SP, Bunn HF. Science. 1988 Dec 9;242(4884):1412-5. PMID: 2849206

Regulatory elements of the erythropoietin gene. Imagawa S, Goldberg MA, Doweiko J, Bunn HF. Blood. 1991 Jan 15;77(2):278-85. PMID: 1985694

Erythropoietin mRNA levels are governed by both the rate of gene transcription and posttranscriptional events. Goldberg MA, Gaut CC, Bunn HF. Blood. 1991 Jan 15;77(2):271-7. PMID: 1985693

この4篇に代表されるように初期にBunn氏の研究室が重要な役割を果たしました。 肝臓がん由来の細胞株でEPOの誘導が観察されること,EPO遺伝子上にRegulatory elementsが存在することなど後のHIF-1単離につながる重要な発見を報告しています。

 

追走するSemenza研

これを追いかけるようにまた並走してSemensa氏の研究室から次々に論文が出ていきました。

Polycythemia in transgenic mice expressing the human erythropoietin gene. Semenza GL, Traystman MD, Gearhart JD, Antonarakis SE. Proc Natl Acad Sci U S A. 1989 Apr;86(7):2301-5. PMID: 2928334

Human erythropoietin gene expression in transgenic mice: multiple transcription initiation sites and cis-acting regulatory elements. Semenza GL, Dureza RC, Traystman MD, Gearhart JD, Antonarakis SE. Mol Cell Biol. 1990 Mar;10(3):930-8. PMID: 2304468

Hypoxia-inducible nuclear factors bind to an enhancer element located 3′ to the human erythropoietin gene. Semenza GL, Nejfelt MK, Chi SM, Antonarakis SE. Proc Natl Acad Sci U S A. 1991 Jul 1;88(13):5680-4. PMID: 2062846

A nuclear factor induced by hypoxia via de novo protein synthesis binds to the human erythropoietin gene enhancer at a site required for transcriptional activation. Semenza GL, Wang GL. Mol Cell Biol. 1992

Cell-type-specific and hypoxia-inducible expression of the human erythropoietin gene in transgenic mice. Semenza GL, Koury ST, Nejfelt MK, Gearhart JD, Antonarakis SE. Proc Natl Acad Sci U S A. 1991 Oct 1;88(19):8725-9. PMID: 1924331

 

HIF-1の登場

General involvement of hypoxia-inducible factor 1 in transcriptional response to hypoxia. Wang GL, Semenza GL. Proc Natl Acad Sci U S A. 1993 May 1;90(9):4304-8. PMID: 8387214

Transcriptional regulation of genes encoding glycolytic enzymes by hypoxia-inducible factor 1. Semenza GL, Roth PH, Fang HM, Wang GL. J Biol Chem. 1994 Sep 23;269(38):23757-63. PMID: 8089148

1995年にはHIF-1の蛋白質の同定とcDNA単離が報告されました。

Purification and characterization of hypoxia-inducible factor 1. Wang GL, Semenza GL. J Biol Chem. 1995 Jan 20;270(3):1230-7. PMID: 7836384

Hypoxia-inducible factor 1 is a basic-helix-loop-helix-PAS heterodimer regulated by cellular O2 tension. Wang GL1, Jiang BH, Rue EA, Semenza GL. Proc Natl Acad Sci U S A. 1995 Jun 6;92(12):5510-4. PMID: 7539918

HIF-1のcDNA cloningの後の最も大きな問題はその活性化の分子機構の解明となりました。 活性化と一言にいっても当時はその意味合いも曖昧でした。 PNASの論文ではmRNAの発現をNorther blotで解析して1%O2, CoCl2, DFX処理でmRNAが「誘導」されるという実験結果が提示されています。 HIF-1a HIF-1bに対する抗体を使ったデータはありますがHIF-1aに加えてHIF-1bの蛋白質発現も「誘導」されるという結果が提示されています。 Hep3Bを用いた実験結果ですのでこれは現在流通しているコンセンサスとは異なります。

そこの後の解析で少なくとも細胞株ではHIF-1a, HIF-1bともmRNAは酸素分圧が変化に応答して発現が大きく変化すること言うことはないが,HIF-1aの蛋白質の発現は酸素分圧の低下に相関して増大することが解ってきました。

Hypoxia-inducible factor 1 levels vary exponentially over a physiologically relevant range of O2 tension. Jiang BH, Semenza GL, Bauer C, Marti HH. Am J Physiol. 1996 Oct;271(4 Pt 1):C1172-80. PMID: 8897823

そうこうしているうちに1997年にはHIF-1aが酸素分圧依存のユビキチン化を受けていて低酸素環境下では蛋白質が安定化するという機序で細胞内で蓄積するという報告が相次ぎました。

 

HIF-1の酸素分圧依存性の活性化

Hypoxia-inducible factor 1alpha (HIF-1alpha) protein is rapidly degraded by the ubiquitin-proteasome system under normoxic conditions. Its stabilization by hypoxia depends on redox-induced changes. Salceda S, Caro J. J Biol Chem. 1997 Sep 5;272(36):22642-7. PMID: 9278421

Regulation of hypoxia-inducible factor 1alpha is mediated by an O2-dependent degradation domain via the ubiquitin-proteasome pathway. Huang LE, Gu J, Schau M, Bunn HF. Proc Natl Acad Sci U S A. 1998 Jul 7;95(14):7987-92. PMID: 9653127

Regulation of the hypoxia-inducible transcription factor 1alpha by the ubiquitin-proteasome pathway. Kallio PJ, Wilson WJ, O’Brien S, Makino Y, Poellinger L. J Biol Chem. 1999 Mar 5;274(10):6519-25. PMID: 10037745

1999年にはこのユビキチン化にVHL-E3 ligaseの構成分子-が重要な役割を果たしているという一連の報告がされました。ここら辺からKaelin氏, Ratcliffe氏が大きな役割を果たすようになってきました。

The tumour suppressor protein VHL targets hypoxia-inducible factors for oxygen-dependent proteolysis. Maxwell PH, Wiesener MS, Chang GW, Clifford SC, Vaux EC, Cockman ME, Wykoff CC, Pugh CW, Maher ER, Ratcliffe PJ. Nature. 1999 May 20;399(6733):271-5. PMID: 10353251

Ubiquitination of hypoxia-inducible factor requires direct binding to the beta-domain of the von Hippel-Lindau protein. Ohh M, Park CW, Ivan M, Hoffman MA, Kim TY, Huang LE, Pavletich N, Chau V, Kaelin WG. Nat Cell Biol. 2000 Jul;2(7):423-7. PMID: 10878807

Mechanism of regulation of the hypoxia-inducible factor-1 alpha by the von Hippel-Lindau tumor suppressor protein. Tanimoto K, Makino Y, Pereira T, Poellinger L. EMBO J. 2000 Aug 15;19(16):4298-309. PMID: 10944113

2001年は当たり年でした。 VHLを含むユビキチン化システムのHIF-1aへの指向性がHIF-1aのプロリン残基の水酸化に依存しているという論文がScieceにKaelin氏とRatcliffe氏のグループからback-to-backで立て続けにでてCellにはその水酸化を担う酸素添加酵素のcDNA cloningに成功した世という論文がRatcliffe氏の研究室から報告されたのです。

HIFalpha targeted for VHL-mediated destruction by proline hydroxylation: implications for O2 sensing. Ivan M, Kondo K, Yang H, Kim W, Valiando J, Ohh M, Salic A, Asara JM, Lane WS, Kaelin WG Jr. Science. 2001 Apr 20;292(5516):464-8. PMID: 11292862

Targeting of HIF-alpha to the von Hippel-Lindau ubiquitylation complex by O2-regulated prolyl hydroxylation. Jaakkola P, Mole DR, Tian YM, Wilson MI, Gielbert J, Gaskell SJ, von Kriegsheim A, Hebestreit HF, Mukherji M, Schofield CJ, Maxwell PH, Pugh CW, Ratcliffe PJ. Science. 2001 Apr 20;292(5516):468-72. PMID: 11292861

 

HIF-1aプロリン残基を水酸化する酸素添加酵素の同定

C. elegans EGL-9 and mammalian homologs define a family of dioxygenases that regulate HIF by prolyl hydroxylation. Epstein AC, Gleadle JM, McNeill LA, Hewitson KS, O’Rourke J, Mole DR, Mukherji M, Metzen E, Wilson MI, Dhanda A, Tian YM, Masson N, Hamilton DL, Jaakkola P, Barstead R, Hodgkin J, Maxwell PH, Pugh CW, Schofield CJ, Ratcliffe PJ. Cell. 2001 Oct 5;107(1):43-54. PMID: 11595184

 

実はぼくらのFIH-1のcDNA cloingもひっそりと2001年に報告したのですがこれがもう一つの水酸化酵素だという報告は次の年になされました。

これで酸素分圧依存性のHIF-1a蛋白質の安定性とHIF-1aの転写活性化を説明するセントラルドグマが定立されたのです。

 

日陰者のFIH-1

FIH-1: a novel protein that interacts with HIF-1alpha and VHL to mediate repression of HIF-1 transcriptional activity. Mahon PC, Hirota K, Semenza GL. Genes Dev. 2001 Oct 15;15(20):2675-86. PMID: 11641274

FIH-1 is an asparaginyl hydroxylase enzyme that regulates the transcriptional activity of hypoxia-inducible factor. Lando D, Peet DJ, Gorman JJ, Whelan DA, Whitelaw ML, Bruick RK. Genes Dev. 2002 Jun 15;16(12):1466-71. PMID: 12080085


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2016年のベスト本

On 2016/12/30 金曜日, in book, books, Kindle, by bodyhacker

2016年のベスト本

前回のエントリーで予告した通りに昨年に続き「2016年のベスト本」をやってみたいと思います。

本は基本的には通勤電車([25分+20分]x2)の中でしか読まないのでそう多くの本を読むわけではありません。


フィクション

結構最近「蜜蜂と遠雷」を読みました。これは力作です。

コミックの「ピアノの森」と似ているところはあったと思いますが一気に最期まで読まされました。

才能と努力とかそのような話題を考えさせられます。結構な分厚さで上下二段で正月休みにもってこいのボリュームです。

 

「風が強く吹いている」」も偶然映画を観てそれで読みなおしました。

こういう小説ってたぶん英語に翻訳される機会は少ないと思うのですが読んだ人のその後の考え方にとても強い影響を与える可能性があると思います。

 

 

「マチネの終わりに」には新聞の連載小説ですがぼくはcakesでの連載でフォローしていました。まとめて読んだのはKindle版でamazon unlimitedで読みました。

「夜行」もすごく楽しめました。「蜜蜂と遠雷」と共に直木賞の候補になっているようです。

京大も20年後には平野啓一郎,森見 登美彦,万城目学の母校として知られるようになると思います。

 

 

麻見 和史さんの警察小説のシリーズがあります。 如月塔子という名前の女性刑事が主人公で副題に警視庁捜査一課十一係とあるように彼女を巡る群像が殺人事件と絡められて進行していきます。 数年前に文庫本を見つけて文庫本になっているところまで(6冊あります)は全部読みました。

「警視庁捜査一課十一係」の面子が正式な捜査会議のあと集まって一杯やりながら行う事件の「筋読み」のシーンがうまく書かれています。実験室でも気軽にデータを持ち寄ってお互いに批評しあう雰囲気があると研究も楽しくなりますよ。 テレビドラマにもなっています。 「石の繭」と「水晶の鼓動」が「如月塔子」を木村文乃さんが演じて公開されています。 小説も面白いですがドラマもおもしろいです。木村文乃さんは好演というか彼女しか適役はいないという演技です。 読むのが面倒な人はビデオ観てください。結局本も読みたくなると思います。「ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子」を凌駕するおもしろさです。

文庫本を6冊とビデオを見たら正月休みの暇つぶしになります。

 

「パードレはそこにいる」 騙されたと思って読んで見ると得します。(上)(下)あります。

でベストは

「ブラインド・マッサージ」

ブラインド・マッサージ (エクス・リブリス)

です。


ノンフィクション

「村に火をつけ,白痴になれ――伊藤野枝伝」 「狂うひと ──「死の棘」の妻・島尾ミホ」には驚きました。

「狂う人は」年末の各紙の今年の三冊とかの特集でも多くの評者にあげられていました。島尾夫妻もすごいけどこれを書き切った著者の梯さんにも脱帽です。

 

「解縛: 母の苦しみ、女の痛み」

文庫本を読みました。 家内も母親にどんな気持ちを抱いているのか聞きたくなりましたが怖くなって止めました。

 

「母の母、その彼方に」

雑誌「考える人」の連載の単行本化されたものです。大阪の箕面が舞台なのでより興味をもって読むことができました。

 

池澤夏樹さんが編集して刊行が続いている河出書房新社の日本文学全集のうち今年刊行された

「日本語のために」

「枕草子/方丈記/徒然草」

「平家物語」

を読みました。

特に酒井順子さんが担当した枕草子は橋下治さんの「桃尻語訳 枕草子」を凌ぐ現代的だな名訳だと思います。

 

翻訳物の医療関連の一般書が何冊か出版されたました。

「死すべき定め――死にゆく人に何ができるか」

「脳外科医マーシュの告白」

「いま、希望を語ろう 末期がんの若き医師が家族と見つけた「生きる意味」

それぞれ

Being Mortal: Medicine and What Matters in the End

“Do No Harm: Stories of Life, Death and Brain Surgery”

“When Breath Becomes Air”

の邦訳です。 全部英語で読みましたが,死すべき定めは邦訳も読みました。英語が難しいかったです。

医学部の教材にしてもよい三冊ですが一冊選べといわれたら断然“Do No Harm”です。素晴らしい。

 

「エンゲルス: マルクスに将軍と呼ばれた男」 と「日本語を作った男 上田万年とその時代」 は堪能しました。

「これからのエリック・ホッファーのために: 在野研究者の生と心得」   には考えさせられました


英語の本で邦訳がまだ出ていないものとしては

“The Undoing Project: A Friendship That Changed Our Minds”

“The Gene: An Intimate History”


「断片的なものの社会学」

は今年読んだもののベストなのですが2015年の発行なのでおいておきます。

 

でベストは

 “Lab Girl”

です

New York Times で二つ書評(これこれ)があってNatureでも紹介されています。

ハワイ大学の研究者Hope Jahren氏の回想録です。

女性研究者の回想録という側面が強いですが「リケジョ」的な話ではありません。 全ての理系研究者は読んだらタメになります。

翻訳がでたら読んでみたいと思います。これがどういう感じに日本語になるのか興味があります。

Kindleと紙の本を両方持っています。これもKindleで買えるので正月休みで読み切ることができます。

Lab Girl (English Edition)

 

翻訳物といえば 「小澤征爾さんと、音楽について話をする」英訳がでていました。

楽しめました。

 

以上です。

本なんて高いようで安いです。このほかにも買いたい本は買いますがたぶん月に2万円は使っていません。

 

 

【追記】

 これ忘れていました。

「脳梗塞日誌 ~病棟から発信! 涙と笑いとリハビリの100日間 」


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三島詣

On 2016/12/25 日曜日, in book, hypoxia reseacrh, Net Watch in Science, twitter, by bodyhacker

日当直です。残り12時間くらい。

Dry解析

最近Dry解析に取り組んでいます。

基本的なところは「次世代シークエンサーDRY解析教本 」で学んで天皇誕生日を利用してうちの部門の教員・院生と3人で三島詣をしてきました。

最後に追加した項目-329 最後に追加した項目-330

前日勤務のあと新幹線で向かったのですが火災で一時間半ほど足止めをくらいました。

最後に追加した項目-338

 

@bonohuさんに6時間ほどみっちりとぼくらの疑問というか躓いた点について個別に解説してもらい解析のfine tuningのやり方など教えてもらうことができてとても有意義な訪問となりました。

今書いている論文に早速活かしたいと思っています。

 

Dry解析教本すごく丁寧です。

今回解ったのですがこれは隅から隅まで一度は通読するとかなり役に立つ本です。

Macの選びからから解説してくれているのですが実はここはすごく重要です。MacBook Airでも「できる」としても16GBのメモリをつんだMacBook Pro だとやっぱりスムーズだったりします。

またごく初期に躓いたのは職場での解析時に設定されたproxy serverをどうやって克服するかでした。

「システム環境設定」-「ネットワーク」でproxy serverを指定してもterminalやRではその設定は無効ですので何らかの方法でここをクリアしておく必要がありました。

結局ググって解決したのですがここら辺は特に職場で解析をする人には重要なポイントだと思います。

とはいえ適切な指導者というか,質問に我慢強く(ここが重要)付き合ってくれる伴走者は必須かもしれません。

 

最後に追加した項目-340

 

いわゆwetな解析つまり普通の生物学の実験というのはさまざまな要因(単に実験者の無知・手抜きに帰結する場合や人間がコントロールできないものまで)故に定量的に100%は再現できない,場合に寄っては定性的にも再現できない場合もあるのですが,dry解析は解析条件が一定なら100%の再現ができます。というより無惨にも再現できてしまいます。解析途中でエラーが吐き出されるとしてそのエラーも100%再現されます。エラーコードを参照して解決する必要があります。

あたり前といえばあたり前なのでしょうが改めてそれを認識しました。

 

だれでもバイオインフォマティシャン」というのは研究者の身だしなみとしてちょっとした解析は自分でできた方がよいよという意味を越えて,wet研究者はdry解析についての基本的な理解が必要なのだと思うようになりました。 wet実験をどのように構築するかなどにもdry解析のノウハウが必要です。

大学院生の研究がきっかけで始めたdry解析ですがしばらく続けていこうと思っています。

@bonohuさんありがとうございました。

最後に追加した項目-352


読んだ


矢野山脈

観ました。(参照)

矢野顕子さんの1976年の”JAPANESE GIRL”からもう40年。 坂本美雨さんと原田郁子さんをナビゲーターに”JAPANESE GIRL”の一曲一曲を解題しながらゲストのコメントなどでつなぐ一時間番組でした。 最後に細野晴臣さんが「100%の天才」と評していましたが「天才」という言葉が彼女ほど似合う人はあまりいません。

自身も”JAPANESE GIRL”は20世紀の最高傑作の一つでスミソニアンで収録したらいいのにと話していました。

40周年を記念して「矢野山脈」が出てます。ぼくは「完全限定盤」ゲットしました。

 


「今年の本 2016」 予告

門川さんのベスト~本~も出たのでぼくもそろそろ準備始めました。


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