「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか」

昨日は日当直でした。

夕ご飯は一緒に当直をしている先生方と食べるのですがその折りに岩井俊二さんのあの「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか」の話題を振ってみました。

二人ともまだ「観たことがない」ということだったので推薦しておきました。

 

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか」がアニメ化されて8/18に公開ということで書店にはノベライズされたものが文庫本として出ています。

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」

「少年たちは花火を横から見たかった」

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? (角川文庫) 少年たちは花火を横から見たかった (角川文庫)

早速二冊とも読んでTVドラマ版の「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか」も見なおして体制を整えたところです。

「SWITCH Vol.35 No.8 ヒロインに恋して『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』」 「キネマ旬報 2017年8月下旬号 No.1754」

SWITCH Vol.35 No.8 ヒロインに恋して『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』 キネマ旬報 2017年8月下旬号 No.1754

TVドラマ版の放送は1993年の8月19日だったそうですから23年前の事だったのですね。

ところで打ち上げ花火って横から見るとホントは平たく見えるって知っていましたか?


もう,こういうのうんざりなんだよ

東京大学の科学者の研究上の不正についての報道がありました。

論文不正を認定…分子生物研、5本で図表捏造 (毎日新聞の報道

東京大学からも発表がありました。

ぼくはこの専門分野の研究者でなく当該研究者を個人的にも知らないのでこの問題については今まで興味をもっていませんでした。

今回の報道をきっかけにネットで少し調べてみました。

東京大学からの発表を受けて雑誌Natureもこの問題を報道しています。

“University says prominent Japanese cell biologist committed misconduct”

この報道は随分と詳しくかなり中立的な立場に立っています。

雑誌Scienceもかなり以前からこの問題を取り上げてきました。

University of Tokyo probe says chromosome team doctored images (2017/08) 

University of Tokyo scientist hit by anonymous allegations fights back (2017/06) 

University of Tokyo to investigate data manipulation charges against six prominent research groups (2016/09)

 

この問題についての匿名ブログ渡邊氏によるdefenceにもリンクをはって国内の様々な主張を紹介しています

 

医学部での問題も結構大変は話だったのですね。(参照1, 参照2)

 

“University says prominent Japanese cell biologist committed misconduct”の記事の中でこの分野の研究者の談話としてMITのホワイトヘッド研究所Iain Cheesemanさんがこのようなコメントをしてました。

Watanabe is a giant of science with incredibly impressive discoveries,

These are discoveries that have been validated, repeated, built on, and continue to be central to our understanding of cell division.

そこなんですよ。

当該分野である意味「揺るぎない研究結果」を発表していた研究者の論文に今さらこんな不正がといわれてもぼくらは困るのですよ。

こういうのってどう考えたらいいのでしょうか。

 

と思ってGoogle Schalorで調べてみるとこんな結果です。

h-indexは70位でしょうか。h-indexが70位の研究者にしては被引用回数1000回越えの様な論文はないのですけど…

 

Iain Cheesemanさんはこんな連ツイもしています。

これなんかみると左はアウトというか眼で見て明らかにおかしなバンドですが右は何か別にいいのではないかというか,なんで元の奴をそのまま使わなかったのか,なんであれじゃダメだと思ったのかよく解りません。

 

今回の一連の成り行きをみて思った事は,何が不正なのか自分でも解らなくなったこということです。 渡邊氏の件が不正なら医学部の件でも問題なしとは言えないと思うし…

いろんな観点がありますがぼくにとって大きな問題は加藤さんの時と同じで「やる気をそがれた」ということにつきます。

ホント困りますこういうの。

 


「MAY」

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか」 の他に斉藤由貴問題も振ってみました。二人ともデビューしたばかりの斉藤さんを知らないので,これは話にならんなという感じをぼくは持ちました。

ぼくはずっと応援してます。

すこし前に金剛山からの帰りに某登山会メンバーに「先生は誰が好きのですか」と聞かれて「斉藤由貴」と答えたくらいに好きです。

家内も知っていてTVに出るとわざわざ呼びに来て冷やかされます。

ちなみに「MAY」が一番好きです。

 

土曜日からマイリトル音楽祭で「斉藤由貴」をかけながら仕事していました。

これいいですよ。


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がんとハイポキシア研究会の世話人をやっています。

バイオストレス研究会の世話人もやっています。


“Figure1”

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Harvard大学にDr. William G. Kaelin Jr.という研究者がいます。

腎癌とか副腎腫瘍の研究ですごく有名人ですがその研究から細胞の低酸素感知機構の分野の研究に展開してこの分野での貢献が認められ他の二名の研究者とともに昨年のAlbert Lasker賞を授賞しました。 このようなエラい人なのですが,一度某meetingで吠えていたのを目撃して以来なんか怖い人ではないかという先入観をぼくは持っていました。ちなみに,日本から彼のlabに留学した人は結構多いです。

最近啓蒙活動をしているらしく “Common pitfalls in preclinical cancer target validation” なども最近出版していました。

今日紹介するのは Nature誌に発表された Publish houses of brick, not mansions of strawという論説です。

Papers need to include fewer claims and more proof to make the scientific literature more reliableという主張が展開されています。

 

最近科学論文特に生命科学分野の論文の再現性が大きな問題となっています。 捏造とか改竄は置いておくとしてもある論文の結果を定性的かつ定量的に再現することができないという事態がそこここで起こっているわけです。

そもそも高価な測定機器や特殊な遺伝子改変マウスを用いた研究は機器・マウスを利用できない環境にある研究者は再現を試みることもできません。

 

そうこうしているうちに,Like the proverbial boiled frog that failed to leap from a slowly warming pot of water, biomedical researchers are stuck in a system in which the amount of data and number of claims in individual papers has gradually risen over decades という事態に陥っていると主張しています。

つまりこの事態は The danger is that papers are increasingly like grand mansions of straw, rather than sturdy houses of brick. だというわけです。

Kaelin氏はLasker賞を授賞する位ですから,細胞の低酸素感知機構研究の分野で大きな仕事をいくつもしています。

Negative regulation of hypoxia-inducible genes by the von Hippel-Lindau protein. O. Iliopoulos et al. Proc. Natl Acad. Sci. USA 93,10595–10599; 1996HIFalpha targeted for VHL-mediated destruction by proline hydroxylation: implications for O2 sensing. M. Ivan et al. Science 292, 464–468; 2001は今でも読み継がれているこの分野の正典です。読んでいない奴はモグリだという様な意味です。

しかしこの二つの論文もあわやrejectという状況だったのだそうです。

前者は,” failing to include a clear mechanism and animal experiments”という理由で後者は”because we hadn’t identified the enzyme responsible”という理由で。

しかし”Fortunately, an experienced editor intervened, arguing that publication would open the search for the enzyme to other groups”という事で日の目を見たのですが “such reprieves seem less common today”だと。

そうですよね。結構おもしろくとも純粋な現象の報告はいわゆるprestagiousな雑誌に掲載されることはありません。

 

という訳でKaelin氏は論文とは”Figure1″で提示されるobservationを強固に補強するようなものであるべきだと主張します。 この”Figure1″という言い方というか概念は,大学院生だったときに指導してくれた先生にも何度もいわれた概念です。 現在の査読制度では,主主張から解離した些末な追加実験などが要求されすぎているという訳です。

一昔前は例えば “an entire paper could consist of the detection of two proteins that bound to one another and the follow-up experiments to establish that binding occurred in living cells”なのに しかし今や”Figure1″どころかSupplemental Figure1まで繰り出さないと収まらないほどのdata量が要求される時代になってしまいました。

 

今回おもしろいと思った点はもう一つあります。Kaelin氏のような臨床出身(彼は泌尿器科医だったはずです)の研究者が,”We need to stop telling basic scientists, especially trainees, that their work’s value lies in its translatability“と述べていることです。” We must return to more careful examination of research papers for originality, experimental design and data quality, and adopt more humility about predicting impact, which can truly be known only in retrospect.” だということです。 これはぼくのもう一人の師匠から随分といわれた事です。

「あなたの研究が臨床に役に立つとか人を救うとかそんなことをあんたのような頭の悪い人間が考える必要はないのだ。そんなことよりとにかくよいサイエンスを行いなさい」というアドバイスです。

よい論文は他人に引用されていつか世界を変える世界は変わらなくとも他人の世界観を変えるはずたという訳です。

彼の文章は The main question when reviewing a paper should be whether its conclusions are likely to be correct, not whether it would be important if it were true. Real advances are built with bricks, not straw.

と結ばれています。

ちょっと勇気つけられました


Powers of Two

かくて行動経済学は生まれり」という本が出版されました。

これは,“The Undoing Project: A Friendship That Changed Our Minds”の邦訳です。多分一年経っていません。

内容は,書評を参照してください。

心理学者ダニエル・カーネマンと共同研究者エイモス・トベルスキーの評伝です。エイモス・トベルスキーはすでに無くなってしまったのでノーベル賞を受賞できませんでした。

ぼくは邦訳を読んでいませんがとてもおもしろくて感動的な物語です。

POWERS OF TWO 二人で一人の天才」という本もありこの二人も取り上げられています。

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Apple TVを研究室に導入しました

On 2017/7/3 月曜日, in book, books, Lifehacking, twitter, by bodyhacker

 生きています

しばらくエントリーの投稿をさぼっていましたが生きています。

最近出た論文の作業なんかをしていました。

結構集中するのでぼくの大脳のキャパシティーでは余計な事はあまりできなくなります。


いろいろと出ました

論文がでました。

これからもせっせと手持ちのデータを大学院生と共同して論文にしていきます。

雑文もでました。

医学書院のPR誌「医学界新聞」の特集 医学生・研修医に薦めたい ベッドサイド・ライブラリー 就寝前の30分間が医師人生を切り開く でぼくも三冊紹介しました。

医歯薬出版社の雑誌「医学のあゆみ」にもエッセイを載せてもらいました。

フォーラム はじめの一歩を押し出されて踏み出してみる……広田喜一(参照

島岡さんの最近の著作をネタにしたエッセイです。以前ここでも取り上げたことがありました。

こちらは現時点では,購読権がないと全文を読むことはできません。すみません。


Apple TVの話

今週研究室に55Vのテレビというかチューナー内蔵のディスプレイを導入しました。

ジャーナルクラブやプログレスレポートの時に使います。

先日訪問させていただいた某研究室(三島の方)でAppleTV経由で大画面TVを使っていたの見せていただき感動して同時にAppleTVも導入しました。

簡単にセットアップできると高をくくっていたらできませんでした。

少し調べてApple Configurator2を使ってMacからAppleTVにprofile fileを送り込んで解決。結局proxyの設定がApple TVとモニタだけではできなかったのです。

無事にmacからAirPlayの出力先として55Vのテレビを選択できるようになりました。全部で12万円くらいでこの環境なので安いです。

 

ケーブル無しで簡単につなげるのでこれは便利です。


ストロベリーナイト

先日ある映画をAmazon Primeで観ました。2013年に公開された,「ストロベリーナイト」です。

誉田哲也さんの警察小説シリーズ「姫川玲子シリーズ」の一作品『インビジブルレイン』の映画化です。

 

すごくはまってしまい,映画化の前後にテレビドラマとして放映されたものと小説として発表されているものを全て観て,読みました。 フジテレビで放送されたドラマ

・ 第1回 シンメトリー

・第2回 右では殴らない

・第3回 右では殴らない(2)

・第4回 過ぎた正義

・第5回 選ばれた殺意〜過ぎた正義

・第6回 感染遊戯

・第7回 悪しき実

・第8回 悪しき実〜嗚咽

・第9回 ソウルケイジ

・第10回 檻に閉じ込められた親子〜ソウルケイジ

・第11回 こんなにも人を愛した殺人者がいただろうか〜ソウルケイジ

です。

これに先だって,小説「ストロベリーナイト」 の内容をドラマ化した特番があります。 また「ストロベリーミッドナイト」「アフター・ザ・インビジブルレイン」という続編もあります。

小説は

「ストロベリーナイト」

「ソウルケイジ」

「シンメトリー」

「インビジブルレイン」

「感染遊戯」

「ブルーマーダー」

「インデックス」

が今まで出版されています。

ドラマは原作をほぼ忠実になぞっているのですがドラマの方が圧倒的におもしろいです。

絶対的な主人公は,姫川玲子という名前の警部補です。警部補昇進は27歳の時で,第一作の「ストロベリーナイト」では29歳。27歳で警視庁捜査一課殺人犯捜査十係の主任警部補というのは警察では異例の出世・抜擢。170cmの長身で7cmのハイヒールを何足も履き潰しているという設定です。

この姫川班は,玲子さんの他に,菊田 和男巡査部長,石倉 保巡査部長,湯田 康平巡査長,葉山 則之巡査長で構成されています。

実は大塚 真二巡査長が第一作の「ストロベリーナイト」が班員だったのですが第一作の「ストロベリーナイト」であえなく殉職してしまうのです。 ドラマ・映画ともキャストは同じで,姫川玲子は竹内結子さん,菊田 和男は西島秀俊さん,石倉 保は宇梶剛士さん,湯田 康平は丸山隆平さんで葉山 則之はなんと今をときめく小出恵介さんが演じていました。

玲子のドラマ・映画での口癖は「このヤマ,絶対とるわよ」(このセリフはドラマ・映画で頻繁に出てくるのですが小説ではほんどでてきません)でこのかけ声のもと4人の刑事は頑張ってしまうわけです。

この人たちちょっと変わっています。担当の事件が無い場合,刑事は「在庁」という一種の待機状態になるのだそうですが,在庁のまま退勤時間が近づくと「今日も何もなかった」ということになるのですが電話がかかると「キター!!」という感じで皆嬉々として現場に駆けつけるのです。 姫川班では捜査会議の後皆で飲み屋(なぜが女将さんが中村静香)で反省会を開きます。

玲子は,所轄の交通課勤務だったのを現在の上司である警視庁捜査一課殺人犯捜査十係係長である今泉 春男警部に抜擢されて捜査一課入りをした経緯があるのですが,これは彼女の天性の直感に基づくプロファイリングの能力を評価してのことだったのです。

玲子は,自分の筋を読み,点と点をいきなり結んで捜査を進めていくという手法を採る場合が多いのです。そしてその手法により実積を残してきたのです。

これと対照的なのが捜査一課殺人犯捜査十係の主任警部補である日下 守(遠藤憲一)です。彼は若いときのある失敗をきっかけに緻密で客観的な捜査手法を取り玲子さんの捜査手法を危ういと評価しています。予断を許さない操作法は捜査会議での発表でも遺憾なく発揮されて皆を辟易させるほどです。玲子の天敵ですがその理由は捜査方法の相違だけでは無いのですが… もう1人主任警部補がいるのですが彼は,捜査一課殺人犯捜査五係の所属です。勝俣 健作(あだ名はガンテツ)。ドラマ・映画では武田鉄矢さんが演じていました。ガンテツは玲子さんだけでなく日下の天敵でもあります。

 

捜査手法が研究手法と通じるとこがあるなということです。

研究手法に,玲子式日下式があるとすればぼくは断然玲子式です。

ぶらぶら道を歩いている。棒にあたる。これが意味のあることだと思って筋を読む。あたった棒に意味があるとすれば理論的に起こるはずの現象を確認でき点と点が結びつけば,論文になるという手法です。

基本的な戦略は「線でつなぐ」なので日下式のローラー作戦と比較すると弱い側面があります。

危うい場合もあり日下の玲子への批判の根拠でもあります。実際姫川は単なる思いつきを重視した捜査のせいで何度も失敗も重ねるのです。

ぼくは遺伝子改変マウスなどを用いた実験を基本的には行わないので,ぼくらの仕事が今風なprestigiousな雑誌に掲載されることは最近ではほとんどチャンスは非常に低くなっています。

つまり15年前とは状況が完全に「時代」が違うのです。

古典的な手法で思いつきで点と点を結んで発表した論文でも20年経った今でも年に20回くらい引用される論文もありますからこれ以上は求めても仕方ない,と思っています。

 

ガンテツによれば玲子は犯人の気持ちがわかるのだそうです。実際に玲子は高校生の時にある事件に遭遇してそれがきっかけで警察官になったのですがその犯人を殺したいと思っているというか心の中で何度も殺していてそれ故殺人犯の気持ちになって犯行の筋を読むことができるのです。

細胞の気持ちになって筋を読めるのであればそういう研究者になりたいと思います。ファウスト博士のように魂を売り払ってでも。

 

麻見 和史さんが作者の女性刑事シリーズがもう一つあります。如月塔子シリーズです。

塔子は,警視庁殺人分析班 警視庁捜査一課十一係の部長刑事(刑事部長でかつ刑事)です。殉職した警察官だった父親を背負って頑張るのですが玲子さんとはちがい未だ巡査部長です。身長も152.8cmといわゆるチビです。

今までドラマ化されたのは石の繭と水晶の鼓動の二作です。両方観ました。堪能できます。

小説は8冊出ています。文庫化されているのは6冊で,これは全部読みました。

 


東北大学の五十嵐先生のtweetです。

 

ぼくは淀井さんの弟子でこの文章も折りに触れて読み返しています。本人からもこれと同じ話を耳にたこができるまで聞かされました。 ぼくはATL研究は日本医学が世界に誇る一大金字塔だと思っています。

 

これも今読み返してみると予言が成就された感がありすごいと思います。


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