「羽根の記憶」

On 2019/3/31 日曜日, in book, hypoxia reseacrh, Lifehacking, by bodyhacker

昨年の9月まで院生だった先生の論文がアクセプトされました。

内容-acceptされたmanuscriptと同一ではありません-はpreprint serverにdepositされていますのでいち早くチェックしたいという方はそちらでどうぞ。(参照)

先生は某学会の若手奨励賞というのを次の学会で受賞されることがきまっています-授賞論文はこの論文とは別筋の研究ですけど-。学会の会期中に記念講演があるそうです。

本賞は(公社)XXXX学会において1年間に発表された論文のうち、37才以下の若手研究者による最も優れた研究論文を発表した会員に授与する

という賞らしいです。ぼくは地味な研究者ですのでこのような賞は頂いたことがありませんというか当時麻酔関連の研究などしていませんでした。

【追記】よく考えたらぼくもこれ頂いていました。当時は年齢制限がありました。今は無いようですけど。


伸るか反るか

昨日(土曜日)にぼくの先生-何度も登場するATLを世界で初めて症例報告した人-と先生の奧さんと枚方市某所でワインを呑みました。

いつも変わりばえの無い話をするのですが今回はちょっと研究の話もしました。

 

実験をして結果を論文として発表します。この段階では少なくとも自分たちは論文の結論は自分たちの持っている実験結果から導けるという確信を持っていることに公式()にはなっていると思っています。

問題は研究の端緒です。

ある作業仮説を立てて、それを検証する実験を組む。結果を見てそこから前に進むか そこで止めるかの判断をしますが、どのくらいの確信があれば進むかという問題です。

こんな話題を35年ほど前にぼくの師匠に本庶先生が振ってきたことがあったそうです。師匠は8割5分と答えたそうですが本庶先生は俺は7割なら行くと話していたとのこと。

発見を端緒とするストーリー-といってもストーリーが先行する場合もあることはあります-を精一杯盛る()とこんな展開、最もベタな解釈はこんな展開になるというような選択肢をいくつか考えて最終的には最高のストーリーに結論が落ちると大満足です。しかし、もっともベタなものでもpublishできればそれはそれでよしとするという感じとなります、ぼくの場合は。

自分で実験をしてdataを産み出していたときは眼の前のdataの確からしさは自分が一番よく認識できていた訳ですが今は自分はdataを産み出しません-例外は遺伝子の発現解析ですがこれはアルゴリズムに従えば誰でも同じ結果がでる(はず)ます-。llabのメンバーのdataを元に判断するので事情は単純ではありません。プライマリーのdataとしては見栄えがよいより、ポジコン、ネガコンが揃っているか再現性(定量的、定性的)はあるかなどを勘案して取りあえず進んで行きます。結果が安定しなければ「筋」が悪いと判断してそこでストップの時もあります。

 

ATL研究の流れでIL-2の受容体の分子クローニングが師匠と本庶先生の共同研究として行われました。その結果として、世に名高いTac抗体が認識する抗原としてIL-2Rα鎖(CD25とも言われます)のcDNAが単離された訳です。(参照

次に控えていた大きなissueはこのIL-2Ra鎖がIL-2シグナルを細胞内に伝達することに十分かという事でした。a鎖とβ鎖でも不十分で最終的にはcommon γの分子クローニングで決着が着くのですがそれまでの研究者の格闘の跡が論文で確認できます。(参照1, https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/2827038)

みたいな話をワインを飲みながらしました。そしてこのような話題は呑ミナーのアジェンダとしてふさわしいと思いませんか。

legendaryな先生のセミナーもこういう話を盛り込んでくれるとグッと楽しくなると思います。

 

月曜日に研究室にいたら3月で退任される神経解剖学の先生の訪問を受けました。

今日で業務としては最終日で明日は博士号授与式に出席してそれが最後のお仕事ということでした。

よく話す先生でぼくの2.5倍はお話になられるような方でした。

呑む会でも結構呑まれてぼくも防戦のために結構呑むという関係でした。

退任に当たってお弟子さんらが編まれた業績目録を持ってきていただいたのでした。

すこし話し込んだのですが筋の通ったお話でちょっと感銘を受けました。このブログを読んでいたと告白され穴があったら入りたいほど恥ずかしかったです。

新年度からも新天地でご活躍ください。


集中を持続する

論文の作業をする時集中力を保つタメにいろんな事をします。(参照1, 参照2)

今使っているboseのノイズリダクションシステムを使ったヘッドフォンは優先で時々そのまま立ちあがったり移動したりしようとしてコーヒーをこぼしたりすることもあるので無線のものに買い換えたいのですがどれでもいいという訳でもないので迷っています。4時間くらい装着して耳が痛くならないというそこが重要なんです。

午前中4時間くらいは何とか集中できるとして午後からは集中が困難になってきます。ヘッドフォンをかけて無音にしてみたりまた音楽を流したりしながら乗り切る訳です。


羽根の記憶

Rolandがぼくらの間でブームになっています。

毎週定期的に麻酔をする病院の整形外科の先生方が盛り上がっているのを聞きつけてビデオとか見みました。

本も出版されてこれも当然読みました。

俺か、俺以外か。 ローランドという生き方

彼の名言集です。

最近はアイドルグループでもライブが行われると基本情報として当日のセットリストが発表されます。

先日の「乃木坂46 7th YEAR BIRTHDAY LIVE 西野七瀬 卒業コンサート」はこんなセットリストだったようです。

卒コンにふさわしいラインアップで論文の作業しながら聴くと実に味わい深いです。

Rolandの名言に負けない名フレーズが登場します。

空は飛ぶためにある 見上げるためじゃない 軽やかに飛んでいる鳥を見て思う 今ぼくにできること 自分の背中には 使っていない羽根がある記憶を 信じること

まだ眠る 可能性 無限大だ

とかこんなストレートな歌詞は彼女らにしか唄えないと思います。

魚たちのLOVE SONG

何もできずそばにいる

傾斜する

他の星から

吐息のメソッド

隙間

やさしさとは

そして 光合成希望 とか名曲だと思います。


PDF

研究室に参加している医学部の学生が第一著者の論文が出版されました。雑誌の都合でLetter to EditorになりましたがAdditinal Filesが5まである立派な論文です。

田中くんおめでとう。


the mule

この前の日曜日に久しぶりに家内と映画を観ました。

クリント・イーストウッドが監督・主演の「運び屋」です。

軽い気持ちで選んだので席の予約もせずに出かけて映画館には20分くらい前に到着しました。予想に反してこの時点で残席はかなり少なくなっていて2人で並んで座ることができませんでした。

時間になったので映写室に入ろうとすると結構な行列ができていました。

珍しいなと思ったのですが理由がわかりました。お爺ちゃんが多くて動作が緩慢なのです。実際観客の平均年齢はかなり高く40歳を越えていたと思います。

ユリの栽培をしていた朝鮮戦争の退役軍人が麻薬(コカイン!!)の運び屋(mule)をするという実話に基づいた映画です。映画でもNew York Timesの記事に触発されたとend roleで出てきます。

特にすごく期待をしていた訳ではなかったのですがこれが面白い。はじまると直ぐに画面に引きつけられて当然そうなるだろうというラストまで引っ張って行かれます。

クリント・イーストウッド自身がインタビューでこう語っています。

アール-主人公の名前-は私だけでなく、多くの私の世代の男たちを代表している。我々の世代の男たちは、人間の評価を、いかに仕事で成功したかで計りがちだ。でも、価値観は時代とともに変わっていく。いくら歳を取ってもそれに追いつかなければ。人は何かを学ぶのに、遅すぎることはないんだ。それは、ずいぶん前から私の映画のテーマになっている。「グラン・トリノ」もそうだった。頑固な差別主義者が、人生の終わりに変わるチャンスを得る。最後に彼はあれほど嫌っていたアジア人たちのために命を投げ出す。素晴らしい変身じゃないか。私は、人生は1本の映画のようなものだと思う。

という訳でお爺ちゃん方の映画なのです。

 

これも予想通り終わったあと家内に説教されました。子どもが二人いますが家内が育てました。この映画の主人公まったく省みなかったのです。

 

映画では いわゆるoldiesが何曲も掛かっていました。帰りの電車の中でApple Musicで探すとちゃんとlist ができていて聴くことができました。良い時代になりました。

でも実際この映画何にも起こりませんよ。想像通りに最後まで行くだけです。


ウェルビーイング

Wiredという雑誌があります。日本版VOL.32のトピックが”digital well-being“です。

想像の通りにwell-beingWHO憲章の”Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.”(健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます)に由来します。

「健康」とか「幸福」だと手垢にまみれているのでwell-being。

Kindle 版もあるしまあ読んでみることをお薦めしますがその前に編集長の巻頭言とドミニク・チェン氏のエッセイ「わたし」のウェルビーイングから、「わたしたち」のウェルビーイングへ」を読んでください。

ネットで読める文章なので引用してみます。

このなかで提示されているウェルビーイング研究領域としての挑戦のひとつに、地域文化によって主観的ウェルビーイングの因子が異なるという事実のよりいっそうの探究が挙げられている。なかでも面白いのが、日本、韓国、中国、そしてロシアとノルウェーを含めた24カ国においては、幸福の概念が「運」と結びついているという指摘だ。

「幸福」という言葉に「福」という漢字が入っていることも挙げて、このタイプの幸福はluck-based happiness(運勢型幸福)と命名されている。

luck-based happiness !!

ピエール・ルジャンドルやイヴァン・イリッチといった西洋の歴史家や哲学者が論じたように、「病気を治す」という思想は、問題を解決するためにシステムを制御するというテクノサイエンス主義と同根である。そこから、個々人の固有性を度外視した客観的な方法が適用される。

このような方法論が現代に通用しなくなっています。

 

石川善樹氏の

a Syllogism of WELL-BEING アイデア/ナレッジ/ノウハウ 「よい人生とは何か?」をめぐる三段論法

必読と思いますがこれはネットでは読ませてもらえません。

こんな話もあります


physician-scientist

Wiredはオリジナルは英語の雑誌です。

こんな記事がありました。

WHY YOUR DOCTOR SHOULD ALSO BE A SCIENTIST

医者でかつ研究者をphysician-scientistと呼ぶ場合があります。MD/PhDなんていう云い方もあります。

このような人たちがなぜ必要なのかを説いたエッセイです。

Physician-scientists bridge the gap between scientific theory and practical medicine. We need to boost their ranks.

が〆の段落です。

 

日本の医学部は6年かけて卒業します。こんな長い間一体何やっているんだとか国家試験に受かるだけなら1年か2年で十分じゃないかという声もあります。

ぼくの研究面での恩師の先生は医者としての研修中に”Letter: Two cases of T-cell chronic lymphocytic leukemia in Japan.”という症例報告をNew England Journal of Medicineに発表しました。これは後に”Adult T-cell leukemia: clinical and hematologic features of 16 cases”としてまとめられました。

つまりATLの世界初の症例報告を行ったのです。

皆さんもご存じの通りATL研究はその後大きな研究領域を形成するようになりました。世界に先駆けてウイスルも日本人が同定に成功しました。

AIDSのウイスルHIVとかその治療法が開発されたのもATL研究という資産があったからこそだと思っています。江戸末期から明治なってはじまった日本の西洋医学研究の一大金字塔です。

このような事業はphysician-scientistがいたからこそ達成できた事だと思います。

 

ぼくは医学部での6年に加えて麻酔科臨床をまる4年やってから基礎研究に入りました。

特にこの10年間がムダだったとは思っていないしむしろいろんな意味で必要だったのではないかと思っています。

そして今でも手術室で麻酔をしながら基礎研究をしていますが15年くらい前から10年くらいは本当にしんどかったですphysicalに。時間外2000時間よりハードな生活を送っていました。

最新の測定器機を使ったりする実験は採用していません。conventionalなmethodでイケるところまで行くという方法論です。

なのでいわゆるhigh impact factorの雑誌は初めから狙っていません。 ぼくのpublication listを調べると被引用回数で500回を越えているJBCの論文があります。これはぼくの関わったNature Geneticsの論文の被引用回数より多いです。理由は簡単です。これらが良い論文だからです。

今後もこういう方向性でいけるところまでいこうと思っています。

 

ぼくもいろんな場所でセミナーというか講演を行う場合があります。最後のスライドは研究成果の力点を基礎部門に置くときは

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臨床部門に置くときは

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としています。ぼくは医者なのだということを主張しているつもりです。

 

このエッセイには日本語訳があります。

医学の発展には、臨床と研究をつなぐ「フィジシャン・サイエンティスト」の養成が不可欠だ

です。


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ライフハック: キーボードを快適に使う

On 2019/3/13 水曜日, in Lifehacking, by bodyhacker

キーボードを毎日使っていますが、机との相性もありキーを叩くことで微妙にキーボードが動いてしまう場合があり安定性と打鍵感がしっくりこない場合があります。

このような問題への解決法として

「キーボードトレイAirBoard」とか「グリップマット」などの製品が販売されています。

グリップマット」は実際に使っているのですが確かに快適です。

 

でも少し値段が高いなと考えていて最近ある方法を思いつきました。

滑り止めシート(参照)を使う方法です。

このシートはメッシュ状になっていて自分の好きな大きさに切って使うことができます。

このシートを机においてその上にキーボードを置くと適当に衝撃を吸収してくれて滑らなくなります。

非常に快適です。

Amazonでも売っています(参照)。

 

このシート手術室で様々な機器を滑らなくする目的で使われています。ロールから切り出して使うということで切れ端をいただきました。

 

こんな感じで使います。

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こんな目的にも使うことができます。

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